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アヴィスフィア 〜両性を駆使して異世界を謳歌する〜  作者: のんから。
二章 群雄割拠。
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二章01話 アイヴィスの旅立ち。

「それにしても、マリアは本当に愛らしかったねぇ。あんなにも可愛らしい反応をされたら抑えられるものも抑えられないじゃあないか」

「お姉様が可愛らしいお人なのは存じていましたが、まさかキスだけで果ててしまうとは思いませんでした」

「ちぇー。俺だって出来得る限り全力で挑んだというのに、結局ラヴちゃんにいいとこ取りされちゃうんだもんなぁ」

「何ば言いよるんや。気ば失うた後も容赦のう突き続けて覚醒しゃしぇては何度もラヴィニスに落としゃしぇて楽しんどったんなアイちゃんやなかと?」

「そういうシュアだって実に熱の入った良い作品を作っていたじゃないか」

「そうですね。まさか性交渉の前の意気込みやその後のピロートークまで収録されているとは思いませんでしたよ」

「細部までこだわってこそん監督業やけんね。最近は”勇者召喚”ん影響か異世界ん物品が比較的多めに市場に出回っとーけん、そげな意味では感謝しぇないかんね」


 マリアとの約半月における交渉の末、女帝としての最初にして最大の公務である”跡継ぎ問題”を早々に片付けたアイヴィス一行は、来たる教国との決戦を見据えてヴェネティア帝国へと歩を進めていた。


 皇国内では次点として行われた”国教改革”――つまりはアビス教と女神アイヴィスの正式な生誕による人々の思想統一という思惑が恙無く進行しており、未だ一ヶ月も満たないというのに入信するものが後を立たないのが現状である。


 当然そこには相応のメリットを用意してあるからなのだが、それを抜きにしたとしてもその数は減ることが無いだろう。


 それほどまでに教国との間の緊張が高まっているという証拠なのだが、そういった情勢すらも有効だと判断したからこそ早々にこの計画を実行したのだ。


「アイヴィス様。お言葉ですが、少々焦り過ぎではありませんか? お姉様のことと言いアビス教のことと言い、腰を据えて対応すべき案件だと思います」

「全く以てラヴちゃんの言う通りなんだけど、ご時世が許してくれないんだよねぇ」

「……聖アイシュ教国、ですか」

「そそ。リンネちゃんの話では、異例となる今年二度目の”勇者召喚”の準備をしているみたい」

「はぁ。アイヴィス様がアビス教などと言って刺激するからですよ?」

「うぅっ、しょうがないじゃんか。人心の掌握を図るには最適解だったし、外交としても舐められたら骨の髄までしゃぶられちゃうからああするしか無かったんだよ」


 国教改革に伴いアインズ皇国では、金貨等の通貨を全て”貢献度ポイント”化してアビス教の女神であるアイヴィス乃至、その使徒たちがイーグレット城を主にして管理することが正式に定められた。


 私的財産権すら認められていないアヴィスフィアにおいても異例かつ前衛的な通貨価値の指標であり、要するに皇国が全ての金などの貨幣を一括管理するということになる。


 ポイントは夜烏が発行する”ギルドカード”に刻まれた国民の証である魔法刻印――通称”魔印(まいん)”を魔導版にかざすことで確認或いは使用可能であり、アインズブルグを中心とした都市部より少しずつ郊外へと採用していく運びとなる。


 これは数年前より実施されている首都アインズブルグへの入出時に通る各所の侵入出の記録と監視をする魔道具――通称”ゲート”との連携されているため、少なくとも首都内で行われる商いなどの金銭が絡む行動は全て”貢献ポイント”に変換してからでないと法律違反となり、罰金或いは厳罰が課せられるようになったのである。


 こうすることで嫌でも国民はおろか商売に来た外国人までもが女神の存在を認識せざるを得なくなり、認識されることで神力が増すアイヴィスは期せずして力を蓄えることが出来るうえ、その蓄えた力で外敵を屠ることが可能になるといった仕組みだ。


 国家にとって外敵への備えというのは予算の比重も大きく、情勢不安とあれば尚更かかる。その防衛費を他に回すことが出来るというのは非常に大きなメリットだと言えよう。


 国民としても、毎日”祈る”という行動などからも少量ながら”貢献ポイント”が加算されるので、生活が困窮している者や病気や怪我を負って仕事が出来ないものも食いっぱぐれる心配が無くなるので住みやすくなる利点もある。


 金銭的に余裕のあるものも早期に寄付したり、またその事実を喧伝することで大きく”貢献ポイント”を稼ぐことが可能であり、使用感としても重い金貨や嵩張る紙幣なども持ち歩かずとも買い物が出来るというとてもお得かつ便利なシステムなのだ。


 ちなみに郊外に出かける際は各ゲートに併設されている魔導版において”貢献ポイント”を貨幣に換金出来るので、旅行や商売等で出かける際も問題はない。


 国が占有しているため金利崩壊などの危険性も限りなく低いという点と、そもそも土着する文化故に旅行者などもそう多くはないため、()()()()()()()()()誰でも優位に立てる、実に簡単なお話なのである。


「はー。しかし久しぶりに心身ともに使ったから精神的に疲れちゃったな」

「ラヴィニスがアイちゃんのことばしぇんしぇーて呼んどったん知っとったばってん、ほんとうやったんやなあ」

「私もシュウ先生がちゃんと先生しているのは久しぶりに見ました」

「ここ五年間、水面下で色々と準備だけはしていたからね。……ふふっ。惚れ直してくれたかな? ならば二人共、今すぐ私にその豊満な乳を差し出し癒やしなさい」

「はぁぁっ。またお馬鹿なこつ言うて。アイちゃんなほんなこつしょうがなかね」

「そんなこと言いながらも触りやすいように差し出してくれるなんて、本当にシュアは従順で可愛いな」

「あ、あんっ⁉ そげん乱暴に摘みなしゃんなアイちゃんってば、全くもう」

「あぁっ! ずるいですよシュア! ほらアイヴィス様、私のほうが大きくて柔らかいですよぉ〜?」

「あぁ〜。これだよこれ。やっぱりラヴちゃんのおっぱい(G)は最強だよなぁ」

「……? お言葉ですがアイヴィス様。私の胸のカップ数は、Iですよ?」

「――あ、あああ、あいぃぃぃっ⁉」

「――あぁっ⁉ ちょ、ちょちょちょアイちゃんそこ駄目――んきゅぅっ!」

「そうです。アイヴィス様への愛がいっぱい詰まった(あい)カップです♡」

「ひ、ひぇぇっ。自己主張の激しいお胸様に思わず土下座してしまいそうだよぉ」


 デメリットとしては多額の金銭を所持する敵対貴族の離反だが、先日の制裁が効いたのか動きは鈍く、渋々といった様子で従うものが多数を占めた。


 その他市井の混乱や商人たちによる抗議なども上げられたが、入信する際に全て回収する運びとなり、従わないものは教徒として認められないので、実質的に社会から段々と排除されていくことになるだろう。


 理不尽だという声が上がるのは当然なのかも知れないが、前述の通りアヴィスフィアにおけるほぼすべての国が財産権を認めていない。


 つまりは国家がお金を差し出しなさいといったら従わなければならないので、現代日本などに比べて格段に政策が履行しやすいのだ。


 アイヴィスが目をつけたのはまさにこの点であり、実際に一部貴族を除く全てのものからの了承を得ることが可能になったというわけだ。


 要するに一度まっさらな状態に戻し、一から信頼を築き上げるつもりなのだろう。


 現代日本では、国の信用によってお金の価値が変わる”管理通貨制度”を採用しているため”金本位制”のような貨幣の数に制限が無い。


 日本銀行と呼ばれる中央銀行がその総数を操作することで市場が潤滑に回る有意義なしくみではあるが、世界情勢に大きく左右される傾向が強いのも確かだ。


 しかしそもそもそれら全ては現代だからこそ成立しているのであって、今のアヴィスフィアにはそぐわない。適材適所とはいったもので、今回はアイヴィスの政策がバッチリと型にはまり込んだというだけのことなのである。


「ほら。しゃきっとして下さいアイヴィス様。それにどちらかと言えばお尻の方がお好きでは無いですか」

「それはそうなんだけど、やっぱり身近に二人、いや三人も立派なお胸様が居ると流石に揺らいじゃうよね」

「確かに日本人の平均はCでしたし、シュアのHは勿論お姉様のGも滅多にお目に書かれる代物ではありませんでしたよね」

「シュアがHっ⁉ ま、マリアも確かに大きかったけどGって、えぇぇ。――ん、んんぅっ! そ、そういえば椿紗ちゃんも平均値より低いっていつも悩んでたもんね」

「しょ、しょうがないじゃないですか! す、すず姉はFもあったのに私なんて、私なんて――」

「――B、だったっけ? あー、ごめんってば。気にしてたのは知ってたけど、それが可愛くてさ。やっぱり日本人女性の美徳というか、恥じらいって良いよね」

「むぅ。そうやってすぐ誂うから悪いんですよ? シュウ先生のばーか」

「いや、本当にそう思っていたからなんだが。……ていうか鈴音さん、Fもあったのね。俺が見たときは確かにDだったはずなんだけど、なんだ。間違えていたのか」

「すず姉ったらしょうがないことに、そういうところは本当に無頓着だったので。転生するちょっと前に、私がちゃんと測って上げたんですよ。間違えたサイズのブラは、胸にとっても良くないですからね」


 ちなみに聖アイシュ教国は”金本位制”だが紙幣を貨幣として使用する珍しい国家であり、そういった点を踏まえても歴代勇者が残した功績が大きい。


 逆に言えば”勇者召喚”が日常生活に変化――つまりは一種の高度経済成長を促しており、中世ほどの文明体系において圧倒的優位に立っているということになる。


 食文化や生活水準も他の国と比べれば高く、物珍しい物品も多く存在する。


 故に強気な外交政策を実施することが出来、一部の枢機卿などが方方で暗躍をしているという現状に繋がるのだろう。


「そういえば今更だけど、俺もしているこのブラって聖教国産なの?」

「そうですよ! それに大きいサイズでも可愛いデザインが多いんです!」

「――ほほぅ? つまりはその勇者様とやらはそれはご立派なお胸をされてるのでしょうねぇ」

「……とても良い顔で変な勘繰りをしないで下さいアイヴィス様」

「冗談だって。しかしそうなると、いよいよもって内情が気になるなぁ」

「内情も良いですが、シュアのことも気にしてあげて下さいね」

「――はっ⁉ さっきから何も話さないなと思ってけど、果ててたのかっ!」

「はぁ。アイヴィス様はもう少しご自分のスキルを見直した方が良いと思いますよ」

「最近思考と行動を完全に切り離せるようになったからね。なんにも考えてない時は勝手に最適解を選択してしまうのだよ、えっへん!」

「全く、褒めてませんよ? それに、私と話してなければ私がシュアのようにされていたということですか。……はぁぁっ。良くも悪くもアイヴィス様は、日に日に人間離れした絶技を習得していきますね」


 ともあれアイヴィス一行にとって今重要なのは、隣国のヴェネティア帝国で行われる結婚式である。


 故人となってしまった皇帝アルマスが最後に結んだ同盟関係を名実ともに成立させて、来る聖教国との聖戦に備えなければならないのだ。


 国家同士の戦争となれば準備は勿論、移動や戦術基地の設立など年単位での時間が掛かる中長期的な事柄だ。


 一方既に条件付きで話が纏まっている同盟であればそれを満たすことで、戦力や補給等の援助などの支援を願い出ることが可能となる。


 勇者という未知の戦力に対してどこまで補完出来るのかは定かではないが、少なくとも両面作戦にならずとも済むという利点もある。


 問題点を上げるならば両者の気持ちを蔑ろにする政略結婚だということだが、そもそもの平和という大前提が崩れかけている今この状況下では二の次であり、皇族として育てられてきたアイヴィスにとっても選択の余地がない。


 更に言うならば、むしろ此方から改めて願いでなければならないほどには情勢が悪化しており、実際に帝国を訪れるまで安心をすることも出来ないのである。


「はぁぁっ、気が重いなぁ。お米の件で了承してしまった私も私だけど、正直あのじゃじゃ馬と上手くやっていけるか心配でしか無いよ」

「アイヴィス様に対してのみ、やたらと突っ掛かられてましたもんね」

「そうなんだよねぇ。比較的丁寧に対応したつもりだし、癇に障るような言動も

心当たりが無いんだよ。不思議だねぇ」

「きっと自由なアイちゃんが羨ましかったんやなかと? 実力主義ば歌うてはおるばってん、どげんしたっちゃ女性である以上は不利やろうけん」

「シュアの言うとおりかも知れません。前世が男性だからなのか分かりませんが、アイヴィス様は男性に対しても変わらずに自然体でお話されますから」

「……言われてみれば、逆に女性に対してめちゃめちゃ気を使ってしまってるな」


 戦争気運が高まる緊張状態に置いて、彼らのように冗談めかし合いながらも最適解を導こうとするものは稀だろう。


 事実、彼らの護衛を担当する小隊規模――約三十人程の騎士達や、身の回りの世話役として同行しているメイド達の表情は固いものが過半数を占めている。


 そもそも帝国を訪れるためには、魔の森の一層目を北の山脈側から迂回して臨む必要がある。


 当然魔物などの外敵生物も多数潜んでおり、本来であれば談笑などしている余裕など無いはずなのだ。


 そのうえアヴィスフィア全土に置いて差別の対象となり得る尾耳を始めとする獣人達が過半数を占める部隊となると、無事に帝国に辿り着いたとしても良からぬトラブルを呼び込み兼ねない。


「ま、最悪交渉が決裂したら、お米だけ経路を確保してトンズラしよっか!」

「ふにゃぁ。みゅみゅん」

「アイヴィス様……」

「アイちゃんぇ……」


 そんな不安も何のその、彼らの女帝は愛しき母である(ロロ)を愛でながら、今日も今日とてただひたすらに我が道を征くのであった。

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