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第12話 悪意

 放課後になり、俺達は近所のコンビニへと向かっていた。俺たちの通っている専門学校には男女別の団地が設置されており、そこで学校の半数ほどの生徒が暮らしている。また、この学校は日本の陰陽師を取り仕切っている中枢でもあるため、ここは成人済みの陰陽師の拠点でもある。


 この仕事はかなり危険が伴う。成人した人だけでなく俺たちが任務に駆り出されることからも分かる通り、緊迫した状況下で陰陽師は活動を行っている。一定の歳をすぎれば技術に磨きがかかり死亡率がガクンと落ちるのだが、六十を超えるまでの死亡率はfifty、つまり半数が死に半数が生きる。なおかつ怪我も考慮するならば、無傷で帰れる確率は十%といったところだ。


 それでも俺達は陰陽師として活動を続けている、いや続けさせられていると言ってもいい。残念なことに、妖力が目覚めた時点で全ての人はこの学校に入ることを余儀なくされる。

 

 その理由だが、目覚めた力を悪用されることを防ぐためとのこと。戦後、まだ制度を復旧させるのに手間取っている間、多くの力を持った陰陽師が各地で窃盗や強盗、犯罪行為に手を染めた。これを機に陰陽師の厳格な管理体制が確立されることとなった。


 陰陽師、それも俺達のような半端者は腕輪型の管理器具を必ずつけることになっている。とある試験に合格し、その実力を認められたものはそれをつけなくてもいいのだが、なかなかに厳しいと噂されるもので、確かこのクラスだと藍乃(あいの)がそれに合格していると聞いたことがある。


 陰陽師としてのあれこれを考えていると、アイスを選んでいた紗黄が話しかけてきた。


「何考えてるか分かんないけど、難しいことを考えているみたいだね」


 拓真の思考がなんとなーく共有される紗黄は、何を考えているかが分からないことに、心配とも言える感情を持ちながら拓真に話しかけた。


 『支配』の天恵は人を一方的に縛り付けるものであったが、俺は抵抗せずにそれを受け入れた。思考を読まれるのはちょっとあれだが、紗黄だしそこは気にしなかった。『命令』されると逆らうのは難しいが、一応は抵抗もできる。


「まぁ色々とね〜。てか、ほしいアイスってあったの?」


 俺は話を別の方向に持っていく。ここに来る道中で紗黄は新商品のアイスを求めて、コンビニに誘ったと言っていたため、それについて触れる。俺の問いかけに対して、紗黄は嬉しそうに「あった〜!!」と言っている。俺の話から逸れて一件落着かと思ったが、そうは行かなかった。


「痛って」


 いきなり俺の肩に誰かがぶつかってきたため、俺は驚いて言葉をこぼしてしまう。


「ああ、気づかなかった」


 男は悪びれた様子も無く、謝罪もせずにそのまま過ぎ去っていこうとする。あいつは同じクラスの山崎修一朗、前々から俺達にちょっかいを掛けてくるめんどくさいやつだ。聞いたところだと、紗黄の事を気になっている、いや執着しているようで、俺のことが邪魔らしい。俺は別にそこまで敵視していない。


 だが、


「気持ち悪いから近寄ってんじゃねーよ」


 本当に紗黄が言ったのかと疑いたくなるような言葉だが、それは紗黄の口から発せられた。紗黄は自分に被害が出るのはあまり気にしないが俺に少しでも危害を加えるとそいつのことを絶対に許さない。相手の権力が強いこととクラスメイトということでこれでも紗黄は自身の怒りを最小限に抑えている。


 紗黄は恋愛面として、人付き合いをするうえで、微塵たりとも山崎に興味がない。だが、今この場から立ち去ろうとする山崎をゴミを見るような蔑んだ目で睨みつける。ものすごい剣幕と、その気迫に押されたのか、山崎は俺を睨みつけたあと、店を後にしていった。


(あいつ、何も買わんやん)


 山崎が何も買わないで手ぶらで外に出ていったことに、俺はなんとなくひとりツッコミを入れたのであった。

・管理器具は妖力の使用、および位置情報を伝えるものです。


作者のコメント


IFと書いてあることからも分かる通り、この話は本編とは関係がない(とも言い切れない)ものです。この専門学校の設定は私が後に書くであろう本編には登場しないし、この腕輪型のやつも登場しません!今の私の発想力では陰陽師がどう管理されているのかが思いつかず、このような不自由な暮らしをしていることになってしまいました。本編はもっと伸び伸びと、自由な生活を表現したいと思い、日夜構想を練っています。

いつか皆様にこの物語を超える作品をお届けできるように!この物語が最高のエンディングを迎えられるように!より一層尽力していきます!


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