契約
「ご主人様、私はファス01翡翠人形で御座います。生体データを頂いても宜しいでしょうか?」
長く柔らかそうな翡翠の髪と肌、透き通るようだが中身は見えず微笑みは天使のようで、それだけに私は彼女のご主人には相応しくないのであろう。しかし何故ご主人なのだろうか?
「ご主人様は、人工スキル【ファスの契約】を、お持ちです。私を倒したものに自動で付与されるか、お父様曰く選ばれたものに生まれると言っておられました。左手に痣があるはずです」
左手の軍手を、外すとファスの胸にある刺繍と同じグリフォンのようなマークが、刻まれている。倒したら主人か・・・それは、本当に相応しくない。
「そんな事は、御座いません。それに、ご主人様に断られるとまたスリープ状態になってしまいます。ファスに、お仕えするご慈悲を下さい。是非生体データに、ご了承を」
また石の中に、いる状態になるのか・・・それならご主人様は、無理でも仲間くらいで連れて行こう。この夢の中が、死にゆく幻想か運営の嫌がらせであったとしても女の子には優しくだ。
「ファスさん了解しました。私は、オトヌキです。ご主人という柄でもないので、気さくに接してください。生体データは、どうやってお渡しすれば??」
その瞬間、唇に柔らかな触感と幸せな感じが広がりファスの温度、匂いが、感じられ私の体温が凄まじい勢いで上り心拍が、そのまま死ぬのではないかと思えるくらい大きく早い・・・・・
これは、絶対異世界転移だ!!もしこれがVRなら運営を褒めたたえ。現実ならお父様とやらの趣味の良さを、称えよう!!例えログアウトが、表示されたとしても絶対に帰らない
「ありがとう、オトヌキさん。これでファスのマスターです。これくらいで宜しいですか??もう少しフランクが??もしかするとキツメが良いですか??」
私はオドオドしながら言葉使いを、気にするファスを眺めながら邪な思いに蓋をするのであった。
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