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6章12話/ミッドナイト・ブルー・トレイン
駅の階段は――私の悪癖が発動している――人生に似ている。
下を剥きながら登り降りする人が多い。なんだか落とし物を探して歩いているようにも思われる。なにをいつどこでだろうか。大昔で、目に見えないところに、とても大切なものをかもしれない。見つからなければどうするのだろう。探し続けるのだろうか。だろうな。
突拍子もない。私は苦笑した。それに、私の捜し物は、今日はすぐ隣にいて文句ばかりを言っている。私は笑う。笑いながらも下を向いている。上を向くべきなのに。





