バベル
目的の街、エルディアの上空をペガサスで飛行する。
自分の知る街並みと大きく変わっていることに感嘆しながら技術の連塔へと目指す。
『技術の連塔』とは、プレイヤーによって建てられたものであり、建設の理由は建国当初にさかのぼる。
『エクスワールド・ファンタジア』で国を建国できるということがわかり、多くのプレイヤーが国を建国し始めた。
国が増えると、自然と増えていくものが戦争であり、国ごとの国力に差が付いてくると、小国を攻め込み属国としてしまい、新規のプレイヤーが近寄りがたいようなゲームとなってしまった。
そこで、国主を務めるプレイヤーが一同に会し、国家間のとある条約を締結した。
それは『国力ランク制』と呼ばれ、国の領土や経済力、軍事力等をS~Eの6段階に格付けし、その格に合わせて戦争に参加できるプレイヤーの数を制限するといったものだ。
当時小国であったブリタニカ王国は、長い年月をかけて人材を育成させるよりも技術の発展に力を向けた方がいいのではという考えになり、七天を最高位とした『技術の連塔』を作り上げたのだ。
そうやって、今では大陸一の研究大国と言われるほどの国となったのだ。
ペガサスに乗りながらメニューを操作していると、年表のことが目につき、正式リリースから30年が経っていることがわかった。記憶の中では、寝落ちしたのがリリースしてから10年目だったので、実質20年間である。
そしてこの国の王であり、龍斗の親友でもあるアーサー王がいることがわかり、どうやらゲームの中に取り込まれたのではなく、異世界に来てしまったのではないかと考えた。
バベルは特に変わった様子もなく、いつものように七天が所持するマスターキーを使い、最上階の拠点へ、魔導エレベーターで上がっていく。
バベルへ入るには、近くにある管理局に数日の期限付きのカードを発行してもらうか、バベルの研究者であることを証明するシルバーキー、バベルの最高位――七天であることを証明する七つの星が描かれたマスターキーが必要となる。
最上階に着くと、扉が変わっており、真ん中に七天のマークが刻み込まれている。
どうやって開けるのかわからず、数分間考え、ふとマスターキーをかざしてみると、7つある星の一つが光輝くと同時に扉が開いた。
リューの拠点は私室、研究室、そして補佐官室と別れており、扉を開けてすぐ横が研究室である。
「アリステラはいるか?」
そう声を上げると、奥の補佐官室あたりから返事が聞こえた。
アリステラ・アールブ、ハイエルフでありリューの補佐官である元NPCだ。
銀髪と、アメジストのような瞳をもつ美女――アリステラが顔を出し、自分と目が合うとアリステラが硬直した。
「おい、アリス「リュー様!!」」
声をかけようとした途端、アリステラは抱き着いてきた。
20年も経っているんだもんなと思いながら、頭を撫でる。
アリステラが落ち着きはじめ、改めて言う。
「ただいま。」
「おかえりなさい、リュー様。」
アリステラはそう言って微笑んだ。




