第41話 これからの二人
本日12:00 最終話投稿。
結婚式から一年後。
仕事が終わり、家に帰った俺はドアノブに手をかけた。左手の薬指には銀色に輝く指輪がついている。
家に入り、ふと左の棚に目を向ける。家の玄関に飾られている二つの写真が目に入った。一枚目は俺と紗黄が高校生の頃に撮った夏祭りの二ショット。もう一枚は俺と紗黄が大勢に囲まれて祝われている結婚式の写真。俺は紗黄に結婚を申し込み、泣きながらオッケーをもらって無事に結婚できた。その後に俺たちは結婚式をあげた。ふたりともお金を結婚式で使いたくないため開く予定はなかったが、色々あってお金を俺たちは払わずにできることになったため開いた。それも盛大に。
その結婚式の写真を手に取り、その時のことを少し思い返した。
***
時は遡り、結婚式の終盤のことである。
「写真撮るから、並んでくださーい」
凪は何十名もの人たちへ階段に並ぶよう声をかけた。周りの人はどこに並ぶのかを話しながら考えだす。
今回の結婚式には大勢の人が来ているが、そこに紅の姿はない。俺の結婚式のことを紅のやつにも教えたかったが、あいつはまだ戦っている。いつかまた会った時に、たくさん話そう。
そんな事を考えている間に全員が並び終わり、凪さんはカメラをこちら側に構える。事前の打ち合わせでカメラマンをどうするかと悩んでいたときに、自分が撮ると言ってきたのが凪さんだ。参加者の一人である凪さんに撮ってもらうのは申し訳なかったのだが、今は亡き妹の関係者の式だから、自分で最高の写真を撮りたいとお願いされた。凪さんは様々なフォトコンクールで一位を独占し続けているらしく、世界的にも有名な写真家らしい。そんな人が自分からやってくれるというのだから断る理由がなかった。
「紗黄、これからもよろしくね」
右隣にいる紗黄に俺は話しかけた。
「こちらこそよろしく。こんな私だけど、ちゃんと私だけを愛してよね?」
紗黄はいつも以上に綺麗で、心がぎゅっとなる。白いドレスに身を包み、薄く化粧をした紗黄はガラス細工のように美しかった。
「もちろん紗黄のことだけを愛していくよ」
恥ずかしいセリフが口から出てきた。
「ねぇたっくん。あっち向いて」
いきなり紗黄は自分から目を背けるように言った。
「はい、向いたよ?」
前を向いていた俺の右頬に柔らかい感触が当たる。
「紗黄!?」
俺は驚いて右を向く。
「はい、撮りまーす」
俺が紗黄の方を向いた丁度に、写真を撮る準備が整ったようで、凪さんが全体に声をかけた。
「ほら写真撮るからあっち向いて!」
言いたいことはあったが、今は諦めるとしかない。紗黄にされた同じことを左の頬にやり返して俺は前を向いた。なにやら右の方で紗黄が慌てているが気にしないでおこう。
「皆さん笑顔で!はい、チーズ!」
作者のコメント:
完結間近……ここ数ヶ月、これに活力を注いでいたから学校生活ができてた気がします。
なるべく早いうちに本編のプロットを作り終え、皆様にお見せできるようにしたいと思います。
次回、『IF現陰』完結




