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親友に彼女を3回NTRされたダメ猫な俺を女豹なマドンナ先輩が全力で狩ってくる  作者: 東音


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14/20

女豹なマドンナ先輩とハイエナ以下の親友

 3回NTRは全て鉄男が悪意をもって、俺への悪口を元カノ達に吹き込んだ為に起こった事だった。


 否定しようとしても、鉄男が涼子さんにしようとした事が何よりの証拠だった。


「鉄男……」


 親友だと思っていた鉄男に、重苦しい気持ちで、向き合った時……。


 バッ! ガバッ!


「ひ、広樹っ!! い、今まで本当にごめんっ!! 申し訳なかった!!」


「鉄男……!」

「……!」


 鉄男が、ベンチから立ち上がると、俺の足元に土下座をした。


「俺、小さい頃からずっと広樹が羨ましかったんだ! 俺の方がイケメンで、要領よく色んな事できてる筈なのに、広樹は努力しなくても、周りの友達にも好かれてて…!

 だから、煽るように、『お前は顔はいいけど、性格が悪い』って何度も逆の事言ってやったら、お前素直に信じちゃって、自分でもそう言うようになって、周りからちょっとイタイ奴って思われるようになっちゃって……」


「……! そう言えば、小学校の高学年ぐらいから、ちょっと周りから冷ややかな目で見られるようになったような……」

「長期間に渡って洗脳するなんて、ホント悪質ね……!」


 俺はその位の時の事を思い出して頷いていると、涼子さんは腕組みをして、眉を顰めた。


「いや、その時はわざとその状況を狙ったわけじゃなかったんだ。

 ただ、今更嘘だったとも言えなくて……。

 そんな中、中学一年の時、刈野小鳥ちゃが転校してきた。

 小鳥ちゃんに一目惚れした俺は、あれこれの世話を焼いていたんだが、彼女は広樹に告白して付き合い出した。

 表面上は祝福したけど、俺より明らかに接点も少なかったのに何でっ?! って悔しくてしょうがなかった」

「鉄男……」


「俺は、どうにかして、彼女を奪ってやりたかった。広樹との関係がまだぎくしゃくしている事で悩んでいた彼女の相談に乗るフリをして、広樹の悪口を吹き込んでやったら、彼女も面白いように信じた。


 彼女の心の隙に付け込んで、告白したら、「私、もしかしたら広樹くんよりも金田くんの方が好きなのかな……」って向こうも言ってくれた。


 キスをしたところへ、広樹が通りがかって、その場で広樹は小鳥ちゃんと別れる事になって、辛そうな顔で「鉄男、小鳥ちゃんを幸せにしてあげてくれ」って言われた時には、本当に広樹に悪いと思ったし、彼女を幸せにしてあげようと思っていた。


 けど、付き合うようになって少しして、 


「金田くんに騙された! 広樹くんは、金田くんの言うようなひどい人じゃなかった! 彼との仲を無理矢理裂かれてしまった。もう、あなたなんか顔も見たくないし、口も聞きたくない」


 って、怒った彼女から一方的に別れを告げられちまった。


 はぁっ……。女って気持ちがコロコロ変わって怖いなって思ったよ」


「いや、あなたが騙して心変わりさせていたのが、真実を知って、元に戻ったたけでしょうが!

 怖いのはあなたよ!!」

「ひっ……!」


 拳を握り、突っ込みを入れる涼子さんに、鉄男は両手で頭を庇って震えていた。


 鉄男の口から語られる刈野小鳥さんに関する過去を聞き、その時の事を思い返して、重いため息をついた。


「中学の時の状況は分かったよ。けど、その後の2回は? 高校でも専門学校でも、鉄男、割とモテていなかったか?」


「それが……。頑張って一軍のグループに入って高めの女の子と知り合う機会はあったけど、その中で彼女が出来るのは、俺よりもっと優秀で、顔もよくて、身長も高い奴で、俺は皆についていくので精一杯だった。

 広樹はまた、楽々と可愛い彼女を手に入れて、羨ましかった。

 だから、いけないとは思いつつも、また、中学の時と同じように……。

 千愛ちゃんは家庭に悩みを抱えていたし、実兎ちゃんは男性関係にゆるそうなところがあって、元々隙があったから、うまく行った。


 それもやっぱり長くは続かなかったけどな……」


「騙して横取りした上に、彼女達を繋ぎ止めておく程の魅力もなく、努力も出来なかったのね。あなたってハイエナ以下だわ…!

 広樹くんはあなたを親友だと信じていたのに……」


「涼子さん……」


「その通りだ。俺は最低だった……」


 涼子さんの厳しい言葉に鉄男はしょんぼりと肩を落とした。


「広樹、今までの事、本当に悪かった!

 お前が嫌いで憎かったわけじゃない。ただ、羨ましかっただけなんだ。


 槇村さんにも申し訳ない事をした。


 もう、こんな事二度としねぇって誓うから、縁を切るなんて、言わねーでくれ! 俺にとって、気の置けない友達はお前しかいねーんだよぅっ!」


「鉄男……」


 必死に平謝りしてくる鉄男に俺は躊躇い……、涼子さんの顔をチラッと見た。


 彼女は何も言わず、神妙な顔で俺をじっと見詰めていた。


 俺はしばらく考え……、やがて、はぁっと息を吐き、鉄男に告げた。


「鉄男……。本当の事を知って正直、ショックだったよ。

 けれど、今までの事は、鉄男の気持ちにも元カノ達の気持ちにも鈍感で、色んな事をいい加減にして来た自分のせいでもあると思う。


 俺にお前を責める資格はない」


「ひ、広樹、許してくれるのか?」


 鉄男が嬉しそうに顔を上げた時、俺は硬い表情で首を横に振った。


「けど……! さっき、涼子さんに乱暴をして傷付けようとした事。それだけは、どんなに謝ってもらっても、絶対に許せない……!」


「広樹くん……!」

「ひ、広樹……!||||」


 目を見開く涼子さんの視線を感じながら、ショックを受けて涙目になる鉄男に呼びかけた。


「俺達は、お互い依存してよくない事になってたんだよ。これ以上他の人を傷付けない為にも、一緒にいない方がよいと思う」


 事実上の絶縁宣言に、鉄男は絶望的な表情を浮かべて叫んだ。


「そ、そんな……! たかが、一ヶ月かそこら付き合った女の為に、10数年付き合った俺との縁を切るっていうのかよ!


 槇村さんみたいに、お前に釣り合わない高めの女、いつまでも一緒にいられると思っているのか?


 女なんて、自分勝手で、都合が悪くなるとすぐどうせ裏切るし、捨てられるよ。俺等、よく分かってるだろっっ?」


「っ……!」


 いつまでも一緒にいられないどころか、涼子さんとは、NTRの謎を解くための仮初めの恋人関係で、この後、涼子さんとの関係は解消される事になる。


 鉄男の悲鳴のような叫びが胸に堪えて、唇を噛み締めた時……。


「お生憎様!私は、広樹くんを捨てたり、裏切ったり決してしないわ!」


「「!!」」


 涼子さんが凛とした声を響かせた。


「私はね。あなたが貶めようとした、広樹くんの顔も性格も大好きなの!!

 結婚を視野に入れたお付き合いをしているわ!」


「なっ。結婚だとっ……?」

「りょ、涼子さんっ……?」


 涼子さんの爆弾発言に鉄男も俺も目を見張るばかりだった。


「ええ。もちろんあなたを結婚式には呼ばないけどね」


「そ、そんなっ……!」


「あなたを広樹くんのこれからの人生に関わらせる事はないわ。

 もし、関わって来ようとするなら、さっきの事は音声を録音しているし、いざとなったら訴えるからね!」

「ひいっ……!」


 人差し指を突きつけて、ビシッと言い放つ涼子さんに怯え、鉄男は後退った。


「そんな…広樹! 槇村さん、説得してくれよ! 絶縁なんて考え直してくれよぅ!」


 取り縋って来る鉄男に、俺と涼子さんはきっぱりと告げた。


「ごめん、鉄男。それはできない。

 お前には世話になってたことも沢山あるし、嫌な思い出ばかりじゃなかった。

 けど、さようならだ。」


「もう二度と会うことはないけど、これからはもう少しまともな人間になってね。さようなら」


「広樹、広樹ぃっ! ああぁっ! うわあぁっ!!」


 そして泣きじゃくる鉄男を残して、俺達はその場を後にしたのだった。


 ******************


 友人ファイル②


 金田鉄男(20)


 小学校以来の広樹の友達。

 現在S専門学校の二年生。


 自分の方がイケメンで、要領よく立ち回っている筈なのに、努力しなくても、自然と周りの友達にも好かれる広樹が羨ましく、煽りのつもりで、

『お前は顔はいいけど、性格が悪い』と逆の事を言うと、広樹は素直に信じてしまい、その後訂正する機会を失ってしまう。

 中学の時に転校して来た刈野小鳥に一目惚れをするも、彼女は自分より接点のない筈の広樹に告白し、付き合い初めてしまった事に大きなショックを受ける。

 今度は意識して広樹に信じ込ませた事を悪口として吹き込み、彼女を奪うものの、その後すぐ、謀られた事を知った彼女に振られてしまう。


 広樹とは気まずくなっていたが、泣いて謝り許してもらう。


 その後、高校の時に相良千愛、専門学校一年生の時に如月実兎と広樹の元カノを次々とNTRし、広樹にその度に謝り、許してもらっていたが、

 広樹の次の彼女で、一つ年上のミスコン優勝者の槇村涼子も同じ手口で奪おうとしたが上手く行かず、無理矢理キスを迫ったところ、反撃にあい、強烈なキックをくらう。


 更には3回NTRの真相もバレ、広樹の信用も失い絶縁されてしまう。


 その後、学業にも身が入らず、専門学校を中退し、親にも勘当され、夜の街でキャバクラの客引きをして生計を繋いでいたが、◯口組幹部の女を寝取ってしまったらしいという噂が流れた直後、姿を消した。


 その後の彼の行方は誰も知らない…。





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