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第14話 強者

 調査を開始した俺たち三人は監視カメラで口裂け女の被害者が最後に確認できた場所に向かった。そこはごく普通の住宅街で特段何も異変がないように見える。だが、そこには確実に何かが居た痕跡がある。


「肌がピリピリするね」


「だな」

 

 紗黄(さき)の意見に俺が同意したのは、今俺達に霊障が出ているからだ。怪異が居た場所に妖力を持つものが近づくと、『霊障』という肌に違和感を生じる。妖力のないものは『怪異』に遭遇したりするとより強い『霊障』が生じ、鳥肌が立ったり、耳鳴り、ひどい頭痛を引き起こしてしまう場合がある。『きさらぎ駅』のときに俺達がそうならなかったのは、ある程度妖力の素質があったからだろう。


 詳しく怪異の居場所を特定する機械もあるが、まずはこの場所から調査する。


「この感じからするに、長く存在しているね。結構力は持っていそう」


 藍乃(あいの)の言った通り、怪異はその個体が長く存在すればするほど力を増す。放置しておけば手がつけられないほどにまで成長するが、その殆どは見た目などが変わらず、見た目では判断できない。霊障の強さである程度その存在の強さは確認できるが、肌に伝わるこの感覚は相当な力を持っているようだ。ここ数ヶ月、下手をすれば一年は存在している個体だろう。


(これ勝てるか?)


 俺は少しだけこの『口裂け女』との戦闘を避けたいと思った。


 今回の任務は調査なのだが、戦闘も覚悟していた。まあ、調査と言っても殆どは祓うことが目的のため、あまり調査だけの任務はない。今回の『口裂け女』、これは想像以上に手ごわそうだ。


「この程度なら私一人で大丈夫だろう。それよりも二人は今から私のサポートを頼めるかな。もしかしたら、まだ他にもいるかもしれない」


「他にも?」


 この霊障からするに、敵の数は一。『口裂け女』だけだと思うのだが...何が起きてもいいように俺達は藍乃の指示に従うことにする。俺達よりも実力のある藍乃が言うのだから、なにか根拠があるのだろう。


(いや。今から?まさか、この近くに『口裂け女』が!?)


 藍乃の言葉から、近くに敵がいるかも知れないと周りを確認したが、どこにもいない。


「もう近くに『口裂け女』が?」


 まさか、そんなはずは。いや、霊障が強くなってきている。姿は見えないが確実にこちらに近づいてきている様子。


「後ろから来てるね」


 藍乃が振り返りながら言った。俺達もその言葉に反応して、後ろを振り返ると、一人の女性が曲がり角を曲がってこちらの方に進んできていた。身長は百七十センチメートルにいくかいかないかというところ。外見は髪の毛がロングで、顔は普通に整っているように見える。マスクもしていない。


「マスクもしてないし、あれは一般人か」


 二人だけに聞こえる声で俺は言う。『口裂け女』は必ずマスクをしているため、あの女性が怪異のはずがない。だが、俺の予想とは裏腹に、藍乃は攻撃の構えを取る。


(怪異なのか?でも、マスクをしていないし)


 女性が怪異なのか?と疑いながらも拓真は臨戦態勢を取る。怪異との戦闘において一瞬の油断もできない。


「紗黄、なにか武器を持ってない?」


 藍乃はそう言いながら、紗黄から武器を受け取る。紗黄の『支配』を使うには、自分以外の対象を持っている必要があるため、紗黄は必ず武器を身に着けている。あまり大掛かりなものは持てないのでコンパクトナイフを今日は身につけており、紗黄はそれを藍乃に手渡した。


 その間も女性は少しずつこちらに近づいてきており、その距離は三メートルといったところ。そこまでなんの行動も見せず、ただこちらに歩いてきていた女性の足がここに来て止まる。そして、俺と目があった。


「私、”キレイ”?」


(嘘だろこいつ、口が裂けやがった)


 女性は、いや、『口裂け女』はその言葉とともに口が自然に裂けていった。開いた口からはおぞましいほどの血肉が見えており、数ヶ月前の俺であれば気絶をしていただろう。だが、俺は陰陽師になってから、ある程度任務をこなしている。そこまで恐怖は感じない。だが、気持ち悪いものを見て気分は最悪で最低だ。


 変なものを見せられた多少の怒りとともに、俺は神術を放った。


「『閃雷』」


 俺が初めて見た神術、『きさらぎ駅』の怪異から逃がす時に菜華さいかが放ったものを俺は使用した。光は一直線に『口裂け女』に向かっていく。


 だが、『口裂け女』の口が縦に広がり、笑ったかと思うと、その光を飛び越えるようにしてそれを回避した。


「まじ!?」


 凄まじい身体能力だ。流石に光速とまではいかないが、銃ぐらいの速度はある神術を放ったというのに、『口裂け女』はそれを早々と避ける。


「二人は後ろに下がってて」


 俺の後ろに居た藍乃は向かってくる『口裂け女』に一切の恐怖を感じず、堂々と前に出る。ナイフ一本、いくら妖力で強化できると言っても、もう少しリーチのある武器じゃなければ戦闘は厳しいように見える。


「背後の警戒をよろしく。私は動けなくなるから」


 そう言った藍乃は自身の天恵を発動した。

投稿時間がころころ朝、お昼、夕方のどれかに変わります。

ここから一気に話が動いていくので、ぜひ皆様に読んでいただきたいです!

そして新規の方も見ていただきたいです!!

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