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The world of rights〜吸血鬼の少女〜【わるらい】  作者: SAKURA
第1章 一年半の逃亡
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第1話 吸血鬼との遭遇

カンカンカン!

とある村の一際目立つ大きな一軒家の中庭で親子が木剣を打ち合っている音が鳴り響く

その子の名前はリア・クリエイト。一人前の剣士になるために日々父親と修練に励む10歳の男の子である

幼い頃から父と母から英才教育を受けており、学力は一般人より高く、村の人たちからは"天才"と称されているが村の子供たちと馴染むことができずにずっと家か、その庭にしか姿を現さない


カーン!

手に持っていた木剣が父の一刀によって吹き飛ばされ目の前に剣の切先を突きつけられる


「また俺の勝ちだなリア!」


8歳の子どもに勝って喜んでいるこの短髪の黒髪、二十代後半ほどの父親の名前は

ソウタ・クリエイトである。

彼は王国の召喚士によってこの世界にやって来た異世界人である

しかし彼は魔力を扱うことができない代わりにその一般男性と同じような見た目をしていてもその内には圧倒的な腕力、脚力、あらゆる筋肉が凝縮している

彼は王国の騎士として最前線で活躍していたが、とある事件をきっかけにこの辺境の村の守備、保安のために村の剣士へと追放されてしまったという過去を持つ


そんな父にリアは一言言う


「さすがお父さんは強いですね」


「そうだろう?俺はリーナス王国の元騎士だからな」


そんな仲睦まじい親子の会話に1人の女性が遮るような声で呼びかける


「2人ともー!そろそろご飯にするから終わりなさーい!」


長い茶髪を靡かせ、気の強そうな彼女の名前はクリス・クリエイト、ソウタの妻でありリアの母親である

彼女は王国の貴族出身だがソウタと駆け落ちをしてこの村で幸せに暮らしている


夕飯の席についた家族は食事を始める

食卓には香ばしい香りのする肉や野菜のスープ、そしてパン、この村では裕福な生活をしている方で、家も二階建てで広い庭付きなのでなに不自由なく生活している


「いただきます!」(一同)


「今日のご飯も美味しいですね!」


「あぁ、そうだな」


「私が料理してるんだから美味しくて当然よ!」


とクリスはフフンと鼻を鳴らして鼻高高く話す

すると突然、ソウタが食べる手を止めて口を開く


「そういえば明日は近くの森に魔物が出たらしいからそれを討伐してくるよ」


「わかったわ、気をつけてね」

「お弁当いる?」


「あぁ、ありがとう」

「一日中かかるかもしれないから明日は稽古は無しなリア」


「そうですか、わかりました」


とリアは少し残念そうに言った


リアは特にやりたいこともなく、読書などもするが、なによりも剣を握ること。これだけは毎日飽きずに握り続けることができる。まるで身体が剣を求めるように暇さえあれば剣を振っている


そんな彼にとって、1番の好敵手である父親がいないとなれば、自分で課したトレーニングをすればなにもすることがなくなってしまう。


数ヶ月前に無理に剣を振り続けて怪我をし、リアは母親に1日の剣を振る時間を制限されたので最近は家事の手伝いもする


リアは明日の楽しみが無くなり、しょんぼりとしていると、それを励ますように母親は言う


「たまには身体を休めるのもいいんじゃない?」

「ここのところずっと稽古してるわよ?」


たしかに息抜きも必要かもしれない、ただ外を歩くだけでも心は癒されるって本でも読んだことがある


「そこまでいうなら明日は散歩にでも行くとします」


「いいじゃないか、たまにはゆっくりするのも稽古の一環だぞ?」


「あなた、稽古じゃなくてリフレッシュするために勧めたのよ?」


ソウタはクリスに詰められて少し落ち込み、頬をポリポリと掻きながら答えた


「そうなのか?、すまん。」


そんな両親の会話を片耳で聞きつつリアは明日の予定を頭の中でたてていく


【明日はどこに行こうかな、】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次の日


家の玄関で装備などの支度を終えたソウタとクリスが話している


「それじゃあ行ってくるよ」


「くれぐれも気つけてね」


「任せとけよ、俺、最強だから。」


とまるで目隠しを外したような決めポーズをするソウタにクリスが頭をポンと叩く


「何言ってるのよ、そんなことばっかり言ってると痛い目見るわよ、」


「はいはい、ちゃんと気をつけるよ」


仲の良い夫婦の会話が終わり、いざソウタが扉に手をかけようとすると、なにか思い出したかのように振り返る


「そういえばリアにあの大樹のことを言っといてくれよ?」


「もちろん、家のことは任せていってらっしゃい」


「あぁ行ってくる」


そして今度こそ扉を開けて晴天の空の下に出かけて行った


 数時間後


リアは何もない日に少し心踊りながら村の道を歩いて少し村から離れたところまできていた


「さて、散歩には出たもののどこに行こうかな、」

「最近は釣りにも行ってなかったから魚でもとってくればお母さんも喜ぶかな」


そうして一度家の倉庫に帰って釣具を持って川に行く途中、ここからどれくらい離れているのかもわからないほど一際目立つ大きな木が見えた


「あんなところにあんなに大きな木あったっけ?」

「たしかお母さんが大樹には近づかないことって言ってたけどなにかあるのかな、」

「まぁいいか!今は休日を楽しもう!」


そうして川に向かって再び歩きだしてしばらくすると何人かの声が聞こえてきた


「わー!魔物狩りだー!」


その声の方をよく見ると1人の白髪の子供と数人のいかにもクソガキな男の子がいた男の子たちは白髪の子に木の棒で殴りかかり、石を投げていて白髪の子はその場でうずくまるだけだった。

よく見るとその子の足からは血が出ていて、全身があざだらけになっている、そしてその目はまるで光が無いような目だった

リアはその行動を見過ごさず3人の男の子たちと対峙した


「なにしてるんだ!」

「1人に対して寄ってたかって!」


とリアが間に割って入ると3人組のトップと思わしき太っちょのチビデブが反論する


「何言ってんだお前?こいつのこの白い髪!コイツ俺たちと違うんだ!ぜってぇ人間じゃないぜ!魔物だ!魔物!」


それに続いて残りの取り巻き2人も続く


「お前、たしか剣士のところのガキだよなぁ?俺たちはお前よりも年上なんだぞ!」


「そうだそうだ!年上の言うことは聞くものなんだぞ!」


そうやって言い合っていると白髪の子が泣きながら口を開く


「もう、イヤだ・・」


「うるせぇよ!魔物が!俺が退治してやる!」


そうしてチビデブが再び木の棒を少女の頭に向かって振り下ろす


「ちょっと!待てよ!」


リアは咄嗟に足下に落ちていた石を投げてチビデブの手の甲に当てた

チビデブはあまりの痛さに棒を落としてしまった


「なんだ?オマエ?魔物の味方をするのかー?」


チビデブが煽るように問いかけてその問いにリアは怒りを露わにしながら反論する


「この子があなたたちになにかしましたか?なにもされてないのに見た目だけで決めつけて手を出すあなたたちが100悪いに決まってます!」


そう言うと取り巻きの1人がリアに向かって言う


「なんだとー?こうなったらあの剣士のガキだろうが関係ねぇ!お前も退治してやる!」


そう言って子供たちは石や木の棒を持ってリアに突っ込んで行った


「退治ー!」


ガッドッガッ

リアは相手の手に剣撃を叩き込み子供たちは武器を落とした


「次は顔ですよ?これ以上痛い目に遭いたくなかったらさっさと帰ったらどうです?」


子供とは思えないほどの覇気を纏いリアは威嚇する


「お前、覚えてろよー!」


とチビデブは悪役のセリフNO.1のセリフを言って去っていく、そしてチビデブを追いかけるように残りの全員も負け惜しみの言葉を残して走り去っていく


「ママに言いつけてやるー!」

「わーん泣!」


子供たちはそうして村の方へ逃げていった


リアは白髪の子の方に目を向ける

そこには土を被り、血を出して怪我をした白くて長い髪をしてその髪の隙間から赤い目が見える少し耳が尖っている麗しい少女が座りながらこちらを見ていた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その後僕は少女に肩を貸して川に連れて行き土や泥、そして血を洗い流した

少女が汚れを流している間に僕は少女の汚れた服を川の少し離れたところで洗っていた


「なかなかとれないなぁ」


とぶつくさ言いながら洗い続ける


「助けてくれてありがとう」


急に後ろから声が聞こえた


【いやいや、気のせいだ気のせい、彼女の服は今!まさに僕が洗っているんだ、なんなら下着まで洗ってるんだ!気のせいじゃなきゃ今裸で真後ろにいることになる、、いやいや、ありえないって、それにそもそも怪我してて歩くのも難しいはず、!気のせいだ気のせい、洗うのに集中しよう!】


僕は心の中で動揺しまくった


「?聞こえなかった?」


【気のせいじゃなかった、じゃあどうして裸で後ろにいるの?もしかしたら裸じゃない、?】


「あぁごめんごめん、洗うのに集中していたよ、ところで、下着も洗ってるんだけど今、何着てるの?」


おそるおそる聞くも、帰って来たのは軽い返事だった


「?全部着るもの持っていったのになにか着れるの?」


その答えに思わず


「おかしいだろ!!」


とつい声に出てしまった

その声に驚いたのか彼女はビクッとしながらも謝ってくる


「えっと、ごめんなさい、?」


【本当にわかってるのか〜?】


「とりあえず洗い終わったんで乾くまで待っていてください、」


「わかった、」


「あとこれ!」


そういうと、リアは羽織っていた服を一枚、フィオラにそっぽを向きながら差し出した

そのときにリアがふとフィオラの足の怪我を確認すると


【足の傷、無くなってる、?】

【ていうか痣も綺麗に消えてる?そんなすぐ治るもんなのか?】


そうしてとりあえず僕の上着を羽織らせて乾くのを待っていると


「なにしてるの?」


突然彼女が問いかけてくる


「?乾かしてるんだよ?」


「?貸して」


「え?」


僕は戸惑いながらも彼女に服を返す


"小風ウィンド"


すると突然、彼女の手から風が出てくる


ブオォオォ


「?どうして風が?」


「私はいつもこうやって乾かしてた」


「ふーん…」


そう思いながらも乾くのを待って、彼女が着替えるのを待って上着を返してもらい木の真下に帰ってきた


「改めて、助けてくれてありがとう、私はフィオラ」

「今はあの大樹に住んでるの」


「僕はリア・クリエイト、ここからだと、ギリギリ見えるか、あの村のあの家に住んでる」


家を探してついでに日がもう低い位置にあることにリアは気がつく


「ていうかもう日が落ち始めてる、そろそろ帰らないと」


「そっかじゃあね、さようなら、」


と悲しげに彼女は言う、それに対して僕はあえてこういう


「またね!今度またいじめられそうになったら助けを呼んだり、僕の家まで来てね」


そういうと彼女は優しく微笑んで答えた


【またね、か、】

「!、うん!わかった!」

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