他人のそら似?
翌日、ここ数日吐き気の止まらない美紀は、昨日のドラッグストアで買った妊娠検査薬の判定をハッキリさせるために、ドキドキしながら駅前のクリニックへとやってきた。
結果、元々の生理不順も手伝ってなかなか気づかないうちに妊娠4ヶ月となっていた。
遂に夢が叶ったと、美紀は嬉しくなり思わず渉に電話をかけようと思ったが、仕事中でタイミング悪いと困るのでやめた。
子供ができた喜びと、それを渉に伝えた時の渉の顔を思い美紀はルンルンしながら産婦人科を出て、歩き出した。
(早く渉に伝えたい)
あれ?渉?
産婦人科の前斜向かいのパチンコ屋さんから出てきた渉に似た人が目に入った。
渉に似ている人は左右をキョロキョロしたが、美紀には気がつかない様子だ。
「渉。」
美紀が呼ぶと、渉の後ろ姿がびっくりした。
渉は立ち止まって、美紀が追いついて二人並んだ。
少しの間二人は無言で歩いた。
「どうして、こんな時間に?」
軽く何度か頭を縦に振った渉は
「家で話そう」
と言った。
美紀は心臓がドクドク音を立てているのがわかった。
最近ちょっと強くなってきた日差しが自分の首を焼いているような感覚を受けた。
二人で一緒に家に帰るのに、こんなに嬉しくなかったのは初めてだった。
美紀は遠くない帰り道、頭の中であれこれよからぬことを考えていた。




