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第37話 到着!王都リーナス

ガラガラと揺れる馬車の中


「きて…起きて!リア!」


「ん…なに…?」


「着いたよ!王都リーナス!」


王都に着くまでに実に3日ほどかかった。


「おお、デカいな…壁が高すぎて中が見えない….」


馬車から顔を覗かせて圧巻の壁を見て驚愕する2人にヘイスは事務的に説明を始めた


「それもそうだ、なんせ王都はこの巨大な城壁に囲まれた都市なのだからな」

「都市の人口は7万人にものぼると言われている」


「言われている?」


ヘイスの言葉に疑問を持ったリアは目線を外から席に座っているヘイスへと向けた


「あぁ、この都市は真ん中に王城がありその周りを貴族が、そしてその外側を平民街や商業街が囲んでいる」

「それだけの人口で6万人…」

「しかしこの都市の地下…そこにも人が住んでいるんだ」


「地下街ってこと?」


「そう、フィオラさんの言う通り。」

「我々はその地下のことを'アンダー・ランド・シティ'と呼んでいる。実のところ…我々はこの地下について知ってることは限られているんだ…」


「王都の地下なんですよね?なぜ…?」


「地下は今、1人の男が治めている。元々、'アンダー・ランド・シティ'とは前国王の時代まで貧しい暮らしをしていた人々の行き先だったんだ…」

「現国王はその人々を支援し、地下街も大きな発展を遂げていた…。しかし、ある1人の男が突然地下の民衆に支持され始めた」

「それから彼は地下の王となり地下街の統括者になった」

「国王は地下の王との平和的な対話を望んだところ、彼は3つの契約を出してきた」

「1つ、地下出身者の尊厳尊重。2つ、継続的な地下街への支援。そして3つ、地下の統括者の地位の獲得」

「これらを守れないのならばこのリーナスを支えている地下の柱を折るということらしい」

「国王はその条件をのみ、今日まで王都の平和を保ってきた。」


話が続いている間にリアとフィオラは席に戻って横並びに座っていた


「まるでもう1つの国のようですね…」


リアは顎に手を当てて考えるように呟いた


「そうとも言える、しかしその男と我々が不仲というわけではない、むしろ良好な関係が続いていると言える」

「私から見た彼は、うーん、なんて言うんだろうな…」

「心配性が過ぎるんだ」


ヘイスはため息を吐いてその人に呆れるように頭を抱えた


「心配性…どういうことですか?」


フィオラがそう問いかけたと同時、馬車が城門の前まで着いた


「通行チェックです」


城門の前に立つ兵士達が馬車を一台一台停めて中身と人を確認しているようだった


「話はまた今度だ」


そう2人に言うとヘイスは立ち上がって懐から身分証を提示した


「確認しました。後ろの方々は?」


兵士はヘイスの後ろにいるリアとフィオラに目を向けた


【身分証なんて持ってないぞ…!】


「あの…僕たち身分証…」


「2人は私の権限で王都に入れる。問題ないな?」


リアが言葉を発する途中にヘイスは割り込んで端的に言った


「なるほど…ではサインだけ貰えますか?細やかな手続きは王都省に。」


サラサラと一枚の色々な文字が書かれた紙にペンを走らせて手渡した


「これでいいかな?」


「はい。確認いたしました。通行を許可します。」


そう言うと馬車はまたガラガラと動き出して城門を潜り抜けた


「わぁーーー!!」


2人はまた窓の外に顔を出して周りを見渡した


目の前の大通りの横には様々な露店や店が並んで多くの人々が往来していた


「クライン様がご帰還なされたぞ!」


馬車の存在に気づいた1人の男性がそう声を上げたところ、すぐに人々の関心はヘイスの乗る馬車に向き、人々は歓声をあげた


ヘイスは馬車の中から民衆を見回して手を振って答えた


「ヘイスさん、人気なんですね」


歓声を贈る人々を見ればわかる…ヘイスさんを疑うこともなくただ騎士として尊敬している。

絶対の信頼と賞賛を送っているのが…


【ヘイスさんだけを見てる…】

【圧倒的な光…】


フィオラの目には歓声を浴びるヘイスが輝いて見えた


「そうだね。この歓声を聞けばまだ頑張ろうと。そう思えるんだよ…この声に応えたい、応えなくてはならないって」


ヘイスは外を見ながらそう答えた。彼の目には馬車を見て振り向く人々、拍手喝采を上げる者、尊敬の眼差しを向ける人。数多もの人々が映った。


「ところでこの馬車どこに向かってるんですか?さっきの人が言ってた王都省っていう所ですか?」


「あぁ…そのはずなんだが…」


リアの問いにヘイスは辺りの景色を見てなにか疑問を持っているようだった


「おかしい…たしかに王都省は中心のほうにあるが、この道は確か…」

「すまない。道を間違えてないか?」


ヘイスは御者との間にある窓を開けて小窓から顔を覗かせて言った


「いいえ…合っていますよ?」


その男は声の抑揚がなくあまりにも無感情的にこたえた


「着きました」


馬車が突然止まったかと思い窓から辺りを見回すも、まわりに自分たち以外の馬車は無かった


「どういうことだ?ここは中央裁判所だ…。」


ヘイスがそのまま小窓に寄りかかって同じように見渡しながらそう呟いた


すると突然御者の男は意識が飛んだように地面に倒れてしまった

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