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第13話 【口裂け女】

 次の日の放課後のこと、俺達は任務に駆り出された。


 怪異は夜に活動する。人間の恐怖心を一番効率的に駆り立てられるのは闇だ。したがって、怪異が現れるのは夕方、日の落ちる時間から日の出までが怪異の主な活動時間。例外として日の当たらない深い森の中や、トンネルなど、光が少ないところでは1日中怪異がうろちょろしている。


 辺りは少しずつ夕暮れ色のオレンジに染まっていく。俺と紗黄は隣の市まで電車で移動し、駅でもう一人来るというメンバーの一人を待っていた。


「今日の人って誰なんだろ?」


 たいていは同じ学年から選ばれているが、今回は『都市伝説』の『口裂け女』だ。まだ経験も浅い俺達には、実力者が来るだろう。


 あれこれ話していると、「どうも」と後ろから女の人が声をかけてきた。その人物は與嶺原(よねはら)藍乃(あいの)、俺が昨日紗黄に問い詰められた原因(何もしてない)だ。

 

「……女狐」


 紗黄が何かボソッと言ったかと思うと一瞬敵意を剥き出しにしたオーラを放ったような気もしたが、それはすぐさま収まる。さすがの紗黄も、昨日の思考把握で本当に敵意を持った訳では無いが、拓真に近づいた時点で女は敵対対象となる。だが、今から一緒に任務をするうえで円滑なコミュニケーションの妨げとなる行為は避けたいと思い、すぐさまオーラは抑えたのだった。


「私は與嶺原 藍乃、一応今回のリーダー的なのを任されてます」


 紗黄の敵意はスルーして、藍乃は自己紹介を始めていく。あまり気にしないのか、敵視されたときにも何も反応がなかった。


 流石は副生徒会長といったところだ。話をまとめるのが上手で俺達二人の自己紹介はサクッと終わり、すぐさま任務の話へと話題は移る。


「今回の怪異は『口裂け女』、事前情報はどのくらい持ってる?」


 藍乃は二人に今回の任務について確認を取る。敵の情報を知らずに戦うのは愚か極まりない行為のため、俺達も事前に学校で資料を見てきている。


 『口裂け女』、子供の頃から多くの人に恐れられている最も有名な『都市伝説』のうちの一つだ。出会ったら最後、必ず死んでしまうと言われるほど、凶暴で残忍な性格の持ち主。

 

 外見は必ずマスクをつけた女性で、「私、きれい?」と聞いてくる。その言葉を聞いた時点で『呪い』は成立し、『口裂け女』はその人物を襲う対象とする。能力は刃物を作り、それを自由自在に飛ばしてくる。それ自体は物体として存在するが地面に落ちるとすぐに消滅するため、それを利用することができない。


 近距離、中距離、遠距離までこなせるオールラウンダーな『都市伝説』、それが口裂け女だ。


「俺は、能力と一般的な知識なら」


「私も同じく」


 俺も紗黄も続けて返す。それを確認した藍乃は、一度考えた様子を見せた後、またこちらに質問を投げかけてくる。


「拓真は『無効化』、紗黄は『支配』でいいんだよね?」

 

 俺達の天恵はすでに把握していたらしい。まあ、隠している訳では無いからいいのだが、そこまで確認してくるとは。


 自身の持つ天恵を明かすことは基本的に不利になる。とは言っても隠すことなどできないのだが、大抵の生徒は仲のいい人に言うくらいで大っぴらに公開はしない。俺自身、仲のいい友人にそれとなーく伝わってはいるが、まさか藍乃まで知っているとは思っていなかった。


 二人ともそれであっていると伝えると、今度は藍乃が自らの天恵について説明を始めた。


「私は二人の天恵を人づてに聞き、一方的に知ってしまっている。だからお詫びと言っては何なんだが、私の天恵『加速』について軽く説明するね」


 (まじでか!?)


 まさか校内最強の人が自分の能力について説明してくれるとは驚いた。やはり、他の人の天恵を知ったところで自分には直接的にメリットがある訳では無いが、こういうのがあるのかとアイデアを知るのは重要である。


「例えば、私が今あそこまで走ろうと決めたとする」


 藍乃は10メートルほど先にある電柱を指さして話す。


「この時に能力を使うと・・・ほら、こっちに瞬間移動〜」


 一瞬にして藍乃の姿が指していた場所に移る。前の手合わせで食らった一撃はこういうことだったのか。やはり俺の予測はあっていたようだ。俺の『無効化』を発動するよりも早く『加速』して行動されたら対処のしようがない。また手合わせをするときにはどうやっ...


(痛ってえ!?)


 紗黄が横腹を手刀で刺してきた。なんとか我慢できたが、結構叫ぶギリギリのところだった。紗黄は俺が目の前にいる藍乃について何かしらを考えていることを察知し、少し拗ねているようだ。


「ごめんごめん、あれにどうやったら勝てるのか考えてた」


 俺が紗黄に少し笑いながら言うと、紗黄は少しだけほっぺたを膨らませ、「うわきしたら、殺すからね」と言ってきた。


 微塵たりとも俺は浮気することを考えたことはない。浮気をするやつはごみだ。かまってくれなかったから、飽きてきてたからと、巷では浮気した原因を語る人もいるらしいが、俺からすれば言い訳以外のなんでもない。


 俺は「絶対しないから安心して」とだけ紗黄に言い、藍乃さんには「教えてくれてありがとうございました」と返しておく。


 俺達の方に藍乃が戻ってくると、全ての事前確認が終わったので本格的に『口裂け女』についての調査を開始した。


藍乃の天恵ですが、自分の時間の流れだけをめちゃくちゃ早くするというシンプルな能力です。動く速度が速くなったわけではないので、時速〇〇キロのパンチなら人死ぬじゃんとかはないです。早送り的な、そんな感じの認識をしていただければ幸いです。


設定

・都市伝説の能力は基本共通です。『口裂け女』:『刃物生成』

・呪い

:都市伝説の呪いは『マーキング』や『デバフ付与』のようなもの。

:陰陽師の呪いは死後自身の魂を代償に対象を祟るもの。肉体的もしくは精神的に『攻撃』を与えるものなど。

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