魔石取り機
「これは、魔石取り機と言って、魔物の中にある魔石を取る機械…道具だな。これを…実際に見せた方が早いか。」
どうやらその不思議な道具の使い方を見せてくれるみたいだ。
っとその前におおーいヒロイーン。
「ルカ?大丈夫か?」
「はっ、はい。」
「なんか今からこの辺な動画の使い方見せてくれるみたいだから見てみよーぜ。」
「わかりました。」
(えーめんど。なんで変なやつのせいで2人っきりの時間取られなきゃなんねぇーんだよ。)
相変わらずの毒舌を吐くルカ。しかし、それからはアルへの想いがひしひしと伝わる。
「ルカなんか言ったか?」
「早くしないと日が暮れるぞ」
「それもそうだな。で?どこに行くんだ?朝見た限りではもう少し奥の方にもう二体いるみたいだけどそれだと日が暮れる。」
「まぁまぁ僕に任せといて」
何をするのかとワクワクしながら待つアル。
そして、未だに嫉妬心にもあるルカ。
「簡単に説明すれば魔術を使って転移する」
「えっ?それって勇者専用魔法じゃ?」
「まぁ、そうだよね。ただやり方と注意点さえ気をつければなんとでもなる」
ありえない。空間魔法は勇者専用の魔法しかも戦闘として使えたのは初代のみ。それ以降は難しすぎて断念したものも多い。
やり方と注意点さえ気をつければできるなんて代物じゃない。
「貴方、今転移を使うと言いました?冗談はやめてください。あれは勇者様専用魔法、魔術なんかじゃ使えないはずです。」
「いや。使えるよ。勇気さえあればね。ほら」
そう言って、シューが何かをすると目が一瞬ぼやけピントが合うとそこには魔物の大群がいた。
「ここは竜王山と言われる魔物の巣窟の一つだ」
シューは場所の説明を呑気にしているが、アルたちにとっては大発見である。
なんせ、魔術によって転移が成功したからだ。
「「うっそ」」もはやそれしか言い表せない。
語彙力の消失だ。
そしてルカはある結論に至ったようでハッとして
「貴方はもしかして勇者様なのですか??」
そうルカが問う。
「んー。難しいな。まぁそれに近しいものとだけ答えとく。」
シューは言葉を濁した。
「なら勇者パーティー?」
今度は俺が問う。勇者パーティーとは、勇者、賢者、守護者、聖者のベストジョブで構成されたパーティーだ。
先程、シューは勇気が必要と言っていた、だからそうかと思ったのだが
「それは違う。」
今度は断言された。ならいったい何なんだ?ますますわからないぞ。
「ならなんなんですか?」
と俺が思ったことをルカが言ってくれた。
俺は不安になってきた。なぜなら、わざわざこんな危険な場所に転移しなくてもその道具を試すだけなら魔物の少ない場所でも良かったはずだ。
それなのに魔物の大群がある場所に転移するなんて。
冒険は好きだ。しかし、何も下調べなしのハラハラの冒険は苦手だ。
ゆくゆくは竜王山にも行こうと思っていたが何も調べていないため不安なのだ。
「それより、魔物が来たぞ。」
ほら、言わんこっちゃない。俺たちは、慌てふためいた。見ると、みたこともない魔物も混ざっており、それに今にも襲われそうになっているのだから当然だ。
その数なんと8体!スタンピードのおよそ半分。
しかし、それは数だけの話、実際はスタンピードよりも強いかもしれない。
足がガクガクなって動けない。
「一匹以外は邪魔だなー。えい」
そう言ってシューは、手を魔物に向けた。
バシャー。そんな音と共に大量の水の刃が魔物の大群を襲う。
「おお。やっぱここでの魔術はやりやすいな」
そんな呑気なことを言っているがそれどころではない。みたこともない魔物が襲ってきているのだ。
しかし、水が収まるとあたりには横たわっている魔物でびっしりとなった。そして、宣言通り立っている魔物は1匹だけになっていた。
「貴方、何をしたんですか?」
「僕は魔術しか使ってないぞ」
「そもそも、なんで魔術が使えるんですか?」
「説明はあと。まずは、みておいてくれ」
見ると、見たこともない四足歩行の魔物がもうすぐそこというところまで来ていた。
シューは手に持っている黄色の変な道具を構えその魔物に近づき胸のあたりに刺した。
そして持ち手の部分を握る動作をするとガゴッという音がなった。
その音を聞いたシューは、ニヤリとほくそ笑み…
「これが、魔石のかんたんな取り方だ!」
黄色の道具は、刺した時と形が変形してマンティスのカマのようになっていた。
そして、そのカマから大魔石を取り出した。
「「えええええええええええ。うっそー」」
俺たちは驚いた。
なぜなら、倒した魔物は大魔石が取れるほどの強い魔物(少なくとも中級以上)で、さらに魔石を取られた魔物は、その後光の粒のようなものになって消滅したからである。
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