第4話 初めての衝動
フィオラ視点
隠れ家の洞窟の中で、少女はひとり、彼が帰ってくるのを待っていた。
最後に血を吸ったのはいつだろう、動物の血をいくら飲んでも満たされない、あの血が欲しい、!リアの血!
人は襲っちゃダメ、だけどリアなら許してくれるかもしれない、だけどそれで化け物扱いされたら?、ノドが乾いた、頭がおかしくなりそう、、、リアはどこ?飲みたい!欲しい!欲しい!!欲しいっ!!!ホシイィッ!!
「ただいま〜」
リアだ、リアが帰ってきた!
「今日はそんなに集まらなかったよ〜、だけどね、おばあちゃんの荷物を持ってあげたらリンゴをもらったんだ、ここら辺じゃリンゴは取れないからね、ラッキー!」
そんなことを言っているリアにフィオラが俯きながら近づいていく
「どうしたの?フィオラ?リンゴが欲しいの?」
「吸血鬼って血以外も一応は食べられるって聞いたけど」
「ちょうだい、、」
「?はいリンゴ」
リンゴを差し出した手をフィオラは振り払う、そしてリンゴは地面に落ちてしまった
「あれ?嫌いだった?」
「いや、好き、」
「好きならなんで、」
リアとフィオラの距離がさらに縮まって手を伸ばせば届く距離になった
「好きだよ、リアの血は!!」
そう言ってフィオラはリアに襲いかかった
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リア視点
【なんなんだ急に!】
リアはフィオラを振り払って森の中に隠れた、息を殺すように茂みの中に入り込み、呼吸音を漏らさないように口を塞ぐ
【僕の血を欲しがってたように見えたけど、動物の血で凌ぐんじゃなかったのか?、】
洞窟に目をやるとフィオラが出てきた
「リア、どこ?吸わせてよ?いいでしょう?」
「リアなら許してくれるよね、リアは優しいもんね、?ダメとか言わないよね?、リアなら、」
なんで急にメンヘラみたいになっているんだ?おかしいだろ!と思いつつもリアは思考を巡らせる
【なんで急に豹変したんだ?クソ!吸血鬼の本なんて読んだことないからわからなさすぎる!】
【とりあえず、フィオラには元に戻ってもらう必要がある】
【それにはフィオラが言う通り、僕の血を飲まなきゃ戻らないだろう】
【おそらくフィオラは人間の血を本能的に求めているんだ】
【だとしたら理性が本能に勝つまで血を吸わせれば元に戻るかも、】
それはあまりにも危険な選択だった、下手をすれば体中の血液を吸われて死んでしまうかもしれないのだから、
でも今はこれしか選択肢がないリアは覚悟を決めた
「フィオラ!僕はここだ!僕の血なら飲んでもいい!だから元に戻ってくれ!」
と言いながらリアは右腕を差し出した
有無を言わさずフィオラは差し出された右腕に飛びつき血を吸い始めた、
約1分後、フィオラは急に腕を噛むのをやめて泣き出した
「!ごめんっ!リア!、、こんな、こんなつもりじゃなかったの!、泣」
「頭がわけわからなくなって、それで、、それで、」
そんなフィオラをリアは抱きしめながら言った
「いいんだよ、吸血鬼なんだから仕方がないじゃん、」
「僕の血ならいくらでもあげる、だからさ今度からは我慢しないでちゃんと言ってよ?」
と少し顔色が悪くなりながらも笑顔でフィオラに言った
そんなフィオラは泣きながらただありがとうとごめんなさいを言い続けることしか出来なかった
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間話 夜のお勉強会
「勉強を教えてほしい」
ある日フィオラがこんなことを言ってきた
なぜ?と問いてみれば
「たまに読めない字があるの、買い物だって算術?ができないから難しい、」
確かに、フィオラはちゃんとした教育を受けていなかった、
どうやら彼女は幼い頃から1人で誰も頼れる人がいなかったらしい。
僕は今唯一、彼女にとって頼れる人なのだろう
だったら僕はその想いに応えたい、
ついでに道徳や倫理も少しずつ教えていった方がいいだろう
「わかった、じゃあまずは、、、」
こうして毎夜、勉強会が始まった
そしてとある日こんな話題が出てきた
「子どもってどうやってできるの?」
うん、いつかはこの質問が来るとは思っていた
ん?僕は11歳なのにそんなことわかるのかって?
いやいや、舐めないでもらいたい、子どもを作る方法は6歳の時に両親の部屋で見た!
なんせあの両親は2人目を作るのにお盛んだったからな
極めつけに父の書斎でそのことに関する本だって読んだことがある!
しかし、こんな純粋な眼差しで僕の目を見てくるフィオラに本当のことを言えるだろうか、否!言えるわけがない!ここでもし言ってしまえばフィオラに避けられることは目に見えている!あれ?そういえば初めて会ったとき、平然と裸で真後ろにいたような、、、
もしかしたらそういう教育が彼女にとって一番重要かもしれない、だからといっていきなりそういうことをいきなりいうのはよろしくない、世の中には順序というのがあるのだ、そういう教育はまた教えるとして、子どもを作る方法か、、よし、!これでいこう!
「子どもはですね、結婚した男女が空に子どもがほしい!と願うとコウノトリという鳥が子どもを運んできてくれるんですよ!」
「へー、そうなんだ。リアはなんでも知ってるね!」
この純粋無垢な屈託のない笑顔を見ると心が痛むが許して欲しい!守りたい、この笑顔!誰もが思うはずだ
それよりもそっち系の教育の方法を考えなければ、、、