すみませんでした。
翌日、新しくパーティーに入るために冒険者ギルドに来た。
まぁ、入れてくれるパーティーがあるかはわからないが…
「おはようございます。ミーさん。」
彼女の名前はミー。ギルドの受付嬢をしている。彼女は、俺が登録した時からいる人だ。
「おはようございます。アルさん。今日は、カルパースの皆さんと一緒じゃないんですね。」
「はい。実は昨日抜けまして、、。」
昨日ミーさんはあの場にいないため知らないのだろう。
それに追い出されたというと、あいつらが悪いみたいになってしまうので抜けると言った。
「そうなんですか?今年に入って三回目じゃないですかー。大変ですね?また、パーティー探ししますか?」
はい。とそう言いかけたがやめた。
「いえ、新しくパーティーを作ろうかと。」
昨日、何気なく言ったパーティーを作るといった考え、思い直してみると案外いいかもしれないと思ったのだ。ただ、人が集まるか不安だが。
なにせ、魔導士とは、魔石を使って魔法を撃つ。そのため、メンバーが集まるまで、限りある人数で討伐しないといけない。となると、魔石はすぐに尽きてしまう。そのため、魔導士は、パーティーのリーダーには向いておらず、他のパーティーにお願いして、入れてしまうしかない。
おそらく、俺が初めての魔導士がリーダーのパーティーを作るかもしれない。
「そうなんですか?分かりました。アルさんはBランクの冒険者なので一応協会の基準には満たしていますね。それでは、こちらの紙に必要事項を書いてください。」
そう言って渡された紙には、パーティーの名前、リーダーの名前、応募するジョブ、仮加入の可否を書く欄が設けられていた。
仮加入の可否とは、冒険者が一時的に加入したい場合、それを許可するかしないかである。
パーティーの名前。何にしよう?
魔導 魔石 アーベルト んーー
マジック マジックストーンは安直だし、、、
あー あーべ アーベズ アベンジズ アベンジャー…はなんかいけない気がするし、
…そうだ!アーズにしよう。
俺は、書き込んだ紙をミーさんに渡す。
「パーティー名はアーズですね、変更の際はまた教えてください。それから応募ジョブは剣使いのベストジョブ以上と回復使いのジョブ以上と盾使いのジョブ以上ですね。これも変更するときは言ってください。それから、仮加入は否と。それでは承りました。」
ちょっと欲張りすぎたかな?今からでも変更するべきか…んー悩む。
「それから、これは公開でよろしいでしょうか?」
公開というのは、冒険者ギルドのパーティーのできかたは、二つある。
一つは、自分からスカウトして組む場合。
もう一つは、まだパーティーに入ってない人をランダムで募集する場合だ。
一つ目の場合は非公開にしてもらい、ランダムで募集する場合は公開する。
公開する場所は、ギルドの依頼掲示板の左隣となっている。
また、ランダムに募集すると言ってもパーティーに入れるランクはCランクからと決まっているためある程度の強さは保証されている。まぁ、俺はしていないが仮加入が可だった場合のみ、Dランクの人から入れる。
なぜその制度があるかというと、俺もそうだが支援戦闘系は、一人でクエストをクリアすることはおろか魔物すら狩れないため、仮加入可のパーティーに入って成果を出してランクを上げなければならない。
そして、Cランクになった時、そのまま入るか抜けるかは決められる。
当然俺は、そのままお世話になったわけだが今年になって追い出されてしまった。
なんか嫌なことを思い出したな。
「はい。公開でお願いします。」
もちろん俺にはスカウトする人などいない。いるとしても、昨日の女の子くらいだろう。回復系のジョブは、パーティーを作る中でとても重要で貴重である。
「分かりました。それでは、Bランクパーティーアーズ 登録しました。」
「ありがとうございます。」
そう言ってギルドを後にしようと後ろを向いた。
そこで、ちょうどギルドに入ってきた人物に思わず瞼がかっぴらいた。
なぜなら、その人物とは、昨日の酒場で追放されていた回復士の女の子だったからだ。
俺は、昨日のことを思い出し、すかさず謝罪する。
「「すみませんでした。」」
驚いたことに、この言葉を言ったのは、俺だけではなかった。何とその女の子も言ったのだ。
「何で貴女が謝るんだ?見ず知らずの俺がいきなり話しかけたのが悪いのに。」
「いえ、私の方こそ結構キツく言ってしまったので、その、、、」
「いやいや、あんな時に空気を読まずに言った俺が悪いから、本当にごめん。」
その後も、ごめん、ごめんの応酬が続いたがミーさんの言葉により場所を移すこととなった。
「あの、ギルドの入り口の前でいちゃつかないでください!通行の邪魔になります!」
こちらとしては、真面目な謝罪なのだがいちゃついているように見えたらしい。まぁ、確かに入り口の前は邪魔だなと思い、場所を移す。
やって来た場所は、昨日来た、酒場だ。ここは、夜は騒がしいが、昼は幾分と落ち着いており、安らぎの場となるカフェにジョブチェンジする。
俺もジョブチェンジしたい。
「俺が奢るから好きなの頼んで。えっと、その前に名前聞いてもいいか?」
「いえ、ここは、私に奢らせてください。後、私の名前はルカです。」
「いや、ここは、、はぁ、わかった、今日は奢ってもらうが次は俺に奢らせてくれ。」
またさっきのを繰り返すのは野暮だろう。ここは大人しく奢られることにした。
実際には、お金があんま無いことは秘密だ。
まぁ、この店はだいぶリーズナブルなのだが、いかんせんパーティーを追放されたので、お金は大事にしていきたい。
これ、絶対モテねぇ奴じゃん。
「分かりました。」
そう言ってニコッと笑った。
そして、その女の子いや、ルカの笑顔はとても素敵で太陽のように思えた。
追放されて諌んでいた俺の心が浄化される。
惚れてしまいそうだ。
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