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The world of rights〜吸血鬼の少女〜【わるらい】  作者: SAKURA
第1章 一年半の逃亡
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第3話 温泉街オンセーン

森の中を歩きながらふと両親のことを考える


【父さんと母さんはどうなったのだろうか、】


僕は村を裏切った、この選択に後悔が無いと言えば嘘になる、僕はもう吸血鬼を庇った立派な犯罪者なのだから、


「ところで今どこに向かってるのフィオラ?」


先程からずっと森の中を彷徨っている、

まさか迷子になったとか言い出さないよな、


「どこにも行く宛なんてないよ、もう住処もないんだから、」


かなり悲しげに言っているが、簡単にいうと結局は迷子だ、


「とりあえず、この森を抜けて道に出よう、それでどこか町にいってこれからのことを考えよう。」


今の状況に絶望している暇なんてないんだ、まずはなんでもいい、小さな目標があればそれのために生きられるだろう


「わかった、でも、さっきからずっと同じ所を通ってない?」


フィオラが軽く頷きながらまわりを見渡して変わり映えのしない風景に疑問を抱く


【そういえばそうだ、いくら森とはいえ変わり映えがなさすぎる、】


「森には魔物が多く住んでいるけれど、こんな能力をもつ魔物は知らない、」


フィオラがそんなことを言うとリアが思い出したかのようにいう


「そういえば父さんが昔に幻覚を見せてくる魔物を倒したって言っていました、もしかしたらそれかも」


そんな話をしていると突如地面がひび割れ、リアとフィオラは後ろへ飛び退き、ひび割れた地面から植物型の3mはあるかとおもう魔物が現れた


そしてその魔物は有無を言わさず根っこを鞭のようにしならせながらこっちに攻撃をしてきた


パシーィーン!


地面が抉れるほどの一撃を風の魔法をつかいながら避けていく、そして鞭が届かないほど遠くに離れて


「で、どうやってリアのお父さんはコイツを倒したの?」


「確か根っこが無数に襲いかかってくるのをパーン!って弾いて剣でグサー!って言ってたけど、」


全く使えない情報だ、とりあえず鞭は一本ではないとわかっただけでもいいとしよう、

植物型の魔物はただその場でこっちが近づくのを待っているようにも見える、そこでリアが提案する


「遠くから火の魔法で燃やせばいいんじゃない?」


「わかった!やってみる!」


"火球(ファイアボール)"


そしてフィオラは手から火の玉を生み出して魔物めがけて発射した、しかしその魔物は鞭でその火の玉を弾き返してきた


「!、危ない!」


僕は瞬時にフィオラを突き飛ばして火の玉を避けさせた


「ありがとう、!」


それより、火の魔法は鞭によって弾かれた、これによって新たな手を考えなければならない、


クラッ


突如頭がくらりとした、


【そういえば血が足りないんだった、】


「大丈夫、!?、ごめん、私が血を吸ったから、」


フィオラが倒れそうなリアの体を支える


「いや、いいんだよ、それより目の前のアイツをどうにかしなきゃここから出られない、」


その時フィオラは覚悟を決めたような目をして両手を前に突き出した、


「フィオラ、なにして、」


「大丈夫、!リアは絶対守るから。」

【私のせいでこんな状況になったんだ、リアを守るためなら出し惜しみなんてしていられない、】


フィオラの両手から魔力を感じる、普段使っているより、遥かに濃く、錆びた鉄の香りもする


"血の槍(ブラッディランス)"!


「、、、!!」


フィオラは両手から真紅の鋭く大きい槍を魔物めがけて発射した、


大きな風切り音と共に槍が魔物を突き刺した、

するとまわりの景色が変化した、そこは小さな丘の上だった、朝日が遠くから顔を覗かせるのが見えた、ふと太陽の下に目をやると町が見えた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


町に着くと目の前に観光案内板があった


「なになに、?、温泉街オンセーン?」


どうやらここは温泉の名所らしい

いやいやそれより大事なことがある、それは生きていくのには絶対必要になる衣食住、そしてお金だ

僕たちは無一文でお金がない


グゥ〜


お腹だって空いてきた、昨日の夜は動物を狩って凌いだ。町の近くの洞窟に隠してきたフィオラもそうだろう

ずっと狩りをして生活するわけにもいかない


こういうときどうすればいいのだろうか、僕は子供なのでまともな働き口がないだろう、


【どうしよう、】


そうして考えながら歩いていると人とぶつかってしまった。その人は茶色の髭を生やしているが上の毛はなにも生えていないなんとも目つきの悪いチンピラのような、というかチンピラなおっさんだった


「あっ、すみません」


そうして面倒ごとになりたくないのでとりあえず謝っておき歩き去ろうとすると肩を掴まれる


「おい!待てよガキぃ、テメェ親はどこだ?」


【なんだよ、魔物の次は当たり屋かぁ?】


お腹が空いていたせいもあってイライラしていたのか眉間にシワがより、その心の声が顔に出てしまった


「なんだよその顔、ガキだからって容赦しねぇぞ!」


目の前に自分の手よりも遥かに大きな拳が振り上げられる


【こんな道のど真ん中で騒ぎになるのはまずい、情報をとってきたらすぐに帰ってくるって言ったのに、】


ということでリアは肩を掴んでいる腕を力一杯振り払って逃げることにした


"爆風(ブラスト)"


子供と大人でかけっこをしたら大人が勝つがそれは普通の場合だ、残念ながら今回は相手が悪かったね、僕は足に風の魔法を乗せて速度を上げている


人の混雑の間を上手く切り抜けながら逃げるリアに対して、チンピラは人の密集など気にせず、まわりを押しのけて無理矢理に追いかけてきた


【どんな執念!?】


そこまでしてそんなに、お金が欲しいのか!?と心の中で叫んでいると目の前に荷下ろしをしてきる馬車の列が目に入った。それはリアの進行方向を塞ぐように止まっており、そこに突っ込めばあの男も突っ込んで大惨事になることが目に見えた


【まずいまずいまずい!】


危機迫る状況でリアは通りの脇に小さな路地裏の道を見つけた


【ここで撒くしかない!】


リアは爆風を使って進行方向を直角に変えてその路地裏へと入って行った


【よし、あとはぐねぐねに移動して撒けば、】


そう考えるのも束の間、リアは路地裏を抜けて大通りへと出てしまった


「あれ?」


リアが後ろを振り返ると、まだあの男を追いかけてきていた、男は息を少し切らしながらも、鬼の形相でリアを追いかけてきている


「まだくるの!?」


リアは再び、大通りの反対側の路地裏へと入っていき、男もそれに続いて走りながら入ってくる


「なんだありゃ、?」


その様子を見ていた金髪の男は、その一部始終を見て、路地裏の方へと歩きだす


「どこ行くの、コーティス?」


黒髪の女性がその金髪の男の肩を掴みながら問いかける


「いや、今子供が変な奴に追いかけられてて・・・」


そういうと黒髪の女はため息をつきながら肩を掴んでいた手を離して路地裏に向かって歩き始める


「本当におせっかいが好きね、まぁそんなあなたが好きなんだけどね?」


女が振り向いてコーティスの手を引っ張って歩き出す


「よし、行くか!」


そういうと、コーティスはその女を抜かして、手を引っ張りながら裏路地へと走って入って行った


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一方で逃げているリアは、土地勘がないからかしばらく逃げているうちに路地裏で行き止まりについてしまった


「まずいな、」


「なにがまずいんだ?手こずらせやがって、ボコボコにして親から慰謝料をたっぷりもらうとするかぁ」


【やるしかないか、】


その時チンピラの後ろから声が聞こえた


「いい大人がよりにもよって、なに子どもいじめてんだ?」


そこには金髪の20代前半にみえる自信満々なオーラを放つ男とその隣には美しい容姿を持った髪の長い黒髪の女が立っていた


その姿を見てチンピラが狼狽える


「金髪の冒険者、お前は、まさかサルベルトか!?」


サルベルトと呼ばれた男は誇らしげに自己紹介する


「いかにも、俺の名はコーティス・サルベルト、冒険者をやってる者だ!」


男がそう名乗るとチンピラは獣に出くわしたかのように焦りながら、実際の獣には悪手となる行動になるのだが尻を巻いて逃げた


「ガキ!今回は見逃してやる!次会ったら覚えとけよ!」


チンピラは足早に路地から立ち去った


「大丈夫か?」


「はい、ありがとうございます」


「お前ボロボロだな孤児か?」


「え?」


言われてみると森中を駆け回ったせいかかおには土がついていて服も汚れていて所々服の端が切れている


「?違うのか?」


「えぇ、まぁ、似たようなものです、」


「そうか、じゃあな、これからは気をつけろよ」


そうして男が立ち去っていって

リアは彼の言った言葉が気になった

【冒険者か、ありかもしれない、】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夜、洞窟にて


「リア、どうだったなにか成果はあった?」


そうしてリアは鼠色のローブといくつかの食料をだした


「孤児のフリをしてお金を集めてみた、観光街だからか人通りも多くて案外お金を手に入れられたんだ」


「このローブは?」


「それを羽織ってフードで顔を隠せば目立たずに町にも出られるんじゃないかって思って買ったんだけど、安物でごめんね?」


「そんなことないよ、ありがとう!、」


頬を赤らめながらローブを羽織り嬉しそうにしている

そんなフィオラにリアが提案する


「僕たち、冒険者にならない?」


「冒険者、?」


「うん、冒険者なら12歳からなれるでしょ?」

「僕はあと1年と少しで12歳になる、それまでは狩りと孤児のフリをしながら生きながらえよう」


本当なら絶対に無理な計画だ、しかし今はこれ以外に考えられない、


「?、12歳ですっていえばいいんじゃないの?」


「いや、それはダメだよ、法律は守らないと、」


「え?、」


「え?」


2人は顔を見合わせてお互いに不思議そうな顔をする

その状況は動かしたのはフィオラだった


「私を庇ったのに今更なに言ってるの?」


そういえばそうだ、僕は現在進行形で犯罪者だった

いやいやだからってなんでもルールを破って言い訳じゃない、


「僕はね、自分が正しいと思ったことをしただけであって、結果的に犯罪者になっただけだからね、!」


「ふーん、わかった」


そうフィオラは嬉しそうに微笑むのだった

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