波
いつの間にか、カーテンからの木漏れ日を受けて渉は眠っていた。
美紀は、その頬にキスをした。
その時、渉のスマホにメッセージがきた通知が来た。
本当になんとなく、何気なく美紀は見ると
「ねぇ、寂しい。今から来てよ」
とあった。
美紀は頭をガーンと殴られたような衝撃を受けた。
(終わってなかったなんて…。)
美紀は、スマホを手に取ると、ロックされていなかった。
美紀は強い吐き気を覚えながらスマホを見た。
やり取りされたメッセージは残っていない。
今のがたまたまだと思いたいが、きっと頻繁にやり取りをしていたが、渉が用心深く消したのだろうと思った。
写真を見ると、誕生日を祝うケーキを前にしたあの見覚えある女の写真があった。
一気に目の前がぼやけて写真が見られなくなった。が、涙を拭いてよく見るとそれは夏海を連れて美紀が退院してくる日だった。
(許せない…。)
一度許して、もう一度やり直そうと思っていたのに、笑顔で毎日暮らしてきたのにずっと裏切られていたなんて…
美紀は、身体中の力が抜けていくのがわかった。
何もなかったかのような顔をして眠る渉がうらめしかった。
美紀は渉を揺すった。
「ちょっと、起きて!」
渉は
「なんだぁ?」
といって寝ぼけているのか、美紀を抱き込むようにして起き上がった。
美紀は渉から逃れるようにして、スマホの写真を渉に見せて
「なんなの、コレ最低ね。」
渉は慌てたようだが
「人の電話勝手に見んなよ。」
と、スマホを手から奪おうとしている。
「疑われるようなことするからでしょ。」
「お前、全然信用しなかったじゃんか。」
見たことない、鬼のような形相の渉。
違う…これは渉じゃない…。
「子供が生まれてから、子供子供って俺のことなんか構うことなく。」
「信用しなかったとかじゃなくて、どうせ途切れることなくずっと付き合ってたんでしょ。」
渉が美紀のところに歩いてきて、手からスマホを奪おうとする。
美紀は、これ以上またこのスマホで渉が女と連絡をとるのは許せないと思い、スマホを握りしめた。
すると、美紀の後ろにあった渉の引き出しがガタンと倒れて、中から手紙の束がガサリと落ちた。
美紀は落ちた束に目をやるとそれは督促の束のようだった。
騙されたんだ…ずっと…




