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第20話 遺跡の魔女/緑の宝石

リンと兵士たちは壁沿いを走りながら周りを照らして出口を探す


「こんなに走っても出口はないの!?」 


彼女たちはもう3分も周りを走っているがその空間の周りの長さのまだ半分ほどしか走れていなかった


「メイア様!ここを!」


1人の兵士が指差したのは人が1人ずつ入れるような細い隙間だった、そこに灯りを近づけると奥にも部屋があるようで、その奥には階段が見えた


「よくやったわ!君はここから出て様子を見ていて頂戴!」

「あなたはコーティスさんたちの方に撤退すると伝えて頂戴!」


「はっ!」


2人の兵士は敬礼してそれぞれ課せられたことを実行し始めた


「私は・・」


そう呟きながら戦っているヘイスとマレインという少年を見る

戦況は互角、と言えるがリンは知っていた、まだヘイスは本気ではないということを


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヘイスは飛ぶかう糸を剣で吹き飛ばしながら地面に水を生成して辺りを逃げ回る


「マレイン、君は他の炎や氷を出さないようだが、魔法が使えないようだね?」


「あぁそうだとも」

「僕は魔法なんか使わなくてもこの糸だけで戦ったんだ!」


そう少年は言いながら柱と柱に絡めた糸に乗って両手をヘイスに向けて標準を合わせる


"糸弾(スレッドバレット)"


放たれた糸の弾丸をヘイスは避け続ける

その際にピチャピチャと水を鳴らしながらさらに地面に水たまりを生成する


"糸斬撃(スレッドスラッシュ)"


糸の斬撃をヘイスに大量に飛ばす


【よし、これで整った】


ヘイスは逃げながらあたり一面を水たまりに変えた

そしてヘイスは水へと変身し水たまりに潜り込み、その斬撃を高速で交わし続ける


"超水飛沫(アクアスプラッシュ)"


ヘイスは水飛沫をマレインのいる空中へとあげ、マレインを囲う


「なんのつもり?」


マレインは腕を組みながらあたりに向かって再び斬撃を繰り出す、その斬撃は水の中を高速で移動するヘイスに当たることはなかった


水飛沫は空中で止まっており、ヘイスが最後の一撃を与える


"超水弾(アクア・バレット)"


その水飛沫がマレインに向かって岩盤をも貫く勢いで襲いかかる

次の瞬間、水の弾丸はマレインの体を貫通する


「終わりだ」


そして残りの弾丸もマレインの体を貫いた


しかしマレインの体からは血は出てこず、痛がってもいないようだった


「あれ?僕の負けかー、じゃあ僕はこれで終わりか、バイバイお兄さん!」


そう言うとマレインは暗闇に溶けて完全に消えた


ヘイスは水の体からいつもの体に戻り、辺りを見回す


「あの子はどこへ?、終わった、のか?」


そう呟くと遠くから声が聞こえてきた


「ヘイス様ー!見つかりましたー!」


リンが手を振って叫んで呼んでいるのを見て手を振る


そしてヘイスはリンの元へ走り出した


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「大人しく食べられてよ!」


マロフォはお腹を鳴らしながら慟哭する


「あぁ?食べられるわけねぇだろ!」


コーティスが怒りを込めた連撃を少女に叩き込む


少し切り刻まれながらも出血はせず、逃げ回り続けて、隙を見て飛び込んでコーティスや兵士、フィオラを食べようとする、それでも食べることはできず、マロフォはロノアと手当てをする兵士の方へと目を向ける


そして獲物を変えたかのように2人の方へと走り出す

その行動を一同は見逃さず、1人の兵士が立ち塞がり剣を振り上げ、叩き下ろす


ガリッ!


少女は振り下ろされた剣を歯でかじり、その剣をガリガリと一瞬で食べてしまった


「え?」


兵士は一言しか発することができず、一瞬で少女に上半身をつけていた胸当てごと食べられてしまった


「んー!やっぱりお肉の方が美味しいねー!」


とバリバリと音を鳴らし、薄ら笑いを浮かべて下半身の方にも手を伸ばすも駆けつけたヘイスによって伸ばした両手を切り飛ばされてしまった、もちろんその切り口からは血は一滴も垂れてこない


「あれ?私の手は?」


「私の部下をよくもやってくれたな!」

「貴様には後悔する隙さえもあたえさせん!」


そう叫ぶと同時に首を切り飛ばし、数秒後に暗闇に溶けて消えた


「遅れてすまない」


「いや、応戦してくれて助かった」

「それよりも・・、」


コーティスは無惨にも下半身だけが残った兵士の死体を見る


「いいや、今回は相手が悪かったとしか言いようがない」

「彼女の名前はマロフォ・ロメロ、兄のほうはマレイン・ロメロ、兄の方から名前を聞いて思い出した、あの兄弟は数十年前に生きていた人間だ、彼らはそれぞれ糸と貪食の権利を持っていて、両親は妹によって食べられ、妹の食べる、という衝動を叶えるために、兄は殺人を犯し、妹はそれを食べるという生活を送っていた」

「しかしそんな生活も長くは続かず、すぐに当時の騎士団は犠牲を被りながらも2人を捕らえて処刑した」

「その時は2人が権者ということまではわからなかったが、先程の戦闘でそのことがわかった」

「なぜ、死んだはずの人間がここにいたのか、それが問題だ…」


「そんなのはどうだっていい!」


コーティスが下を向いて叫ぶ、そしてヘイス向かって懇願する


「ロノアを、ロノアを治してくれ!お前ならできるだろ?この兵士だってお前ならどうにかできるんじゃないのか!?」


「すまないが、それはできない、私のこの権利は水に関連する、」

「一部の植物を成長させたり生み出すことは出来ても人の体の欠損を治すのは難しい、傷口を塞ぐことくらいならどうにかできないこともないが、ロノアさんの腕を完全には治療できない・・」


「そん、な、」


コーティスは膝から崩れ落ちて涙を流す


「また、また、!俺のせいで!」


コーティスの頬からは大粒の涙が溢れる

すふとその時、


「うわぁーーーー!!!」


ドゴォーーン!


リンが吹き飛ばされて柱に激突して座り込む


「リン!」


ヘイスがリンに駆け寄って傷を回復する


「ありがとうございますヘイス様、」


「なにがあった!?」


そういうとリンは吹き飛んできた方向を指差す

指差した先には長いさらさらなアイスシルバーの髪に綺麗なライトグリーンの目をした魔女がこちらに歩いてきていた


コツコツコツ


「既視感のある登場でごめんなさいね?まさか水の権者がいるだなんて、あの子達じゃ役不足だったわね・・」


その姿を見た瞬間、その場にいた全員が全身から汗が飛び出し、足が震え、誰も動けなくなっていた


「誰なんだ?お前は・・?」


かろうじてヘイスが鞘に納められている剣に震える手をのばして問う


「自己紹介がまだだったわね、水の権者さん」

「私は魔女ソロモン・ロスヴァイセ・リーナス」

「あなたたちのことは全員知ってるわ、見ていたもの・・」


そう言うと瞬きをするような一瞬でフィオラの後ろへ移動して耳元へ囁く


「もちろんあなたのこともね」


フィオラは囁かれた耳をおさえながら後ろを振り向く、そこには貼り付けたような笑顔を浮かべた銀髪の魔女が後ろに手を組んで立っていた


【私が動けない!?】

【この場で唯一の権者である私が動かなくてはならない状況なのに・・なぜ!?】

【それに、リーナスだと!?】


「水の君は少々落ち着きたまえよ」

「私は別に取って食おうとしているわけではないんだよ」

「私はただあの子たちのやりたいことをやらせてあげてるだけだよ」


「あの子たち?」


ヘイスが口を開く


「えぇもちろんさっきのあの兄妹のことさ」

「ついでに言うと、あのリアと呼ばれているホムンクルスの中にいる妖精もね」


「え?なにそれ?なに言って・・」


フィオラが震えながら一歩を踏み出して魔女に近づく


「ごめんなさいね。今は君たちの質問に答える気はないわ」

「それよりもあなたたちにはこれから起こることを見る権利があるわ」


ソロモンは指をパチンと鳴らして全員を奥に壁画が描かれているとある石造りの部屋の一室に瞬間移動した

そしてフィオラの目の前にはなにかの箱を開けてじっと動かないリアが立っていた


「リア!?どうして、ここは?」


フィオラがまわりを見回すと全員が同じ場所に来ていて、2つの死体が端に置かれていた


「おい、ソロモンとかいったな?」


「名前を覚えてくれて嬉しいね?君の言いたいことはわかるよ?もちろんそれをしたのは私だ」


「貴様!」


ヘイスは震えながらも気合いで剣を抜き、水を纏って斬りかかる


「君は今この場には不適切だね、だからといって除け者にするつもりはないよ」


再び魔女は指をパチンと鳴らしてヘイスを透明な膜に閉じ込めた、ヘイスは内側から膜を叩きながら叫ぶもびくともせず、音さえも聞こえなかった


「うんこれでよし!外の音は聞こえるようにしたから大人しくそこで聞いていておくれよ?」

「さて、ここで動かなかった君たちは正解だ」

「君もよく動かなかったね。目の前に愛しの彼がいるというのに、それとも怖くて動けなかったかな?」


と言いながらフィオラの震えている体の肩に両手を置く


「さて、そろそろ終わる頃だ」


「終わる?」


ソロモンとフィオラの会話が終わった時、箱の中身が光って部屋が目も開けられないほどの眩い光に包まれる


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そこはリアの頭の中、いや細胞の追憶の空間・・

そこでリアはライアとして生きた人生の一部をただ漠然と見ただけだが、再び送ったようにも感じた…

その壮絶な人生を、愉快な仲間たちを、最愛の彼女を、嬉々たる日常を、残酷な別れを、憤怒の怒りを、非情な世界を、永遠の運命を・・・・

そんな長い時の流れを一瞬で体験した


真っ白な空間の中で目の前には1人の妖精が浮かんで飛んでいた


「どう?これが彼の、いいえ、あなたの過去の物語…」


クレアが涙を流しながらリアの頬へと量手を添える

リアは少し微笑みながら答える


「だけど、これは過去の、いやライアの物語だ・・」

「それでも、俺は、今の自分は僕だ、リア・クリエイトだ。」

「この細胞は彼のものだけど、この体は僕のもので、この意識は確かに僕のものなんだ!」


「そう・・あなたは・・」


「うん、ごめんクレア、僕は・・やりたいことをやるよ」


リアはクレアの頭を撫でて一筋の涙を流す


「それでも、絶対に、君を殺したアイツに絶対に報いてやるから・・」


そしてクレアの体が少しずつ崩れていく


「うん、そろそろ時間みたい」

「私の力、あなたに使って欲しい。私をまた外に連れて行ってほしい!」

「ライアの力は、あなたの中にもうあるから・・」

「使い方は・・わかるでしょ?」


「うん、思い出したから・・・」


そして崩れかかるクレアはリアとキスをして完全に崩れて消えていった

そしてその空間にヒビが入り、パリンと割れてリアは目を覚ました


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そしてリアの目の前には一つの緑色に輝いた宝石が埋め込まれたネックレスが入っていた

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