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第25話 奥義

祝PV2000&ユニーク1000突破!!ありがとうございます!

 原宿駅に電車が停車した。すぐさま座席から降り、閉まる扉を背に俺達はホームに降り立った。その後改札を出たが、時期なのか時間の影響なのか、いつもよりも人が少ないように感じる。


 いや、いない?


 少し気になったが、今はそんなことにかまってる暇もない。


 瑞稀さんはすでにベロンベロンに酔っ払って、半分以上眠ってしまっていて、それを紅と凪さんがそれを抱えながら移動し始めていた。


「なあ、橙。お前が鳥居を使ったワープができるなんて初めて知ったんだが?」


「聞かれてないからの〜」


 紅は橙乃に問い詰めた。二人は春頃に出会ったようで、あまり相手のことを詳しく知らない関係みたいだ。ただ、橙乃は神であり、すべての神社の信仰の対象でもあるという。化物の類ではあるのだが、それと同時に神でもある特殊な存在と聞いた。


「前にも聞いたんだが、なぜ俺はあのとき、お前の中にある色欲の大罪の魂だけを消滅させられたんだ?」


「分からんなぁ〜。」


「は〜。お前はまだまだ隠し事が多いんだから」


 電車でも瑞稀さんがなぜそれができたのか、同じことを聞いていた。紅自身にもよく分かっていない現象だったらしい。


「瑞稀、オマエいい加減一人で歩け。紅くんだっけ?悪いね、手伝ってもらって」


 一緒に瑞稀のことを背負ってくれている紅に凪は謝罪する。昔は一人で妹の面倒を見ていた凪だが、こんなに飲んでいるのは凪も紅も初めて見た。姉との久しぶりの再会に瑞稀はハメをはずしすぎたのであった。年に一回会うか会わないか。ここ数年は会えていなかったため、いつにもまして酒を飲んだのだった。


「慣れてるんで平気です。それにこの人がいなかったら、俺は多分死んでますし」


 この学校に来るまでの紅は、友人たちと色々な怪異に遭遇していた。その中には紅一人では対処できないものがいくつもあった。元々普通の学校で生活していたが、友人たちを巻き込んで何度も怪異に遭遇したが、それを何度も紅は瑞稀に救われている。


「私が知ってるこいつは酒なんて飲んでいなかったんだが…」


「いつも飲みすぎてて困るくらいです」


 紅は今までに何度も瑞稀の飲酒に悩まされている。怪異との戦闘特訓中に飲みすぎて寝てしまって、紅が危ないときが多々あった。凪は初めて知った、と目を見開いて驚いた。


 そんな会話をしていると、瑞稀さんが目覚めたようだった。


「寝てたわ〜。ありがと、二人とも。あ〜悪いんだけど、紅、アルコールを適当に『変換』お願い」


 突発的に言い出したが、紅は何も言わずに天恵を使った。


「あ〜すっきりした。今度から飲みに行った後には弟子の家に行くことにするよ。二日酔いにならなくて済みそうだ」


 肩から瑞稀をおろした凪と紅。凪はホコリが気になったのか、肩をはらう。


「瑞稀、お前もう大人だからな?」


「もう30だよ?」


「それは知っている」


 もうそろそろ30になる大人が、高校生に面倒をかけるなと凪は言っているのだが、瑞稀には届かなかったようだ。


「そんな事で家に来ないでください」


 紅も弟子を便利屋扱いする瑞稀に呆れている。


「でもキミは私に借りがあるよね?電車で初めてあったとき、私はキミの命を助けたよ?」


「それとこれは話が別です。師匠がもしもそれで家に来るとしたら、深夜に来るでしょう?叩き起こされたくないんで遠慮しておきます」


「優しくないな〜」


 いつもこんな調子なのだろう。紅は瑞稀さんの扱いに慣れているらしい。


「さて、おふざけはそろそろやめにするよ」


 瑞稀さんはそう言った後、おろしていた髪を結び、銃を異空間から取り出して、闇の奥に目を向ける。凪さんも腕を伸ばし、ストレッチしだした。明治神宮に着き、ある程度進んだが、振り返るとそこには数え切れないほどの怪異たちがいた。


「全く気配がないとは厄介だな。瑞稀の言う通り、使徒は怪異たちに指示を出せると見て間違いないだろう」


 使徒の情報を瑞稀から事前に聞いていた凪は言った。


(なんでここに、こんなにも怪異が?誰かの差金…?てか、なんで居場所が)


 考えるが、なぜなのかは分からない。


「お姉、これさぁ、居場所バレてるよね?」


 瑞稀さんの言う通りだ。俺たちの動きが何者かに読まれているとしか思えないこの状況。一体どうやって。誰かにつけられているようには思えなかった。


「もしかしてだけど。拓真くん、服の内ポケット見てみて?」


 瑞稀さんにそう言われ、俺がポッケをあさってみると、なにやら小さな機械が入っていた。


「これは?」

 

 見覚えのない機械に俺は戸惑う。


「発信機と盗聴器かな。見た感じ、妖力を使って動いているものだから、調べれば仕掛けた犯人がわかるだろうね」


 瑞稀が言った途端にその機械から煙が出てくる。


「しまった、機械ごと破壊されたか。特定は難しそうだ」


 聞いていた誰かはやばいと思ったのか、証拠隠滅を行ったらしい。


「師匠、とりあえずはこいつらを倒さないとですよね?」


 紅は後ろから迫りくる怪異に視線を向けながら聞いた。


「京都まで全員で行けたら良かったけど、行きのことも考えたらやはり二人、いや三人が限度か。拓真!橙!お姉!三人だけで伏見稲荷に行ってくれ」


「そうだ、ここは俺達に任せて先にいけ。俺たちは後から向かう!」


「何死亡フラグ立ててんだ。というか、私達は行けないし」


 堺さんが、死亡フラグを立てた紅の頭にチョップを入れたが、俺から見ても今のは完全な死亡フラグすぎた。今のはギャグで言っていたから、セーフであることを祈っておこう。


「痛った、師匠。てか橙、どこの鳥居から伏見に繋がる?」


「明治神宮の三の鳥居からじゃが、その道中にある2つの鳥居も通らねばいかんの〜」


「なるべく妖力は残さなくちゃ。多分、グリードのやつがいるし」

 

 ここが分水嶺。一歩間違えたらもう後には戻れない。拓真の言う通り、この先ではグリードと確実に対峙することになるだろう。


 ん?さっきの発信機は多分グリード関係のやつなはずだ。制服のポケットに入っていたあの発信機を入れそうなやつと言ったら、山崎くらいしかいない。紗黄が危ない。


 いや、今はグリードを倒すほうが先か。これ以上紗黄になんのアテもなく近づくのはやめておこう。次に会うのは、俺が紗黄を救えるときだ。絶対に間に合わせる。


「そろそろ行くよ、拓真くん。で、瑞稀。使うのはこっちの子よね?」


 凪さんは俺の方向を指さしながら、妹に話す。一体何を使うというのだ。


「かな〜。こっちには私がいるし、最悪カバーできる。そっちはお姉は平気だし、橙も強いし、そしたら拓真くんだね」


「はいはい。私もそこはカバーする。そしたら拓真くん、写真撮るね」


 ()()()()()取り出した、いや()()から取り出したインスタントカメラで俺のことを凪さんは写真を撮った。


「それ!?『神祝』!?」


「あ〜、うん。言ってなかったか。これは『神祝』。『神機 空録くうろく』」


 凪はインスタントカメラに視線を落としながら説明を続ける。


「色々使い方があるけど、とりあえず今は君に傷をつけさせられなくしといたから、ある程度はアーマーになるはずだよ」


 それを使えば、回復はできないが、身代わりを作ったりできるようだ。明らかにその性能は他のものを超えている。『無効化』『支配』『変換』『固定』『保存』といった天恵とは違い、空録の効果は概念や言葉といった縛りを受けておらず、神機という物自体がこの世界の法則から外れたものらしい。瑞稀さんも適当に技名をつけたと聞いた。


「こっちの怪異たちは私達が処理するから、任せて」


「後は頼みます!」


 瑞稀さんにそう言った俺は、橙と凪さんとともに怪異たちを祓いながら、三の鳥居に向かった。


  ────────────────────────────


「眠っているとき、変な夢を見たな」

 

 電車で寝ていた時に、師匠は何か夢をみたようだった。気になった紅は師匠に聞いてみることにした。 


「どんな夢です?」


「なんか、真っ白い空間で何かを紹介した気が…」


「なんすか?それ」

 

 全く意味がわからないという反応をしながら、紅は戦闘準備をする。


「まあいいや。さて、二人を追いかけないように私達で足止めしないとね」


「あ」


 やべ。後退しながら探しものをしていた俺だが、とあるものを忘れたことに気付いた。


「ん?どうした?」


 いきなり変な声を出した紅を瑞稀は心配したが、次の台詞を聞いて、すぐさまその考えは消し飛んだ。


「武器、橙からもらうの忘れた」


 なんだ、そんなことかと瑞稀は呆れる。自分自身、『神銃』のこいつを使ってはいるが、別に頼り切っているわけではない。むしろアシストがメインだ。この神祝だが、まだ名前が決まっていない。私自身こいつにすべてを預けきれているわけではないのだ。いつか、いつの日か。このコに名前がつけられますようにといつも瑞稀は願っていた。


「それはやっちゃったね。神術だけで頑張んな」


「スパルタすぎません?」


「やばくなったら助けるから」


「はい。」


(まさか、師匠の前で戦闘をすることになるとは。変な動きしてたら、また指導もとい、めんどくさいお願いやら命令をされるんだろうな〜)


 以前から師匠のもとで特訓を受けている紅だが、大変なものだった。訓練と言いながら一人で怪異と戦わされたこともある。しかも、自分より圧倒的格上の相手と。


(こいつらは怪異だから神術の効きはいい。一気に削る)


 手印を結び、祝詞(のりと)を唱える。


「祓えたまえ清めたまえ 炎の神 火之迦具土神(ヒノカグツチ)の力を借り 我が妖力もって 技をなす 炎を押し出し 害あるものを焼き尽くせ『猛火』」


 結ばれた手印からありとあらゆるものを焼き尽くす炎が現れる。炎は一直線上を全て焼き尽くす。眼の前にいた怪異たちは全て祓われたが、その後ろにはまだまだ怪異たちが残る。更には、炎が消えたため、攻撃に転じてこようとしている。


「紅、これが全力?まだまだ残ってるぞ?」


「いえ、まだウォーミングアップです」


 持ち歩いている薄型のケースから、霊符を取り出す。


「次は奥の手使います」


(いまのでもだめ!?)


 紅は内心焦っていた。今の一撃は今制御できる技の中で、もっとも高威力の技だったのだが、それをあっさりと流されてしまい、心に軽くヒビが入った気がしていた。


 結構な火力だったというのに、師匠にとってはまだまだのものだったようだ。なら俺にも奥の手というものがある。霊符には自分の妖力で祈りを刻んである。それを使うことで、祝詞と手印を省略しても、全てをやりきった時と同等の効果が得ることができるのだ。その霊符を使いながら、祝詞を唱え、手印を結び、今使える最強の神の力を借り、神術を発動する。


「祓えたまえ清めたまえ 太陽の神 天照大神アマテラスオオカミと 月の神 月読命ツクヨミ 二つの神の力を借り 我が妖力もって 技をなす 東の空から登りし太陽 崇めて 祈りは絶えず 恵みをもたらす 東の空から登りし月 恐れ崇めて 恐怖は朽ちず 災いをもたらす 光は闇を蝕み 闇は光を覆いつくせ」


 光と闇、相反するものが同時に前方へと広がった。相反する光と闇。しかしそれらは決して交わらず、拓真を境界にして、左右に展開した。


「────『日蝕』」

 

 その言葉と同時に、周囲を染め上げたのは白。太陽の光だ。拓真たちを巻き込むことなく、光は怪異たちだけを直径五十メートルほどの球体の中へ閉じ込めた。その内部は恐ろしい状態と化していた。太陽のエネルギーは光エネルギーとして地球に到達している。太陽と地球、その二点における膨大な距離を経てもなお、エネルギーは十分すぎるほどだ。


 その太陽の光が球体内の、どの方向からも放射され、あらゆるものを溶かしながら貫通する。内部にあるすべてのものは原型をとどめていられない。白、太陽の光で空間を染めあげる。故に日蝕。内部の怪異たちは祓えたが、『日蝕』で攻撃できなかった怪異はこちらへ敵意をあらわにする。


 しかし、日蝕があるとするのなら、


「────『月蝕』」


 その逆もまた然り。先程までの『日蝕』とは違い、紅を中心とした直径百メートルほどの球体ができる。その空間を今度は黒、闇が染め上げる。空間を閉じ込めらておらず、中にいるものは逃げ出そうと思えば逃げ出せる、はずだった。


 しかしそれは不可能である。


 それはなぜか。内部は闇に満たされている、視覚が正常に作用するはずもない。暗闇ではなく、光を微塵とも感じさせない静寂の闇。『月蝕』が有する効果は内部にいる発動者以外のものに対して、脳内の神経回路に作用し、一時的に脳の情報処理機能をダウンさせる。それにより、思考を黒で染め上げ、行動不能にする。月蝕を食らったものは視界が、感覚が、思考が、すべて闇に満たされる、故に月蝕。行動不能の怪異たちに攻撃をする千載一遇のチャンスだが、武器はない。ならば紅はどうするか。



 先程の『猛火』や『日蝕』『月蝕』は神の力を借りており、それを『神術』という。それを使うためには祝詞を使うのが基本だ。それの省略は可能だが、いかに省略しても使う術の名前が必要。また祝詞を省きながらも威力を保持するには霊符が必須となっている。


 生まれ持って得る能力、それは別名、『天恵』といい、魂にそれは一つだけ結びついている。例えば紅の『変換』、紗黄の『支配』、拓真の『無効化』である。


 そして同じく生まれたときに決まっているのが、どの神から力を借りられるのかの加護。そして自身が力を借りられる神と契約するに至った場合、それを式神として扱うことができる。式神を召喚し、肉体をもった状態で顕現させることや『降神』、神の力をその身に纏うことができる『神装』。


 この中の『神術』『天恵』『降神』『神装』、この四つで基本的に陰陽師は怪異たちと戦っている。


 ここで、とある話をしよう。すべての陰陽師は必ず、一つ以上の神から加護を与えられる。多くの陰陽師は成長とともに使える神を増やしていくのだ。だが、一般的な陰陽師はどれだけ鍛えていったとしても、三神が限度だ。上位の陰陽師はそれ以上扱えることもあるが、それも極めて稀である。


 紅が今までに借りた神は、『炎の神』『太陽の神』『月の神』、の三神。この時点で加護を複数持っていることになり、その実力の高さは伺える。しかし、実際にはその個数は正解ではない。


「祓えたまえ清めたまえ 借りる力は 我に加護を与えし 数多の神の父 伊邪那岐(イザナギ)から 神を殺したその剣 我が手に収まれ 『天十握剣(あめのとつかのつるぎ)』」


 紅が唱えた祝詞からも分かる通り、新たな神、伊邪那岐から力を借りた。これによって、これまでに使った神の力は四つ。なぜ高校生の紅が様々な神の力を借りられるのか。それよりも、上位の陰陽師でもありえない四つ目の加護を持っているのか。


 答えはこうである。


 紅が得た加護は実際には二神から。一神は伊邪那岐(イザナギ)、もう一神は伊邪那美命(イザナミ)であった。過去から現在に至るまで、その二神の両方から加護を授かったものは二人だけである。伊邪那岐と伊邪那美命のどちらか片方ですら、他に存在しない中、たった二人だけが両方から加護を受けた。


 一人はもちろん神崎紅 。そしてもう一人、その名は神威(かむい) 瑛司(えいじ)。数多の神の力を借り、その二神以外をも式神とした、最強の陰陽師である。イザナギとイザナミは数多の神を生み出してきた。彼らや自身に関係しない神の力や時の神などの例外を除いて、すべての日本神話の神から力を借りることができる加護。成長に上限などない、理論上最強の加護を持っているのが紅である。


 二つの加護は先程の他の神から力を借りる以外にも能力があり、日本神話にてイザナギが神を殺すときに使用した『天十握剣』。それを呼び出すなど、様々なことができるようになる。


 現れた天十握剣を握りしめ、視覚や聴覚を失い、体を動かすこともできない怪異たちへ紅は攻撃をする。紅は妖力の消費が激しいそれをここ数週間の間で使いこなせるようになっていた。この剣は意志を持っているのか、呼び出した者、すなわちイザナギの加護を持つもの以外扱うことができない。一人紅は鍛錬に勤しみ、やがて相棒とも呼べる存在にそれはなった。


 特に支障もなく、闇に飲まれたもの全てを斬り祓った。そして無駄な妖力を使用していられないので、すぐに神術を解除する。


 結果として怪異たちの数は減ったが、いまだ多い。


(『日蝕』『月蝕』、両方とも使った。何かが起きたときのために同時で使っていたが…やるか)


 紅は万が一の保険として、太陽と月の神に同時に祈りを捧げていた。それをすることにより、とある特定の条件をクリアすることに繋がっていた。その特定の条件とは、『日蝕』『月蝕』を連続して使用するというもの。それを満たした場合、あらたな神術が使用可能となる。


「────『冥煌めいこう』」


 闇で染まっていた空間から、黒が抜け落ちる。元の景色に戻ったかのように思えたが、実際には違う。頭上、高さ10メートルほどの位置で、新たに光と闇が侵食を始める。その侵食は、長方形状に伸び続ける。横の長さは道幅程度、だが、縦の長さはとどまることを知らない。『月蝕』が直径百メートルの球体状だったのに対し、縦の長さが二百メートルほどの闇と光が宙に存在し始めた。


 闇と光、相反しあっているそれは混沌といえるもの、互いに互いを侵食し合うそれは下へと牙を剥く。名も持たぬ怪異たちは置かれた状況を理解できない。落ちて、落ちて、落ちて、混沌はすべてを飲み込んだ。残ったのは無だけだ。恐ろしいほどの空間が削り削られ、その空間に存在していた怪異たちをも混沌に巻き込み、存在ごと消し去った。


 だが、大規模な神術を使ったため、妖力を激しく消費してしまった紅。


「どうですか師匠?」


「よくやった、すごいじゃないか」


 酔っていないときの師匠はいつもクールである。シラフで褒めてくれることなど珍しく、気分が上がる。


「鍛えてますからね」


「最後の後始末は私がするとしよう。来い、『神銃』」


 師匠はそう言うと、空間から狙撃銃を取り出した。ほとんど今の攻撃で怪異は倒されたが、紅の神術でも届かなかった遠くまで狙いを定める。


「さてと、お手本というものを見せてあげよう。『穿て』」


 対物ライフルであろうその銃から一筋の光が放出された。それはただの光ではなく、妖力の塊。妖力よりも力のあるそれは、奥にいる怪異たちを一掃するにはするには十分すぎた。その一撃、飛距離は数百メートルを超える。


「すご。というか、威力も射程も異次元すぎる」


「奥義って言うならこのぐらいはあっても良いね」


「そこまでは無理です…」


 師匠の一撃は、格の違いを俺に見せただけだった。


「というわけで、まだまだ弱っちい君には地獄の稽古をつけてやろう」


「一応、拒否権とかってあったり…?」


「ない」


「……はーい。」

 

 地獄が確定した。


 ────全ての怪異が祓われた神道、そこに二つの影が現れる。瑞稀が即座に銃を撃つが、それをらくらくと回避する。さっきまでの空気が嘘のように一変した。二人に緊張が走る。


「…これは私がやるとしよう。紅、お前は下手に手を出すな」


 二人の目には、身長は八尺(二百四十cm)ほどある女と、全身を赤い服で包み、両手には何に使えるのかわからないほどの大きなハサミを持った女が映っていた。

設定:

・『天十握剣(あめのとつかのつるぎ』 神器

・神器 神機とは違うものの特殊な性能を持つ。

・神機 神器とは違うものの特殊な性能を持つ。その数は七、とされている。

・霊符は使い切りのため、一度発動すると燃えて灰になります。

作者のコメント:

白い空間の話は本編やこの世界観に一切関係のない話のため、気にしないでください。とある事情により、言及が必要だったため書きました。


もうそろそろ投稿を始めてから3ヶ月が経とうとしています。まさか、ここまでの人に見てもらえてとても光栄です。連絡にはなるのですが、学業や部活動、その他の活動の関係で中々かけない日々が続きそうな予兆はありますが、まだ書きだめが僅かにあるため、耐えてみせます。


祝PV2000&ユニーク1000突破!!本当にありがとうございます!(一人当たり2話の計算……?なんじゃこりゃ)


今後とも末永く宜しくお願いいたします。


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