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みいちゃんが教えてくれた…  作者: めぐみ千尋
1章 老夫婦の前に猫が現れた

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猫が現れた

その場にゆっくり座った猫は二人を見て、ニャーと鳴いて頭を下げた。


達は玄関に戻って下駄箱を開けた。


愛子は夫の行動をいぶかって


「一体何するつもり?」


と言ったときには、達の手には古めかしいビニール傘が握られていた。


達はきっと傘で猫を追い払うに違いない。


愛子は達の前に立ちはだかるようにして


「やめて!何する気?」

と叫んだ。


「止めるな。お前も知っての通り俺は猫が嫌いだし、それにこの猫汚なすぎる。」


「あなたが猫嫌いなのは知ってるけど、この雨の中雨宿りしている生き物をどけるのはあんまりに非情よ。」


「そんなこと言ったって、もともと猫は病気を持ってるかもしれないと言われているし、こんな汚い猫だったらなおさらだ。玄関マットに変な虫でも付いたら困るだろ。」


「でも、この雨じゃ外に行ったらすぐにびしょ濡れになっちゃう。かわいそうだから、追い返すなんてやめましょう。」


「でも…」


「ね。ちゃんと「こんばんは」って頭を下げたことだし。」


達は、またひときわ激しく、降り出した雨に目をやり、猫に


「わかったよ。でも、雨がやんだらすぐに出ていけ。」


と言って、先ほど取り出した傘を元の場所に戻して自分も戻っていった。


愛子は猫に


「ごめんね、玄関に入れてあげられればよかったんだけど、お父さんがダメなの。せいぜいちゃんと濡れないところにいてね。」


猫はニャーと言った。


「物分かりの良い子ね。」


愛子は後ろ髪を引かれる思いで、ドアを閉めて、少し迷って電気を消した。 


猫が風邪をひいたりしませんように、冷たい雨に濡れませんようにと願わずにはいられなかった。

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