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第38話 蝋燭の部屋

突然地面に倒れ込んだ男を見てヘイスは馬車から飛び出してすぐさまその男の元へと駆け寄った


「大丈夫か!?」


ヘイスは急なことに冷や汗が頬を伝った


まず呼吸を確認して脈も確かめたがただ眠っているだけのようだった


「寝ている…?」


「どうしたんですか!ヘイスさん!?」


リアとフィオラもヘイスの後を追うように外に出て2人の元へと駆け寄った


「わからない…ただ念のためにとりあえず病院へ…」


「その必要はありませんよ。」


その男を肩に担いで立ち上がった瞬間。新たにそこへやってくる人物がいた。


「あなたは…!」

「ボーゲン裁判所長官!」


白髪混じりの黒髪でほうれい線の浮かび上がった彼の顔には常日頃の苦労がうかがえて見えた。


「必要ないとはどういうことです!?」


「彼はそこの子をここまで運び込ませるための操り人形だったのですから」


「は?なにを言って…」


その瞬間、3人の騎士が突然現れ、3人の背後を取り首に剣を押し当てた


「どういうことですか?エイジさん。それにイザーク、ロゼールまで…」


緑髪とメガネをかけた男がヘイスの背後で剣を突きつけながら答えた


「裁判所より吸血鬼の可能性があるフィオラという白髪赤目の子供を捕えよとの命令だ」


「吸血鬼?彼女が吸血鬼だと言うんですか?」

「どこからの情報ですか?」


「詳しく話すのは彼女を拘束した後だ。やれロゼール。」


【情報のまわりが異常にはやすぎる、だってさっき着いたばかりのはずなのに…】

【どうやって…】


「わかりました。動かないでね…」


そう思考を巡らせている間にも金髪の凛々しい騎士はポケットにしまっていた手錠を取り出してフィオラの両手にかけた


【逃げるべき…?それとももう少し様子を見て…】


フィオラはすかさずリアに視線を向けるとちょうど目があった。


お互い不安な顔は浮かべていたが取り乱すような様子は無かった


「それでは中へ」


ボーゲンは古く、それでも立派で大きな裁判所の扉を開けさせて中へ入って行った


それに続いてエイジはロゼールと交代してフィオラを連れて裁判所の扉をくぐった


そのときには2人の残された騎士も剣を下ろしておりリアとヘイスは解放された


「どういうことだ!?イザーク!」


茶髪の長い髪を後ろにまとめた騎士はただ一言


「エイジさんの言うとおり。詳しくは中で話す」


そう言うと首をクイっと「入れ」とでも言うように促した


「はぁ…わかったよ。」

「リアも来るだろう?」


「当然です。」


キリッとした目つきでそう返して4人も扉の先へと進んでいった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


真っ暗な部屋の中で目の前のテーブルの上に置いてある蝋燭に火が灯された


テーブルに向かい合うように並べてある椅子に彼も座って詰め寄った


「それではまず単刀直入に問おう、君は吸血鬼か否か?」


「・・・」


沈黙を続けるフィオラにボーゲンは机を両手で力強く叩いた


「私は…」


重苦しい空気の中、彼は次に発するであろう言葉を今か今かと待ってた


「吸血鬼…だけど!」

「私は人を襲ったりなんてしてないっ!誰にも迷惑かけてない!」

「私は…!」


フィオラは決死の覚悟で告白した、そして言葉に詰まってしまうと、


「やかましい!」


突然の怒号に体が反応して思わず喋るのをやめた


目の前の男は一喝浴びせながら席を立ち、さらに詰め寄った


「人を襲ったか襲っていないかなど誰も証明できまい。」

「吸血鬼に生まれた時点で貴様は我が国の敵なのだ!」


そう言いながら流れるようにフィオラの後頭部を鷲掴みにして思い切り机に叩きつけた


ゴン!と鈍い音が部屋中に響き渡り、フィオラは額が割れて、鼻も折れ、赤い血がそのテーブルと白い髪を染めた


「ぐぅ、!っ、!」


痛みを堪えるフィオラをまるで物でも扱うようにその男は何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もフィオラが赤い血でぐちゃぐちゃになるまで机に叩きつけた


【反抗、したら、ダメ、!】

【ここで…っ、!反撃したらっ、!】


「ふぅ、」


ボーゲンは深呼吸するとフィオラを打ち付ける手を止めた


「入れていいぞ!」


その声を受けた外で待機していた職員はなにやら外で誰かと話していた


数秒経つとギィと音を鳴らしながらゆっくりと扉が開いた


部屋の中よりも明るい光が部屋中を包んでいく


【誰…?リ、ア?】


痛みで泣いていた血で濡れたクシャクシャの顔を上げるとそこにはリアでもヘイスでもない。全く知らない短い茶髪の若い女性だった


「あらあら、こんなにぐちゃぐちゃにしちゃって…」

「ぶっ壊すのは私の担当じゃないの?ボーゲンさん?」


その言葉にボーゲンは顔をしかめた


「勘違いするな、お前が私に指示できる立場にいると思うなよ」


「はいはい。それじゃあそろそろ、持って行ってちょうだい!」


彼女の後ろから2人の職員が現れた


「はい!」


そのまま手錠をした息も弱々しいフィオラの腕を掴んで引きずりながらどこかへと連れて行った


「それじゃあ、処理はいつもの感じでいいわよね?」


女はそれに着いていくように部屋を出る前に振り返ってそう言った


「あぁ…、だが、利用価値があるとわかったら…わかってるな?」


「ええ、もちろん、私と同じように…ね。」


そしてそのまま女性は静かに部屋の外へと出て行った

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