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始まりの鍵


 「アル、起きなさーい。」

 母さんの声が聞こえた。


 うぅーと背伸びをした。


 なんだか久しぶりに夢を見ていた気がした。なんだったかは、よくわからないが大事な大事な夢のような気がする。


 とりあえず、俺は、リビングへ向かう。


 「お誕生日おめでとう。」


 ポカン、、、


 「しぁーーーーーー!」


 そうだ!ついに()は、16歳になった。


 「アル、おめでとう。早速冒険者ギルドに行くのか?」


 お父さんは、自分の剣を整備している。


 「うん。」



 「なら少し待ってくれ、渡したいものがある。」


 なんだ?魔石もある程度あるし、追加でくれるのか?


 そして、父さんが持ってきたのは長方形の木箱だった。


 父さんは鍵穴に鍵を差し込み箱を開ける。

 

 出てきたのは、七色に輝く鍵だった。


 箱の中にいれるってことはよっぽど大事な鍵なんだろう。


 「これは、なんなんだ?」


 「これは、代々家に伝わっている『始まりの鍵』と呼ばれているもので、もしベストジョブに魔導士の子孫が出たら渡せと始まりの祖先から言い伝えられているものだ。」


 えっ、なんだそれ?かっこいい。始まりの鍵かーどんなものなのか?

 


 「いいか、アル。これは、、、、なんだったっけ?」


 ん?すごく、怖い顔でしかも真剣に言い始める。


 それなのに拍子抜けだ。まぁ、父さんだからな。


 母さんに視線で助けを求めてるってことはこれは、母さんも知ってるのか?


 「んん。『これは、一回しか使えない貴重なものだ。それゆえいざという時にしか使うでない。そのいざというのは己で見極めろ。助けたいものを救いたい。死にたくない。そう言った芯なる願いを叶えたいとき、その鍵を上に掲げ空を回すがよい。そうしたならば、その願い叶える扉が現れよう。』だったかしら。」


 と、母さんがいつもより低い声で誰かを真似するように言った。


 ちょっとツボった。


 「すごいな、よく覚えてるな。俺は、親父から何度か聞かされたのに忘れてたよー。」


 あははー。と全く反省していない。こんな大事な言い伝え忘れてどうすんの?まぁ、父さんだから仕方ないけど。母さんが覚えてなかったら俺、今すぐ使ってたよ。


 「まぁ、あなたったら昔から忘れっぽいんだから❤️まぁ、そんなあなたも好きなんだけど、もう少し物覚え良くならないかしら?」



 「それで、なんで魔導士なんだ?」



 またいつもの惚気が始まりそうなので続きを促す。小さい頃は仲良いなーって思ってたけど、流石にこの歳になってこの狭い家で惚気られると胸が苦しくなる。



 「お、それは俺でも覚えてるぞ!えっーと、あっーと。」


 なんか不安になってきたんだけど。


 「そうだ!それは、特別な魔石を使っていて魔導士のベストジョブの人が使うことによって効果が発揮されるみたいなんだ。昔、魔導使いのジョブの先祖の人が金持ちになりたいって願って使ったんだ、けどなにも起こらなくて、さらに、魔導士のジョブの先祖の人もやろうとしたけどやっぱり失敗して、魔導使いのベストジョブの先祖の人も失敗した。もちろん、うちの家系じゃないベストジョブの魔導士も失敗した。だから、うちの家系から魔導士を出す必要があるみたいってことになって今まで受け継がれてきたんだ。」


 おお!すごい、戦闘能の父さんがここまで言えるとは。

 本当に、今日までの父さん特別訓練は辛かった。俺、魔導士なのに剣ばっかり振らされてたんだよな。まぁ、魔導士ってやることと言ったらいざというときの切り札くらいでしか使えないから自衛くらいできないとだもんな。今では、ジョブ持ちくらいには戦えるようになった。

 

 それと、近所に俺と同い年の子どもなんていなくてやることなかったし。いい訓練と言われればそうだ。


 「わかった。まぁ、使わないに越したことはないかもだけど、いざという時に使わせてもらうよ。もし使わなかったら、子孫にもそう言い残すね。」


 まぁ、どんなものか気になりはするけど使わないに越したことはなさそうだ。


 まず、冒険者でしかも魔導士のジョブで結婚なんてできるか怪しいのに、いきなり子孫だなんて自分で言ってて恥ずかしくなった。



 「おう。頼んだぞ!」



 そう言って、俺は父さんから七色に輝く鍵を受け取り、カバンの中に入れる。



 「今日もこの家も最後と考えると感慨深いなー。」

 

 俺は今、玄関に立っている。


 「そうだな、でも、もしも何かあったらここに戻ってきてもいいんだぞ?最近は、親とかと住んでる冒険者も珍しくないぞ!」


 最近では、家の数もだんだんと少なくなって親と暮らす人も多いらしい。王都とかも外部からの歓迎用の宿確保のために、なるべく家族で暮らすように促しているらしい。


 「いや、まぁ、できるだけ頼らないようするけどその時はお願い。」



 「それじゃ、気をつけてね。馬車に轢かれないように道のはじを歩くのよ。」


 まぁ、最近の道はしっかりと馬車道と歩道で整備されてるからその心配はほとんどないんだけど…


 「わかってるって。それじぁあ行ってきます。」


 こうして、僕は冒険者になる為に冒険者の街アクセスへと向かう。


 さぁ、ここから俺の冒険の始まりだ!


 しかし、俺は知らなかった。俺の冒険は単純じゃないことに。いや、気づけていたかもしれない。魔導士なのに、冒険者になる意味を…。

お読みいただきありがとうございます。


後1話投稿する予定です。


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