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The world of rights〜吸血鬼の少女〜【わるらい】  作者: SAKURA
第1章 一年半の逃亡
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第6話 選ばれなかった夫婦

ソウタ視点


ソウタはフィオラに吹き飛ばされて木に頭を打って気をほぼ失っていた


【クソっ!油断した、まさかまだ子どもの吸血鬼があそこまでできるとは、】


そんなことを考えていると


【遠くから声が、する、】


それは自分の名を呼ぶ声だった、毎日聞いている心安らぐ優しい声、


「ハッ!」


ソウタはその声で気を取り戻した、目の前には妻であるクリスが目を潤わせながらこっちを見ていた


「あなたっ!」


そう言って泣きながら抱きついてくる

まわりには一緒に俺を探してくれていたのか他の村人もいる

そんな中ソウタは今までに何があったか思い出した


「そうだ!リア!」

「クリス、すまない!リアがあの吸血鬼に連れてかれた、」


「そんな、!」


クリスは鳴きながら地面にうずくまってしまった、


それと同時に一緒にいた村人たちも顔を俯かせてしまった


そしてソウタは決意する


「クリス、リアを探し出して必ず連れて帰る、だからそれまで待っててくれ、」


そう言うと村人の1人がソウタの耳元でクリスに聞こえないように小声で話しかける


「とは言っても吸血鬼に連れてかれたんだろ?本当に大丈夫なのか?」


ソウタはその村人の目を見て言う


「大丈夫かどうかはわからないが見つけなきゃいけないんだ」 


「俺はこれから村を出てリアを探しに行く」

「必ずリアを連れて帰ってくる、だからそれまで待っててくれ、クリス、」


そう言って地面にうずくまるクリスを抱きしめる

しかし


「いやよ、!」

「私も行くわ!」


そうクリスは涙を我慢しながらいう


「ダメだ、そもそもお前、戦えないだろ、」


そう、クリスは戦闘能力のないただの女性だ


「っ!こんな時になにもしないでなにが母親よ!あなたがなんと言おうと着いていくわ!」


そんな気持ちを無視することはソウタには出来なかった


「わかった、一緒に行こう」


そう言って旅支度をするために自宅まで手を繋いで帰った


次の日


旅支度を終えたソウタとクリスは村の人たちに事情をうまく説明して村を出た


「それで、あなた行く宛はあるの?」


クリスはソウタに質問する


「まぁ、あるにはある」


「どこ?」


「俺が騎士だった時に知り合いになったヨルギスだ」


「ヨルギスって、あの温泉街に住んでる占い師兼魔道具店店長をやってるあのヨルギス•クライン?」

「だったら私も一回お店に行ったことがあるわ」


「あぁ、アイツならなにかわかるはずだ」


そうして2人は温泉街に向けて歩き出した


_____________________


「やっと着いたわー!」


クリスが歓喜の声をあげる

道中、危険な魔物は出て来ず、ソウタが簡単に処理できる程度しかいなかった


「それでここよね?」


2人は街の裏路地のお店の前に立った


「ああ、ここで間違いない」


そしてソウタが店の扉を開ける

ガチャ


扉を開けるとその先には椅子で寝ている身長の小さな青色髪の女と、扉が開けられたのを見てこちらを見る黒髪の謙虚そうな13歳くらい少年が立っていた


「ヨルギス」


そう彼女にソウタが問いかける

すると


「おやおや、これは珍しいね、ソウタか、懐かしい」


目の下には隈をつくって少しやつれた青髪の女がそこにはいた


「おまえ、大丈夫か?」


心配そうにソウタが問いかけると


「大丈夫、大丈夫、いつものことだから、」

「それにしても隣の綺麗な女の人、君のお嫁さんかい?」


「あぁ、そうだけど」


「ふーん、私は選んでくれなかったんだ、悲しいなぁ、」


その発言にソウタはギクっとして


「ええ!」


とクリスは声を大にして驚いたように言った

そしてクリスは恐る恐る質問する


「あの、それってどういう…?」


そう言うとヨルギスは現妻を目の前にして言った


「私はソウタと王国にいた時に1ヶ月だけ付き合ってた元カノだからね」


「はぁ!?」


とクリスはソウタに詰め寄る


「ちょっと待って!落ち着いて!」


とソウタはクリスに揺さぶられながらも落ち着くよう促す


「まぁ、"元"だものね、わかったわ」


と落ち着いてくれたのでソウタは肩をなでおろした


「それで?なんの用?結婚報告をしにきたってわけじゃないよね?」


とヨルギスはソウタを揶揄うように言った


「そんなわけないだろ?」


とソウタはため息を吐きながら返した


「ここに来たのはお前に俺の息子のリアを探すのを手伝ってもらいに来たんだ」


「ふーん息子ねー、」


「あぁ、そこの子よりちょっと小さい子だ」


「わかった」


"青い霧(ブルーフォグ)"


といいヨルギスは自分の背丈と同じくらいの杖を取り出して呪文を唱えはじめた、その瞬間、杖から青いオーラが放たれ、霧となり部屋の中を満たしていった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


リア視点


ザシュ!

森の中、リアは突如襲いかかってきた蜘蛛型魔物を倒した


「ふぅ」


リアが呼吸を整えていると後ろから声がかかった


「まだ13歳の子どもなのにやるじゃないか!」

と剣士であるロノアから褒められる


「いえいえ、皆さんに比べたらまだまだですよ」


「いーや、その歳でここまで出来るなんて天才だよ!」

と女剣士のハスミからも褒められる


【もしかして僕ってかなり凄いのか、】

【ふふん!】


「だからといって高を括っていると痛い目に遭うぞ」


「そうだな」


と笑いながら、僧侶のエヴァンと重戦士のテイルが注意する


「そうですね、もっと精進してドラゴンを狩れるくらいにもなって見せます」


と返すと


「それは楽しみだな!」


とコーティスも話に入ってきた


「王都まではまだまだ時間がある、それまでにフィオラちゃんを守れるような男になれよー?」


それにリアは当たり前のように即答する


「もちろんですよ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして部屋から霧が晴れてまわりが見えるようになった


「よし、アイツがいまどこに行こうとしているのか、大体わかったな」


とソウタがこれからのことについて考えていると


「それにしてもすごい魔法ね」


とクリスがヨルギスに話しかけた


「あぁ、すごいだろう?これは私のオリジナルの魔法なんだ!」


とヨルギスが自慢げにいう


「よし!」


とソウタが話を終わらせるように言った

そして2人がソウタの方を向く


「俺たちはこれからリアを追うために王都へ行く」

「リアたちは馬車を使っていないことから、徒歩で向かっている可能性が高い、馬車を使えばまだ十分に追いつけると思う」

「しかし、俺たちもそんなにお金はない、だからヨルギス!よかったらお金を貸してくれないか?」


とソウタは頭を下げて言った


「、、無理だね、貸せない、」


とヨルギスは下を向いて言う


「そこをなんとか!」


とソウタは土下座をして頼み込んだ

そこで1人の少年が割って入った


「あの、実は僕たちもお金がないんです、稼いだお金を先生がお金のほとんどを魔法の実験に費やすので、」


と言われて、ソウタはヨルギスの方を睨んだ


「うぅ、そんなに睨むなよ、」

「私だって好きでお金を使ってるんじゃない、お金がかかるのが悪いんだ、!」


「お前はそれでも大人か!」


ときつい言葉を受けながらも深呼吸をしてソウタに提案した


「お金が必要なら私たちも手伝う、その代わりに私たちも一緒に連れて行って、」


その提案にソウタは驚いた、自分の店から離れて自身の生業を止まると言ったのだから当然だ


「先生!本当にいいんですか!?」


と隣の少年も驚いている

するとヨルギスは少年の耳元で小声で


「実は、この前にちょっとヤバい所から研究資金のためにお金を借りちゃって、返済期限がもうないんだよね、このままだと、この店、差し押さえされちゃってもう住むところが無くなっちゃうんだ、」


と言ったものだから少年も呆れてものもいえなかった


「改めて、お願い!私たちも連れて行って!」

「夫婦でいちゃついてても文句言わないし、雑用だってするからさぁ!」


とあらたまってソウタに懇願した


「まぁ、いいよ、連れてくよ」

【本当はさっきの会話が聞こえちゃったからなのもあるけど、ていうかコイツ、わざと俺に聞こえるように喋ったな、?】


と少し呆れながらも了承し


「じゃあ早速準備に取りかかろう!」


「はい!」


といいヨルギスと黒髪の少年は店の奥に入って行った


【あれ?待てよ、リアって今何歳だった、?】


ソウタはふと不思議に思ったことを頭に浮かべた。しかし考えようとした途端にクリスがヨルギスの店の商品を見ていて気になったものがあったのか、すぐに呼んできた

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