嫌な事実は立て続けに発覚する
ご指摘を頂いたので出きる限り注意をして書きましたが………
大丈夫、ですよね?
不自然と感じたら是非とも注意をして頂けると嬉しいです。
恐らく次も説明回になりそうです。
どうか読んでやって下さい。
「まずは自己紹介から始めましょうか。私はここ神国ノーブレスの召喚の巫女、ルグリムと申します。」
と、先ほどの茶髪の少女――ルグリムがそう言った。
あの後皐月が用事がある、と席を外し俺は重厚な机を挟むようにルグリムと対面していた。
というかこの部屋すごいな。俺が寝ていた部屋は、天井付のベッドやシャンデリア、暖炉もあり壁には見るからに高級そうな壺や絵が嫌味にならない程度にかけてあった。それでもまだまだ余裕があるので驚きだ。まるで中世の貴族のような部屋だ、見たこと無いけど………
勝手に気後れしているだけなのだが、庶民は帰れオーラがでている気がしてくるほどに豪華な部屋だ。
っと、ボーッとしてしまった。名乗られたのだから名乗り返さない訳にはいくまい。
「俺は井上佑樹です。今はこんななりですが立派な男です。」
端から見たら中学生ぐらいの腰まで髪の毛を伸ばしている美少女が自分のことを男と言ってるようにしか見えなく、大変イタいのだが気にしない。だって言わないと自分が女だって認めるみたいで嫌じゃないか。
………無駄な努力って言った奴出てこい!
「そのこと何ですが、皐月様には話しましたが私に心当たりがあります。――佑樹様は召喚がどのように行われるか知りませんよね?」
と、一応聞いてきたが知ってるはずもなく俺は黙って首を横にふった。それを見てルグリムが少し長くなりますが、と前置きをして話し始めた。
「召喚魔法というのは異世界の人を勇者として呼ぶ召喚するという文字通りの魔法です。ただ、この魔法は常時では使えません。皮肉なことに、魔王が現れたことで魔力が満ちているこの時にしか発動することができないのです。――――そして、ここからが問題なのです。召喚魔法というのは普通一人しか呼べません。何故だかわかりますか?」
俺は再び首を横にふった。
「召喚魔法というのは異世界から人を呼ぶとき、物体を移動できないので一度、魂と体を分離、分解して魂だけをこの世界に召喚するのです。それならば何故今肉体があるのだろうと思いましたね?」
首肯する。
でも、女の肉体でっていうのは遠慮したいのだが………
「本来なら、魂がこの世界に現れたときに魂に記憶されている形状を元に再構成されるはずなのです。しかし、イレギュラーが発生しました。召喚魔法は一人分しか道を用意していないのに二人が入ってきました。――この意味がわかりますか?」
俺と皐月は一人分しかない道に二人で強引に入ってしまったようだ。それがもし、魂のように質量がないものが、一つしか入れないところに二つで強引に入ったら?
まさかっ!?
恐らく、解答を得た俺は驚愕に顔を歪ませた。
それを見たルグリムは、気付いたと受け取り再び話し始めた。
「わかりたしたか?それでも二人はとても運がいいんですよ?本来なら二人の魂は完全に混ざり合い、二人の魂を持った一人の人間になる所だったのですから。それに比べたら互いが互いの性別を自分の性と勘違いするくらいの同化軽いものです。」
最後にルグリムは仮説ですが、と締めくくった。
だが、わかってしまった。それが、本当の事なのだと。
――でも、それなら
「同じことをすれば元にもどるなんて万に一つもありえませんよ?この世界間移動は魂にとてつもない負荷が加わるのです。考えてもみて下さい。普段は何重もの精神の層に守られている魂が突然何もない所に放り出されるのですよ?次にやったら、良くて廃人、最悪、魂が壊れてしまいます。」
俺の甘い考えは見事に読まれていた。
皐月と話し、覚悟はしていたはずだった、はずだったのに、いざ面と向かって言われるその衝撃は予想を遥かにこえていた。
思わずまた叫びだしそうになって、
「――――だからこそ、あの金の髪の男は普段、精神の層に守られている人間の魂に、直接アクセスして使い魔の刻印を押せたのでしょうが。」
その言葉で一気に冷静になった、ならなくては、いけなかった。今、冷静さを失うと対策のたてようもない。
「皐月がそのことについて大丈夫って言ってたんですが、その話を聞いている限り俺はアイツの使い魔ってことになりそうなんだけど………」
俺が不安そうに尋ねると、ルグリムは努めて笑顔で答えてくれた。
「恐らく大丈夫でしょう。佑樹様の魂に押されたといっても表層意識までその刻印を呼び起こされていなければ、あの男の使い魔になることはありません。昨日は何とかそうなる前に逃げることができましたので。」
俺はあからさまに、ほっと息をつくとルグリムはただし、と真剣な面持ちで言った。
「――もし再び佑樹様が彼の魔力に当てられることがあれば、貴女は自由意思を失いあの男の使い魔になってしまいます。」
目の前が暗くなった気がした。