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第25話 撃退成功・・・?

暗闇の向こうから現れたのは白髪に染まった皺の目立つ少し歳をとった貫禄のある男性だった


「どうしてあなたがここに、?」


シトリーネがその男性に問いかけるも男からは返事は得られなかった


「おまえは、ガープル・メイランスだな?」


エイジがそう言うとようやく男性は口を開いて答える


「ワシのことを知っておるか」


「正体不明の謎の老人、未来の信徒の幹部、それしか情報はないけどな・・・」

「ついてないな、未来の信徒の大物かー。どうせなら少しくらいお前がなんなのか教えてくれないか?」


ガープルはその言葉を気にも止めず、シトリーネの側へ行き呟く


「撤退じゃ・・・」


その言葉を聞いたシトリーネは出していた鎖を転がっている装束たちに繋いで引きずりながらその場を離れていく


「ちょっと待てよ!逃すか!」


エイジが剣を抜いて追いかけるもガープルという男性が目の前に立ちはだかり剣と剣が激しくぶつかる

そのまま2人は斬り合いへと発展するが、ガープルという老人はその歳では考えられないほどの剣技を見せ、エイジの剣を吹き飛ばすと同時に煙玉を地面に投げる、その瞬間、辺りが白煙に包まれてまわりがなにも見えなくなってしまった。しかし、そんな中に一つの声が屋敷全体に静かに響き渡った


"無の認識(むのにんしき)"


「未来の信徒はここには来ていない」


そして、煙が晴れる頃にはその姿は闇へと消えて行ってしまった


「クソが!どうしてこんなことした!ソウタ!」


エイジはイラつきながらも剣を拾って近くに生えていた何の罪もない木を一刀両断してしまった


そして深呼吸をひとつおいて、彼はこの事件の処理を始めるのだった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シトリーネはクリスの四肢をついに全て切り落として、その傷口も塞いでしまった


「完成したわよ?ソウタ、見なさい?」


と声を高らかにしながらソウタの髪を掴んでクリスの姿を見せる、そしてバラバラに切り落とした四肢を目の前に持ってきて、装束が作った焚き火にその全てを放り込んだ


ソウタは壊れた人形のように目はもう完全に暗くなっており、クリスも、それまでの痛みによってもう生きる気力すらないような状態だった


「こ、ろして・・」


クリスがそう呟くとシトリーネはクリスの髪を掴みながらソウタの前に持ってくる


「そうね、お前はもう十分役割は果たしたわ・・」

「けどねクソ女、これはあなたが始めたことなのよっ!」


そう言いながら彼女はクリスを馬車の中に放り投げ、シトリーネが合図をするとその馬車は走って行ってしまった


「クリス、をどこに・・?」


ソウタは今にも消えてしまいそうな死にそうな声でシトリーネに問いかける


「あの女には私の遊び場に行ってもらったわ」

「あなたが私のものになると言うのならいやでも見ることになるわ・・・卑劣のやり方を。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


未来の信徒、悲哀と戦うリアたちの戦場にマルタの絶叫が響き渡る


「あ゛ぁっーーー!」


その声に全員が反応して目を向ける、その先には無惨にも倒れ込んだロノアが倒れ伏していた


「くっ、」


リアはその姿を見た瞬間、なにも考えられなくなった。そしてその隙をつくように装束の剣士が襲いかかる

リアが気づいた頃にはその剣はもう首元へ来ており、リア自身ももう終わったと思った


「リア!しっかりしてっ!」


その声が脳内に響いた時には首元にウィンドローテが生み出されており、それをしたのは紛れもなく声の主である、ネックレスの中のクレア自身だった


ウィンドローテに剣は弾き返され、正気を取り戻したリアがその剣士の腹を横一文字に切り捨てた


剣についた血を振り払いながらリアは戦場を見まわす


【俺がやらなくちゃ・・、クレアの仇を討つためにこんな所でやられるわけにはいかない、!】


そしてライアはヘイスと戦っているオロバスを見つける、その姿を見たライアはそっちへ邪魔をする敵を斬りふせたり、風魔法で遠くへ吹き飛ばしながら猛進する


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ロノアが目の前で倒れていったマルタ、そのロノアに助けられたリンは悲しむ猶予は一瞬しか与えられず、すぐに目の前の二刀流の装束の剣士が再び襲いかかってくる


【く、くる!】


剣士はまっすぐマルタの方へと向かって兵士の剣を振り払って向かっていく


【くる、!くる!、俺にできるか、!?】

【ロノアさんが勝てないんだ、!】

【そんなの俺に勝てるわけ・・、】


マルタが恐怖に足を振るわせ、震える手をもう片方の震える手で押さえつける。しかしいくらそんなことをしても目の前の状況は変わらず最悪だった、さらに交戦していた兵士が1人、また1人と斬られ、ついにマルタの目の前へと走ってきた


「く、くそっ!くるなっー!」


マルタは前から近づいてくる敵に杖をブンブンと振り回しながら喚き散らす


「しっかりしなさいっ!マルタ!」


その声と同時に激しい剣戟が鳴り響く


「コイツにやられたロノアさんの、仇を討つのよ!」


マルタと剣士の間には傷だらけのリンが剣士の2本の剣を受けており、ジリジリと力の差で押されていた


「リ、リンさん、!」


マルタはそんな彼女姿を見て正気を取り戻し鬩ぎ合うリンの横から飛び出しながら超近距離で杖を向ける


「死ねーっ!」


"岩球弾(ロックキャノン)"


マルタは自分の頭大ほどの岩を高速で剣士の頭目掛けて放ち、剣士の顔は抉れ、治癒不可能なほどに頭を吹き飛ばした


剣士を倒したマルタは片膝をついたリンに近づいていき、手を差し伸ばす


「朝と逆ね」


とリンは優しく微笑みながらマルタの手をとる、マルタはそんな彼女の顔を見て頬を赤らめた


「いえいえ、リンさんのおかげで助かりました!」


「そうね、パニックになって魔法使いなのに杖を振り回してた時はどうなるかと思ったわ・・」


「いやー、それはできるだけ言わないでくれると・・」


2人は少しだけ柔らかな表情で話すと、一呼吸おいてロノアの元へ行き、安否を確認した。

結果は勿論、斬られた傷は深く、もう息もしていなかった。


「駄目ね、脈もないわ・・」


「うっう゛、」


マルタは泣きながらロノアの体を揺さぶる


「起きてくだざいよ!ロ゛ノアさん゛!」


戦場では仲間の死を悼んでいる暇はなく、すぐに次の敵がマルタとリンの目の前に現れる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヘイスはオロバスの女神像を攻略するためにオロバスに攻撃を仕掛けず、オロバスの攻撃を避け続けていた


「ちょこまかと面倒ですね!大人しくしてくれませんか!」


オロバスは両手の長いハンマーを器用に軽い長剣のように扱い、ハンマーの近くでは、ものすごく轟く風の音がなっていた


【コイツ、本当に盲目か!?】

【動きは完全に熟練者のそれなのに!】


ヘイスはハンマーの柄の部分を弾いて連撃を凌ぐ


「いい加減、攻撃してきたらどうですか?」


オロバスのその言葉を受けたと同時、オロバスは目の前で起きていることに気がつかなかった。戦っている間に地面にはいくつとの水たまりができており、それを踏む水音でヘイスの策に対処することができなかった


ヘイスは自分とオロバスの間に鏡のように写る水面を作り、水の鏡の周りからは水の滴が浮かび上がっていた


"超水砲(アクア・レイ)"


水の滴は水の鏡の前に凝縮され、唱えた瞬間に超高圧の水がオロバスの胴体を貫通する、その威力は森を破壊した時の比ではなく、オロバスの胴体に大きな穴が空いて貫通した後も、奥の森を果てしなく轟音を立てながら吹き飛ばしていく


オロバスが痛みを感じた頃には既に体の大きな穴から臓物や大量の血が外へ流れ出ていた


「なっ、なぜっ、・・・わ、わたしはまだっ、やらなくてはならないことがっ、!」


オロバスがそういうと血反吐をはきながらうつ伏せで倒れ込んでいく


「まだ聞こえるな?最後だから教えてやる。お前の能力は自分の体の傷を反射して相手に移す、そんなところだろ?私はお前の傷が反射されるところに擬似的な鏡を作った、お前の反射は私の鏡に映っていた貴様自身に飛んでいったんだ。お前の敗因はたった一つの簡単な答えだ、貴様は私を本気にさせた・・・」


ヘイスがそう言い残してその場から去ろうとして後ろを向いて歩き始めた


【苦戦しているところの加勢に行かなくては・・!】



するとリアが戦闘が終わったヘイスの元へ辿り着いた


「流石ですね。ヘイスさん、!」


「リアか、聞きたいことは沢山あるが、今は残りの敵を捕える!手伝ってくれるか?」


そういってヘイスはリアに手を差しのべる


「もちろんです!」


リアは決意に満ちた目でその手を掴む


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


コーティスの戦場にリアとヘイスが到着すると、既にコーティスが全身傷だらけになりながらもなんとか勝利していて、敵を捕縛している途中だった


「そっちは終わったのか?」


ボロボロのコーティスが近くにある腰掛けられるほどの大きさの岩に座り込んでいた


「もうあの装束野郎共は散り散りになって逃げ出したみたいだな。」


「我々もこれ以上深追いする必要はないだろう。'悲哀'撃破、そして多くの捕虜、敵討ちはもう済んだだろう。」


そういって少し黙り込むと難しい顔をしながらその場にいた全員が捕虜を連れて集まってくる中、ヘイスは死体の山を見ていた


「私の判断は間違っていただろうか・・」


多くの兵士、そして一般の冒険者だったコティーズのメンバー。彼らの死体が並べられて戦後処理が行われる中、ヘイスは考え込んでいた


【もっと上手くできただろう、!私は、こんなにも多くの部下を、コティーズの人達まで・・、】


目を見上げると並べられた死体の目の前で泣き崩れる者、仲間の死を前に呆然と立ち尽くしている者、そんな残された者たちが目に入った

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