1 婚約破棄されました
「公爵令嬢リトリース・アルスティア!今日をもって、貴様との婚約を破棄させてもらう!」
「はい、了解致しましたわ」
「はっ?」
私は由緒正しいリトリース公爵家の長女にして、目の前のポンコツ間抜け馬鹿.... いや、この国の第二王子、シュレン様の婚約者。だが婚約者になったは良いものの、シュレン様は1歳違いの妹、アリナをかわいがっていた。そのため、シュレン様が屋敷を訪れる時は、大抵アリナに会いに来るのが理由で、私は部屋にこもってスパルタ王妃教育を黙々とこなしている。こうしていつものように部屋で勉強していたら、シュレン様とアリナが押し掛けてきて、今に至る。
「なっ、何故だ?お前は俺が好きなんだろ?ははあん、さては強がっているんだな?」
「そうですわシュレン様!お姉さまはシュレン様のことが好きすぎて、事実を呑み込めないでいるんですの!でもごめんなさい、お姉さま。私とシュレン様は運命なの!どれだけ離れていても引き付けられてしまう.... そう!そんな運命の人なんですわ!」
「ああ!アリナ!俺もお前を愛している!」
はああ、と私はこめかみを抑えながらため息をつく。いったい私は何を見せられているのだろう。ていうか婚約破棄とかどうでもいいからさっさと出て行ってほしい。
はあ、と二度目のため息をついて、私はソファーから立ち上がった。
「その婚約破棄、しかと承りました。どうか永遠にくっつてお幸せになってくださいませ。それでは。」
「まっ、待て!話はまだ終わっていないぞ!」
なにやらシュレン様がこちらに向かって手を伸ばしているが、もう遅い。
「転移」
私は手を唇に当てながら唱える。すると私が立っているカーペットに、突然魔法陣が浮き上がった。
「なんだ!?何をするつもりだ!?」
「お姉さま!?」
二人は突然現れた魔法陣に腰を抜かしていて、シュレン様なんか足がガタガタ震えている。
「それでは、ごきげんよう。」
不敵な笑みを残して、公爵令嬢リトリース・アルスティアは光の中に消え去った。魔法陣が消えた後には、もう、何も残されていなかった―
見てくれて有難う御座います(^^♪