『あれからぼくたちは』
Title:振り翳されるもの
Theme:フラクタルな路
Type1:標識
Type2:詩
(通行を止める赤い斜線が幾つも重なり、網のようになった標識が立っている)
時としてそれは立ち塞がる。
それは多くの場合、良心だ。
通るか否かは委ねられる。
時としてそれは振り翳される。
それは多くの場合、圧力だ。
通らないことを定められる。
だから、進むためには剣が必要だ。
振り掛かる網を切り裂いて、
進み続ける、自我が。
魔法使いの姿をとった【運命を定める者】と【九十九神】の間に、空間がある。
何も無いと見紛うようなその場所を、【調律師】が撫ぜる。
黒いスリットスカートに、【純白の剣】が浮かび上がる。
「アタシが訊くのもなんだけどさ」
白い床に突き刺さった【剣】の上に、両手を重ねて彼女は問う。
「なんでコレも招集してんのよ?」
「振るわれぬ剣には何も無い」
「えぇ?」
「理由も、意義も無く、“世界”からも総ての登場人物が消えた」
『
そして、“この物語の世界”からは、
誰も居なくなったのでした。
』
「故に、此処に突き刺さる――そして其れのみによって、この兵器は唯一の敗北を喫する」
「振るわれなければ当然なにかを斬ることもない……それは当然のことだと思うのだけど? 答えになっていないわ」
「この【剣】には怨念だけが宿って居る」
殺セ
シ 許サナイ
テ タ
ヤ イ
ル
「其れら怨念も、形を変えた人の意志」
戻シテ
レ 離サナイ
ナ セ
イ
「しかし振るわれなければ只の木偶」
誰カ
デ
モ
イ
イ
「而して、無力な【剣】と成る」
「……って、アンタが書いたんでしょーが」
「その事実を、再確認する為の象徴。負けることの無い兵器と成ったところで、定められた運命の前では、只々無力であるという事の」
コ
ノ
剣
コイツヲ殺ス
使
ッ
テ
ク
レ
『夜空ノムコウ』
SMAPの楽曲。1998年リリース。