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第19話 博打

告知:ゴールデンウイークは毎日朝9時20分頃投稿します。

その影響で投稿は4月27日。28、29日。5月3日から6日まで。

 その後の鬼ごっこは何をどうとっても酷いものだった。俺は何度も逃げた。森を駆け抜け、近くの湖、村、そして城下街まで。数時間は逃げていただろうか。あいつは一切飽きず、その勢いはとどまるところを知らなかった。危ないときが何度かあったが、守りではなく『瞬間移動』で切り抜けることが出来た。


 だが、それはいつまでも続かない。妖力が底をつきそうだ。あと一回何かを『無効化』すれば無くなりそうなそれは、俺から逃げるという選択肢を奪っていった。


 残る選択肢はただ一つ、紅から聞いた確証のない情報に従うだけだ。そうは言っても、逃げたとしてもその選択肢を選ぶという結果は必ず訪れるのだから遅かれ早かれだろう。


 俺はグリードと真正面から向き合う姿()()を見せる。逃げるのはやめだ。こいつと鬼ごっこを続けるのはもう出来ない。


 俺は全力で動かし続けていた足を遂に止めると、一度だけ横に視線を向けた。そこには、城があった。茨の蔓に覆われた、ファンタジーでよく見る大城、その内部へと通じるであろう門。


「グリード、俺は次の一撃に全身全霊を込める。受けてみるか?」


 視線を門からグリードに戻して俺は言った。| 

 グリードはついに目の前にいる拓真が全力を見せてくるとわくわくしていた。


 今の発言にではないが、俺の真意は別にある。さっきまでは距離が全く開かず、『瞬間移動』をしたところで、あいつの『改変』ですぐに追跡を続けられていた。ただ、()()()あいつの視界が届かなくなった瞬間に建物の中に入れば、追ってくることはできないのではないか。そう推察した俺はグリードに向き合う姿勢を見せた。だが別にそれは戦うという意味ではない。この、鬼ごっこを続けていくというのではなく、俺は全力でお前から姿を消すという意思表示だ。

 

(初めて実戦で使う技だが、イメージさえあればできるはずだ。イメージしろ、-を。)


「祓えたまえ清めたまえ 炎の神 火之迦具土神ヒノカグツチの力を借り 我が妖力もって 技をなす」


俺は祝詞を口にする。グリードはただ俺のことを眺めている。全力の一撃がどのようなものかと受けてみるようだ。


 ぶっつけ本番、成功する確率は五分五分と言っていいだろう。だが、グリードの目から一瞬でも逃れるにはこの技をやるしかない。


「『閃光』」


 俺の言葉に従い、神術は発動した。眩い光があたりを照らす。地球に届いた太陽の光、それと同じレベルほどの明るさがグリードの目に届く。俺は神術を発動する直前に腕で目を覆っていたため、光が視界を覆うことはなかった。


 俺が使ったのは炎の技ではない。詠唱はブラフだ。道徳的?なことを考えると神に捧げる祈りを冒涜したようなことはするべきではないが、今はそうは言ってはいられない。


「…はっ!?うぐっ、がっ、目がっ、」


 作戦は成功したようで、目を抑えながら苦しんでいる。逃げるなら今しかない。


 その一瞬、僅かな思考が決断を鈍らせた。


「死ねよ。君」


 遅かった。行動の選択を済ませるのが。


 グリードの回復は一瞬にして行われた。そして、拓真の首には既にナイフを沿っていた。


 人であれば、まだ視力の回復は不可能だっただろう。神の使徒であるグリード、その肉体は器、人の身ではあるものの、再生能力や肉体の強度はその通りではない。


(回避を…間に合わないな。くっそ、無理か)

 

 拓真は2つの選択肢で一度迷った、迷ってしまった。紗黄に牙を向いたグリードに対しての怒りは拓真の中にまだ残っていた。その感情が判断を鈍らせた。

 

 『無効化』は発動させた。全力で『攻撃』という概念全てに反応するように天恵を使った。だが、無意味だった。


(一か八かの賭けだ。紅、俺はお前と、俺の運命に全てをかける)


 『無効化』の防御も破壊され、攻撃から逃れることは不可能だと僅かな間に察した拓真は、ならば、と逆転の発想をする。


 最後にただ一つ残された”グリードに勝つための手段”、それを実行に移した。


 天恵を使うでもなく、暴れるでも、叫ぶわけでもなく、ただ無抵抗に、拓真は首をナイフで斬られた。


 拓真の首から血が吹き出し、辺りに血の海を作った。傷は深く、胴体真っ二つとまではいかないものの、頸動脈まで届いたその刃は、一撃で拓真を”絶命”させた。


 「案外あっけない最後だったな」と、拓真が死んだことを確認したグリードは誰もいない中でつぶやいた。


 グリードは使い終わったナイフを拓真の死体に突き刺して、その場を後にしようと逆方向に進み始めた。


 







 殺気がグリードの周囲に漂う。


 背後からしたそれを確かめようと振り返ったグリード。


 次の瞬間には、首を斬られ、胴体と頭は真っ二つに分かれていた。

設定

・グリードの守りを『閃光』が突破したのは攻撃として成立しないものだからです。『閃光』はただ光を放つだけで他に何も影響はでません。

(雑魚すぎて守りをすり抜けた)

・最後グリードが攻撃を食らったときにも、『改変』の守りは正しく発動していました。



作者のコメント

お久しぶりです!もう四月ですね。新生活が始まる時期となりました。

かく言う私も学年が一つ上がり、新しい人と新たな時間を過ごします。


もうそろそろ2章が終わり、最終章である3章へと話は移っていき、新たな展開がどんどん起こっていきます。

これまで以上の戦闘シーンや展開を構想しているため、心待ちにしていただければ嬉しいです。


補足なのですが、エイプリルフールに乗り遅れたけどなにかしたいので2章の幕間が終わったあとにでも一話ぐらい書く予定です。


今後ともよろしくお願いします。

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