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俺だったら…

魔法のある異世界に転生してはや10年たった。



前世はもちろん日本人だった。

どんな死に方をしたのかは…

よく覚えていない。

痛みや苦しみはなかったような気がする。


前世を思い出したのは七歳の頃…

「う…うーん」

目が覚めた

天井が見えて…ん?

自室の天井じゃない

体を起こして周りを見渡す

「っていうか…俺は……え???」

そのとたん前世と今世の記憶が脳内にあふれ、混乱…というのも軽すぎる程の状態になり俺は気をうしなった。


「ランぼっちゃま???」

起こしに来たメイドのフェイの声で意識を取り戻す。

フェイは俺より五歳上の、裕福な商家出身の娘で何くれとなく世話を焼いてくれる気立ての良い子だ。美人だし。

「どうかなさったのですか??」

心配そうな顔で俺の目を見るフェイ。

「ああ…いや、変な夢を見ただけだよ」

と安心させるために答え、着替えを手伝ってもらいながら俺は頭の中でせめぎ合う二つの記憶を整理した。


俺はこの世界の地方領主「アール」家の嫡男「ラン」として生まれた。


転生した世界は地球でいうとだいたい古代~中世くらいのムードだった。

地方領主が貴族を自称して

平民やら奴隷やら身分の上下があって

そして…戦争があった。

といっても週に一度くらいな感じで

規模はそんなに大きくない。

領地を接する貴族同士がわずかな土地や水源などを奪い合う

こぜりあい程度だ。


しかし魔法を使った技術(魔術?)が発達していて、人々の生活はわりと快適だった。

能力の大小こそあれ誰でも人間は魔法を使える。

100人に一人ぐらいの割合で全く使えない者もいるが、そんな人間も差別は受けないし、魔術で作られた魔道具を使って普通に生活できる。

水魔法や火魔法で作られた風呂にも入れるし、シャワートイレまであるのだ。


さいわいファンタジーみたいに魔物だの妖怪だのはいなかった。


その世界で…俺は魔法が使えるようになっていたのである。

それも異常なレベルで。


ゲームでいうとMPはカンスト

地水火風全属性使える

どれも凄まじい威力で


子供の頃は怪物あつかいされたりもしたが

魔法と前世の知識をフル活用して

農作物の収穫を増やしたり

病気の治療や予防を行ったりしたので

感謝・称賛されるようになったのはありがたい。

そんな魔法を使えたせいで…

当然俺は戦場に駆り出された


はじめの頃は他の魔法使いのやり方を真似ていた。

自分の中の魔力を体の外に出して敵にぶつける

おおまかに言ってそんなふうだ。


俺は前世でこの手のラノベを腐るほど読んでいたのだが

ひとつ不満というか不思議に思うことがあった



なぜ「ビーム」を使わないのか



たとえば火の魔法であれば「ファイヤーボール」だ。


なぜ「ボール」にする?

広がって周りに散らばってエネルギー(魔力)が無駄になっちまう。

収束して「熱線」にして「なぎはらえ」ばいいのに…と思っていたのだ。


水だって同じだ

細い高圧の水流にすれば物体を切断する威力になる

前世のテレビでよく見たものだ。


というわけで15歳の時初の戦場に出たタイミングで

俺はその考えを試してみた。


「来るぞー!」

前衛の兵がさけぶ。

敵はこれまで何度もやり合ったとなりのムーベル家の軍だ。

兵たちや指揮官に事前に詳しく話を聞いておいたので敵の数や編成はわかっている。

俺は風の魔法で自分を浮かせ、味方の兵たちの頭上に浮かび、敵軍全体を視界におさめる。

「おお!」

「若様!」

兵たちの歓声があがる。

そして俺はかねてから考えていたように魔力を収束し目の前から熱線を撃ち出した。


なぜ目の前かというと狙いをつけやすいからだ。そしてビームを出し続けたまま敵軍最前列を右へ、左へと「眺め」る。


結果…

自分で思っていた以上に高熱にしていたらしく、敵軍は燃えるどころか爆ぜた。


「パン!」「バチュッ」「ボン!」

と、熱した油に氷のかけらでも放り込んだようなイヤな音を立てて敵兵たちが爆散してゆく。


せいぜい火傷でもさせれば降伏すると思っていたんだが…

ひどいスプラッタになってしまった…


「わあああああああああああ」

「ひいいいいいいいいいいいいいい」

黒く焦げた骨と肉片が飛び散り、それを間近で見た残りの敵兵たちが悲鳴を上げている。

さっきまで俺をあこがれるように見ていた味方も震えていた。


「若様が味方で良かったな…」

「ああ…敵には絶対なりたくねえよ…」

(やばい…また化け物呼ばわりされちまう…火はやめて水にするか…?いや人間の輪切りだってそんなに変わらないよな。どうするか…)

その時ひらめいた

(火と水で熱湯にすればいいんだ!それなら火傷ですむ)


残った敵軍に熱湯をスプレーにして(さすがに頭からザブっとはいかない。それもグロいからな)噴霧してやると

「あちちちちい!」

「ぎゃああ!」

すると敵軍の指揮官が

「降伏する!もうやめてくれえ!」

と叫んだ。


味方は無傷 敵はほぼ壊滅という大戦果をあげ、俺は凱旋した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いいあいであで面白いです。 [一言] わたしもさくひんをだしていますので、できればみてくれるとうれしいです。
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