土砂降りの夜
「まいったねー。やばい、ずぶ濡れだよ。」
「滝みたいな雨だったもんね。」
うなずきながら、渉は屈託なく笑った。
渉の笑顔はなんとなくホッとする。
こんな渉の笑顔を見ていると、何を確認したわけじゃないけれど昼間渉に似た人を見たときに感じた。
モヤモヤもすーっと胸から消えていくような気がした。
「水も滴るいい男」
美紀は、脱衣所からタオルをとって渉に渡す。
渉は
「大丈夫、このままお風呂いっちゃうから」
と笑った。
渉の笑顔は太陽みたいだ。
「今日は、渉の好きなカレーだよ。早くお風呂いって。」
「やりぃ。」
渉は運が悪かったのか、渉が帰宅した後すぐに雷の音は遠ざかっていき、雷と共に雨も先よりは弱くなったようだ。
美紀はみいちゃんを下ろして、出来上がっているカレーをお皿に盛り始めた。
美紀もカレーは好きだが、最近なんだか食欲がわないので、自分のお皿にはほんのちょこっとだけカレーを盛った。
二人分のカレーを運び終わらないうちに、渉はお風呂から上がってきた。
「うまそう。」
「うまそうはいいけど、お風呂早いね。」
「だって、そんなに汚れてないもん。」
「そういえばそうだね。前みたいにペンキだらけになって帰ってくるとかなくなったね。」
渉は慌てたように
「そ、そんなことないよ。」
という。
「まあ、助かるけど」
「だろ?あんま汚さないようにしてるんだよ。しっかし、食べるの少ないね。」
「なんか最近食欲なくて。」
「心配だな。調子悪かったら病院行けよ。」
「うん、大丈夫。今のところ痩せたりしてないから。」
「痩せるといえばさぁ、今日の現場…隣の家との間がすごく狭すぎてさ、服も心もボロボロになるレベルだった。動画みる?」
渉はスマホをいじって美紀に動画を見せた。
どうやって建てたのか不思議に思う家と家の間で渉が挟まりながら塗装している動画だった。
「太ったらハマっちゃうレベルでしょ。」
また思い出したのか、動画を見てケタケタと笑う渉の顔はいたずらっ子ぽかった。




