シュー
「ちょっと待った。」
そう言った金髪の青年は、次の瞬間には、盾士のベストジョブの男の首を狩っていた。
ヒュンと音が鳴る。そして、首が宙を舞い地面にドスッと落ちる。
斬撃が見えないほどの速すぎる剣はそんな音がなる。
父さんもたまにできると言っていた、だから、この金髪の青年は剣士のジョブ以上を持っていることになる。
とりあえずこいつが味方かどうか判断しなければ。
「助けてくれたでいいんだよな?」
「ああ、そうだぜー。久しぶりだなアルー」
えっ?久しぶり?どういうこと?なんで俺の名前を?
「えっ?どこかで会ったか?済まないが記憶にない。名前を教えてくれ。」
「まぁ、そうだよなー僕の名前はシュー。ジョブなしつまり無職だー」
「無職?ならさっきのはなんなんだ。」
「ただの剣術だー」
ジョブの力で発揮するのは技といいジョブの力無しで発揮することを術という。魔術や算術もその一つ。
つまり、ジョブの力を借りずにあそこまで熟練した攻撃ができたわけだ。
もし、剣のジョブを持っているとしたら末恐ろしい。
「剣術?剣術であそこまでできるものなのか?」
「まぁ、普通はできないが僕はできる。まぁ、いずれアルもこの域まで達するよー」
「初めて会ったが、初対面に向かって何の冗談を言っているんだ?俺じゃあ出来っこないよ。さっきだって一人取り逃がして一人仕留められなかった。俺にはそういった戦いの才能はない。」
「アルがそう思うならそこまでだ。僕は、たとえできなかったとしてもいい。やってみることに価値がある。そう思って、訓練した。強い気持ち、信念を持って訓練した。その結果がこれだ。強くなりたいでもいい、誰かを守りたいでもいい。とにかく強い気持ちを持つことが大切だ、覚えておけ。それから、僕の生まれ育った地では、失敗は成功の元という言葉がある。だから諦めずにやってみろ。」
そう言ってシューは俺に近づき、
「後ろの女が好きなんだろ?だったら下手れたこと言わずにやれ。」
そう囁いて、ニヤリと笑った。この顔は確信している顔だ。
「どうしてわかった?」
ならばと、とぼけずに返す。
「さっき大声で、『俺の女』とか言ってたろ?」
えっ?そんなこと言ってた?
「まぁ、後ろの女も満更ではなさそうだがな。」
俺はルカの方を向く。
ルカは顔を真っ赤にして悶えてた。
かわいい。
「よし、てなわけで僕をこのパーティーに入れてくれ。あいにくここにきたばかりで、頼れる人もいないんだ。」
シューが突然そんなことを言ってきた。
「えっ?待って。ちょっと考えさせて。」
さっきの攻撃はすごい。うちのパーティーは、魔石がなかったら戦えない。だがシューがいれば何とかなる。
でも、見ず知らずの男。正体不明の男。謎が多すぎる。そもそも何で俺の名前を知ってるんだ?
そして、こいつもさっきの仲間でルカを狙っている可能性も捨てられない。
「あー。ちなみに、僕の特技は魔石を取ることだから。そこんところよろしく。」
「なに?あれは運じゃないのか?」
「違うよ。この世界の人たちはやってないから知らないだろうけど。魔物の中には魔石が必ずある。まぁ、それが心臓みたいな役割だからな。心臓っていうのは、ものが動くために必要なもの。で、その魔石ってのは、胸のあたりにある。で、それを取り出すには、ちょうどいい感じでダメージを与えないといけないんだ。多すぎる攻撃を与えたら魔石は壊れて消えてしまう。それが魔物の死というわけだ。で、その他の方法として…」
よっと。という掛け声とともに、シューの腰にぶら下がっている袋から、
黄色い、スコップの様なクワのような見たこともない道具を取り出した。
黄色いやつは、ショベルカーとマジックハンドを組み合わせたようなやつです。
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