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始まりのジョブ

アールです。よろしくお願いします。


 僕の名前はアーベルト。僕の夢は、冒険者になってパパとママと冒険に行くことだ。


 ただ、冒険者になるには主に3つの条件がある。


 一つ、年齢。16歳の成人を終えたものから、70歳まで。







 二つ、戦闘系(攻撃、又は防御)のベストジョブ、ジョブを持つもの。これらは、10歳の時に行われる鑑定の儀でベストジョブ、ジョブ、ワーストジョブの3つがわかる。


 ただし、全員が全ての項目がわかるわけではない。ジョブとワーストジョブだけだったり、逆にワーストジョブがなかったり、はたまたベストジョブのみの場合など人様々である。


 ベストジョブは、その人が最も能力が発揮できる事象。これは、ジョブとは比べ物にならないくらいに優れている。戦闘系ならば一騎当千の力を持つこともできる。これがあるだけで村が安泰という村もある。


 そのため、この国の騎士団の入団条件はこのベストジョブの戦闘系が入団の最低基準とされ、さらにその中で優れたものを試験で選び、その試験を突破した者が騎士団へと入団できる。


 また、商人であれば目利きに磨きがかかったり、また大手との取引も優遇される。 


 とにかく、ベストジョブはすごいということだ。


 そして、ジョブは、常人以上に能力が発揮できる仕事。これは、ベストジョブ持ちの人と比べると格段に劣るが努力次第では、ベストジョブに迫る人もいたという噂もある。この噂は戦闘系でも非戦闘系でも立っている。



 最後に、ワーストジョブは、その人が絶対に能力が発揮できない事象のこと。これは、今までの歴史で覆されたことはない。できないたはどういうことかというと、


 例えば剣使いのワーストジョブだとする。するとその人は、剣が一切使えなくなる。


 世の中には、その人たちのことを無能と呼び、迫害されている。また、村から追い出すところもあると言う。


 それほどまでに、ワーストジョブとは最悪なのだ。



 これは、戦闘系でも非戦闘系でも怒っている一種の人権問題だ。



 だが、実はジョブとして表示されていなくても、努力すればそれなりにできるようになる。実際ジョブに表示されていないにも関わらず一流の魔法士と呼ばれるまでになった者もいる。


 彼の持っているジョブを知っているものはいないが、『ジョブ無し』と言うのをを築いた人であると、これは、シューのパパから聞いた。



 ベストジョブは、超超超すごい。 ジョブは超すごい。 +ジョブでなくても、すごいくらいまでいける。 ワーストジョブは、超超超使えねー。そんな感じだと思う。






 3つ、身分の証明するものの持参、又は既存もしくは引退した冒険者の推薦状をもらうこと。

 これは、もし、低ランクの冒険者が騒ぎや事件を起こした時、どこの誰だかわからなければならない、もしくは責任を取れる者が必要なため。


 基本は、生まれた時にみんな身分証は受け取れる為、後者で、登録するものは滅多にない。


 身分証には、自分の名前、生まれた年、生まれ育った国、生まれ育った地域、ジョブが書かれている。さらには、結婚した時の相方の名前。男の場合は、身分によって違うが僕の場合は、第一夫人、第二夫人とある。



 それを提出することで、ようやっと冒険者になれる。



 以上のことが冒険者協会によって定められている。



 よし、今日の予習終了!これは僕が毎日行っている冒険者になるにあたっての予習だ。まだジョブがわからないから、知識だけでもつけなさいってパパとママに言われたためやっている。きっと幼馴染のシューもやっているに違いない。


 ふぅ、と息を吐く。僕は、今日、ジョブがわかる。そして目の前には、今まで二度しか行ったことのない協会の前にいる。一度目は、僕が生まれた時に、今日の鑑定の儀の予約をするため。二度目は、今日のために下見に来た時にだ。


 

 今日のこの鑑定の儀によって僕の運命が決まると言っても過言ではない。

 

 ふと、隣を見る。


 僕の幼馴染であるシューはいつもより堅い顔をしている。しかし、今日という日にはうってつけの顔だろう。シューは家の近所に住んでいる僕と同い年の子でシューのパパは僕のパパと同じ冒険者だ。さらに言えば、シューのママも冒険者をしていて僕のパパとママとシューのパパとママは『シューアルト』というパーティーを組んでいる。


 そのため、シューと会うことは多い。だけど、彼の顔はいつも堅い顔をしている。


 でも、シューといるのは正直楽しい。そして、2人で冒険者になろうと約束もしている。シューと僕でパーティーを作ってダンジョンに行く。


 まだ、お互いジョブも分からないのにはしゃいじゃって、今から将来が楽しみで仕方がない。


 そして、シューは頭がいい、村の中では、大人の人も入れてもなお、ぶっちぎりの1番の秀才だ。


 普段から堅い顔をして何を考えているか図らないけど重いものを持ち上げる道具を作ったり、シュー曰くテイコノゲンリン?ってのらしいけど、よく分からなかった。


 あとは、火を魔法や魔法具、魔導具なしでつけたりとすごい。


 まぁ、そんなことがあるため、シューは、村の人から多くの期待を寄せられている。なので今日はいつもより堅い顔になっているのだろう。



 しばらく時間がたち、僕たちの周りにも段々と人が集まってきた。最終的に数は40人程に集まった。



 そして、中から神官様が出てこられた。



 「今から名前を呼んでいくから、呼ばれたもののみ身分証を持って入ってくれ。」



 そうして、集まった人たちが次々と呼ばれていく。


 順番に一人一人入っていくのはプラットバシーとか言う名の保護のためだ。


 身分証を持っていくのは、表示されたジョブを書く為だ。みんな10歳まではジョブの欄は空欄になっている。


 入った人が出てくるまでおよそ10分くらいかかった。


 そうして出てきたものは早く親に知らせたいのか走っていく者もいた。


 さらに、出てきた人の中には、泣いている人もいた。よっぽど嬉しかったか、悲しかったのだろう。


 最後に残ったのは僕とシューだった。



 「それでは、イー村のシュー入って来い。」


 まずは、シューからのようだ。


 シューは、覚悟を決めたようにコクリと頷き協会の中へ入っていった。



 イー村というのは、このドーア王国のハズレの方に位置する小さな村で、僕たちが暮らしている村である。近くには冒険者の街と呼ばれるクロースと言う大きな街があり、そこで生活物資などを取り入れている。


 そして、イー村は小さい村のため協会がなく、鑑定の儀もわざわざこの冒険者の街で行う。



 5分ほど経った頃シューが出てきた。


 シューの顔はいつもの堅い顔ではなく、醜く歪んで今にも泣きそうな顔をしていた。よほど落ち込むことがあったようだ。どうしたんのかな?ワーストジョブでもあったのかな?僕まで不安で泣きそうになる。



 大丈夫か?そう声をかけようとしたができなかった。明らかに大丈夫じゃなさそうで、僕にできることはない、放っておくべきだと考えた。


 「また、俺は、、、」


 すれ違った時、シューはそう呟いて村の方へと歩いて行った。

 


 「最後にイー村のアーベルト、入って来い。」


 いよいよ、僕の運命が決まる。自然と体が強張るのがわかった。それと同時にどうしようもない不安が襲ってきた。きっと、さっき落ち込むシューを目の当たりにしたからだろう。


 神官様に、案内されてきた場所には一つの机と石板が置いてあった。


 「身分証を出せ」

 と言ってきた。


 「どうぞ」


 僕は言われた通りに自分の身分証を肩にかけている鞄から出し、神官様に渡す。


 神官様が身分証明書の内容を確認をする。確認が終わったのか、


 「それでは、その石板に手をかざせ。」



 言われた通りに石板に手をかざす。


 お願いします。戦闘系戦闘系戦闘系戦闘系戦闘系戦闘系戦闘系系戦闘系戦闘系戦闘系…



 僕はできる限り祈り続けた。


 すると突如青白く発光した。


 それが収まると石板には文字が書かれていた。



ーーーーーーーーーー


名前 アーベルト


ベストジョブ 魔導士


ーーーーーーーーーー


 魔導士とは、魔石を使って魔法を放つことができるジョブだ。魔石の大きさに比例して威力が上がる。ただ魔導士は、魔石が収入源かつ売っているのも高価ということもあり冒険者には向いていないとされている。


 通常、魔法とは自分の中にある魔力というものを使い魔法を使うが魔導系は魔石を用いて魔法を使う。魔力は全ての人に宿っているがその扱いは難しい。しかし魔法系ジョブを持っていれば簡単に扱うことができる。


 魔導系とは、主に魔導士、魔導使い、魔道具のことを指す。


 魔法系は、主に魔法士、魔法使い、回復士、回復使い、魔法具のことを指す。


 また、二つを扱えるジョブに、勇者と賢者というものがある。


 また、空気中にある魔力を使って魔法を発動する魔術という技術があるがそれは既に使い手がいなくなっいる。これは、ジョブではない。ではなんなのかと疑問に思い、パパに尋ねたがわからないと返された。



 よし、僕は戦闘系だ。(魔導系だけど)それに『士』だ。 魔導系とはいえ努力すればそこそこ上の冒険者になれるだろう。今日からの訓練が楽しみだ。


 僕は胸を躍らせながら家へと帰っていく。


 その頃にはシューの存在は、僕の中から消え去っていた。


 それは、村の人たちも同じだ。

お読みいただきありがとうございます。

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