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なんなんだお前は?


 ルカの宿にそろそろ近づいてきた。


 ここまでルカとは、会わなかった。


 まだ準備してるのか?


 そうして、ルカの宿につながる薄暗い道まできた。


 すると、目の前でスカートを履いてる女の子が、汚い服装の男3人に襲われそうになっていた。


 相手は手に刃物を持っており、女の子は足がブルブル震えているのが分かる。


 男はジリジリと女の子の方へ行っている。



 俺は、助けたい一心で咄嗟に声をかける。



 「おい、何をしている?」


 ちょっと声を低めて、怒りを露わにするように言う。

 

 俺は、人に迷惑をかける奴が嫌いだ。


 だから魔物も悪徳商人もブラック貴族も盗賊も詐欺師もみんなみんな滅べばいい。



 「ああ?なんなんだお前は?通りすがりのやつならとっととどっかに行け。俺たちのことを見なかったことにするなら見逃してやる。」


 相手は、おそらく違法奴隷の売買をしている奴らだろう。


 人生22年生きてきたけどこんな現場に居合わせたのは、初めてだ。


 まず何をするべきだ?助けを呼ぶ?いやだめだ。そしたら、相手は逃げる。俺一人で3人同時に抑えるのは無理だ。


 逃せばまた違う人が襲われる。それはどうしても避けなきゃいけない。


 今、ここで相手を捕まえなければ!


 考えろ。考えろ俺!


 ドサッ!


 すると、突然女の子が倒れた。それにより、女の子の顔が見える。


 その瞬間、何かが切れた音がした。


 「おい、お前ら、俺の仲間に何をしている?」


 襲われそうになっていた女の子。それは、ルカだった。


 短い時間だけど、俺はルカと一緒にいて楽しかった。誰かといて楽しいなんて、いつ以来だっただろか?いつもいつも、金食い虫と言われないために、きつい体に鞭打って、愛想笑いしたりして、もちろん楽しいことがなかったわけではないが、つらい方が多かった。


 けど、ルカとは、違った。いつもの楽しみといえば、冒険して、ちょっと弱い魔物を倒すことしかなかった俺が、間違いなく心の底から楽しいと思えた。ずっと一緒にいたいと思った。


 今までは、生きるために一緒にいるしかなかった俺が初めて、心の底から一緒にいたいと願った。



 だからパーティーに誘ったし、断られた時はめっちゃ凹んだ。


 そして、入ってくれるって言われた時は、めっちゃめっちゃ嬉しかった。


 ああ、そうだ。俺はルカが好きなんだ。


 笑顔が素敵で、優しくて、そして俺が一緒にいたいと思わせる彼女が。

 

 「はぁん。お前こいつの仲間なのか?でももう関係ないこれからは、俺たちのものだ。とっとと失せあが、、ぐべはぁー」


 思わず右手で思いっきり殴ってしまった。


 だが、剣で切らなかった俺を俺は褒めたい。


 はぁ、人を訓練以外で殴るのなんて初めてだ。殴る時手加減したが、案外簡単に倒れるんだな。父さんなら、爪が甘いとか言ってきそうだが。倒れたから良しとしよう。


 「親分!テメェ、何してくれあが、、くべぇー」


  その横にいる。ガリガリのやつにもパンチを浴びせる。やはり、少しの力で倒れるようだ。


 それと最初に殴った奴が親玉のようだ。


 「どぅあー。……なーんてな。ぐべぇー。」


 最後の体格のいいやつは、俺のパンチを一発だけ耐えたが、それよりも強い力で殴り倒す。


 これで全員かな?ふぅ、なんだろう?この感じ?


 父さんとは何回も殴り合いをしたけど。(もちろん訓練の一環。)他人を殴ってもなんの抵抗もないとは。驚いたと同時に怖くなった。



 まぁ、でも父さんの武術の訓練のおかげで大切な人を守ることができた。今度帰った時は、ありがとうと伝えよう。


 まぁ、次いつ帰るかわかんないけど。



 相手の様子をよく見ると、親玉は、手に剣を持っていたが、他は体格のいいやつの手にあるロープ一本のみだった。



 まぁ、こいつらは、しばらく気絶してるだろうから、放っておいていいだろう。それよりも優先すべきことがある。


 倒れているルカを見る。恐怖のあまりか下半身が濡れている。


 かわいそうに。よっぽど怖かったようだ。


 俺は、カバンから小魔石を二つ取り出して、魔法を使う。


 『クリーン』それから、『リフレッシュ』


 これらの魔法は、支援魔法に分類されている。


 クリーンは体についた汚れを綺麗にする魔法。


 リフレッシュは体の疲れを癒す魔法だ。


 どちらも野宿の時に使える。まぁ、お風呂の代わり程度にしかならないが、ないよりマシだ。

 

 魔法を発動させる時は、基本詠唱がいる。しかし、俺レベルになると、魔法名だけで良くなる。


 まぁ、ここまでいくには、相当な努力と才能が必要だが。


 最初の頃は本当に苦労した。長ったらしい詠唱を覚えて、それから、魔石を効率よく使う練習。


 魔石を使うといってもしっかりと魔石の中にある魔力を引き出さないと最大限に活用できないのでそれの訓練が一番大変だった。


 そして、俺が魔法名を言うと


 白い光の玉が二つ俺の手から出て、どちらもルカに当たる。


 すると、ルカの下半身についていた汚れが取れたのが分かった。


 おそらく、疲れも癒やされているだろう。


 「失礼」


 そう言って、俺は、ルカをお姫様抱っこした。


 お姫様抱っこというのは、初代勇者が結婚式でお姫様にした。その当時にはなかった抱っこの仕方だったため、お姫様抱っこと名付けられ、以後大切な人や結婚式でされるようになった抱っこ方式である。


 なのでこれは。女の子にとってとても大事なものである。


 ルカは、お姫様抱っこされたことあるのだろうか?


 初めてだと嬉しいな。


 それともし初めてなら奪ってごめん。


 そんなことを考えながら、真っ暗な夜道を歩き宿の入り口の前に行く。


 流石に、お姫様抱っこで宿の中には入れない。


 俺はおんぶに切り替えて宿に入った。


お読みいただきありがとうございます。


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