スタンピード3
第二陣は、下級魔物が8体中級が6体だ。
さっきの倍以上の数だ。しかも、今回は、中級も混じっている。
まぁ、これは仕方ない。
今も前衛の人が頑張って、防御してくれているが、体力にも限りがある。
それにここからの防衛は下級の冒険者が抜ける。
さらに、あたりも暗みはじめて、視界が制限される。
まぁ、俺は、夜目が効くため多少は大丈夫だが、他の冒険者達が心配だ。
ここから冒険者ギルドまでの往復時間はおよそ15分。その間は、明かりがない。
まぁ、光系の魔法ないし魔導を使えばなんとかなるのだが、この戦いで貴重な戦力をそちらに回すのは悪手だ。
それに、もしやるなら、ギルドマスターの指示が必要だ。
俺の方にボアが近づいてくる。来たのは一体だけのようだ。
俺はそれを力一杯切る。
「ボアスラッシュ!」
よかった倒せた。ボアは身体が硬いから力一杯やんなきゃいけないんだよな…
今度は魔石は出なかった。しっかりと仕留める。
すると、
「グァ!」と言う声が右横から聞こえた。
誰かやられたようだ。多少夜目が効くとはいえ、顔までは正確にはわからない。
フォローに行きたい。
しかし、今は、視界が悪いため容易に近づこうものならば、後方の攻撃の巻き添えを食らうかもしれない。そのため、俺はその場を動けない。
「おい!大丈夫か?!」
声をかける、これが俺にできる精一杯だ。
「はい!大丈夫です!それとなんとか倒しました」
「よかった。このまま続けられそうか?」
「はい。やれます!」
名も知らぬ誰かは大丈夫そうだ。
「こちら前衛!次、行きます!数は、中級が5体!上級が4体です!残りは、上級が4体です。それらは、なんとかこちらで抑え切れてます!」
前衛からの報告だ。
よかった最上級はいなかったようだ。
「おう、わかった。そっちは、頼んだぞ!おいお前らいいか、後ちょっとだからって気を抜くな!最後まで気張っていけ!」
それを受けてギルドマスター代理は、再度みんなを鼓舞する。
『うぉーーーーー』
みんなやる気だ。もちろん俺も。アーサルなんて、もう奇声だ。
そして、俺の元に上級魔物のレッドオークが来る。
流石に上級はきつい。
「おい!こっちの援護を頼む!上級のレッドオークだ」
後衛に援護を頼む。俺以外にも所々でそう言った声が聞こえる。
「わかった!アル!皆さんレッドオークのところは、僕が行きます!」
おお!シューが来てくれるようだ。ありがたい。
「了解!じゃあ少しダメージ与えて上手くそっちに流すぞ!」
「いや、それはアルがやって!」
ん?俺がやる?
「エンチャントフレイム!エンハンスパワー!」シューがそう言うと俺の周りに火が纏われる。それなのに全然暑くない!それと力が湧いてくる。
意味がわからない。こんな魔法、魔導は見たことも聞いたこともない。
「今のアルだったらレッドオークは倒せるはずだよ!さぁ、早く!」
「なんだかわからないがわかった!」
もう、シューに関してはいいや。信頼してもいいだろ。
「なんとかファイアースラッシュ!」
ギィィィン。
オーク系は、皆斧を持っている。それが上位にも慣れば相当な業物になると言う。また、その太い腕は相当な腕力と言う。ただ、体は柔らかいため切りやすい。そのため、よく食用となっている。
そして、その斧で俺の剣は受け止められた。この時点で俺は、死を覚悟した。
それは、オークの腕力に勝てないとわかっているからだ。
そして剣と斧の競り合いになる。身長差は同じくらい。しかし、腕力では劣っている。
だか、不思議と押されていなかった。むしろ、押し返していた。
よし!いける。
俺は剣と斧の競り合いから、自分の剣を外す。
すると、オークは今まで推していたものが無くなり前方に倒れる。
それを利用し、首を一閃。
「ファイアーオーク首カットー!」
ザァーン。
俺は、レッドオークとの戦いに勝利した。
しかしすぐに、別の上級魔物が迫ってきた。
そいつはゆっくりとゆっくりと歩いている。
なぜそれがわかったかって?それは、レッドオークとの競り合いの途中、ついに明かりが届いたからだ。
だから、俺は正確に首を切れた。
さぁ、レッドベアーかかってこい!
こいつは機動力、腕力ともに強い。体もボアには勝らないが硬い。
俺はさっき取った小魔石を構えた…が
「ウォーターカッター!」
あっさりとシューの魔術により倒されてしまった。
そんな、一瞬で片付くんなら最初からやって欲しかった。
はぁ、今の競り合いで刃かけたかもしれない。
まぁ、こっちで、上級魔物が2体倒されたと言うことは、後は、他の冒険者たちでなんとかなるでしょ。
そして、未だに下がる報告をしている人はいない。
残り4匹、絶対に駆逐してやる!
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