お尋ねもの?
「ねぇ、あなた飼ってもいいかしら。」
「だめだ」
と言った。
予想通りだったが達がなんというのか愛子は理由を聞いてみたくなった。
「どうして?」
と聞き返した。
「…だって、その猫首輪をしてるんだろ?という事はその猫を心配して帰ってきてほしいと思ってる飼い主がいるわけだ。」
本当は猫が嫌いだからというのが理由でしょうが、ごもっともと言えるような理屈だ。
彼には口ではなかなか敵わない。
「猫は、自分では家を探せないかもしれないから、代わりに飼い主を下げ探してあげたらどうだ?」
「なるほど、それもそうね。」
どうせ今考えたばかりの苦し紛れの返答だろうが、愛子は達の提案に納得した。
猫は、腕の中で低くニャーと言っている。
「そうね、こんなにいい子ちゃんなんだから、誰かに大事にされていたかもしれないものね。」
愛子は久しぶりに楽しい…と思った。
「まず、写真を取らなくちゃね。」
愛子が猫を地面に下ろして達に言った。
達は、猫の話に興味はないようで最近一気に色づいてきた柿の木をボーっと眺めていた。
「ねぇ。」
達はハッとして愛子を見た。
「ねぇ…写真を撮って」
しっかり話を聞いていなかった達は、スマホを取り出してサッと起動させて愛子の写真を撮った。
愛子は、意味がわからないまま猫をもう一度抱き上げようとしていたが、達は愛子の元に歩いていって愛子に今しがた撮った愛子の写真を見せた。
画面には大きく愛子が写っていた。しばらくしっかり見ないうちにシワが増えたような気がする。
「バカね。おばあさん映してどうするのよ。私はまだたずね人じゃないわ」
「そうか!猫を撮るのか」
(いつも通り話は聞いてないわね。)
愛子はまた、猫を上手に抱き上げて、達はその猫を何枚も写真を撮った。
愛子が猫を下ろしてからも、達は何枚か写真を撮ってそれを愛子に見せた。




