まさかの…
そう思いながら愛子はそのまま家の裏口から家を出た。
「ありがとさんね。ここの柿は甘いからね」
「今年はきっと当たり年」
「みんなそう言っとるね。」
達の足元に何かやってきた。
達が確認するより早く、源蔵じいさんが
「猫か」
達が見ると、猫がつかつか歩いてきて達の前で止まって、ニャーニャー言っている。
「なんだ、猫飼ったか。」
「猫なんて飼っちゃいませんよ。」
「でも、慣れとる猫だ」
猫はじーっと達を見て、何か2.3言言ったが、達が意味がわからないという顔をしていると猫は達に飛びついた。
突然飛びつかれて達はバランスを崩しよろめいた。
達はよろけて驚いた顔をしたが、体勢を立て直すと怒った顔で猫を見た。
猫は、ぴょんぴょんと軽快に逃げる。達は猫を追い立てようとするように逃げた。
猫は、表庭の方へ行きかけたが、達は後を追うのをやめようとした。すると猫は戻ってきて達に飛びかかろうと構える。
達は、ものすごく頭にきた様子で猫の後を追おうとする。
猫は表庭へ逃げる。表庭へきた瞬間達は、庭が燃えているのが目に入った。
「火事だ。」
達を追いかけてきた源蔵も庭が燃えているのを目撃して「あわわあわあ」慌てている。
火は、盆栽の乗っている棚まで迫る勢いだ。
「水」
達は、すぐそばの水道へ行き、繋いであるホースから勢いよく放水しはじめた。
そこに愛子がやってきた。
「火事?」
愛子は火を見てものすごくびっくりして、膝がガクガクした。
何かしなくてはいけないと強く思いつつ、何もできない無力感に襲われたのと、目の前の炎のショックでその場に座り込んでしまった。
地面にペタリとしてしまった愛子に、猫が寄り添った。




