最終章3話/ふたりが苦しみふたりで泣いて
マチダという名前に騙されてはいけない。己の故郷であるホンマチダには何もない。何もないがある――などというのは地元民の現実逃避に過ぎない。
実際、ドラッグ・ストアも、コンビニすらロクにない。ガソリン・スタンド、寿司やピザの宅配専門店舗、夜八時に閉まる個人商店、そういうものが軒を連ねている。否、連ねてなどいない。国道と名乗る癖に車通りの少ない道の脇に、あちらにポツリ、こちらにポツリ、点綴しているばかりで集合はしていない。店と店の間には丘、藪、小山、森、林、それに空き地などがあって、それらに遠慮するように、まばらに人家が建っている。――
我が家もそのひとつだ。
隣家との距離はたっぷりと三五〇メートル、畑と用水路と竹林を隔ててのことで、およそトヲキョヲの物件とは思われない。敷地こそ広いけれども、なにしろこの辺は地形の隆起が厳しい、東側と西側では信じられないほどの高低差がある。東側は崖と評して差し支えない。見上げると三メートルはある。
為に、我が家は西側の中央に四角く、中庭を囲むような回廊状に設計されており、その周囲は外側から順に枳殻、桜の木、柿の木で囲まれていた。
昨今、地震からコッチ、トヲキョヲには職を求めて大量の浪人が押し寄せた訳で、彼らは四畳半ほどの空間に五人とか六人で暮らしていることもあるとか聞いた。この町へ来ればいい。家でもアパートでもマンションでも選り取り見取りだ。マチダへのアクセスもいいぞ。一時間に一本の市営バス、それに乗れさえすればニ五分でマチダ駅、そこから一時間で都心に出られる。どうだ。参ったか。畜生め。畜生どもめ。待て。己は何にキレている? 落ち着け。
子供の遊び場だけは豊富だ。豈図らんや。そうは見えませんな。畜生め。
例えば、我が家からそう遠くないところにヒナタヤマ公園がある。コレは標高一〇〇メートルのところに整備された公園で、敷地の総面積は六万だか七万だか、バーベキュー場だのステージだの何だのと贅沢なアクティビティが揃っていた。市税の節約を謳って管理会社が変わってからおかしくなった。そも、ボールを持ち込んでもいけない、ゲームをしてもいけない、大声を出してはいけない、挙句の果てに遊具を使ってはいけない、そんな公園で何をして遊べというのか? 大体、じゃあ、なんのために遊具はあるんだ。現代アートか。眺めろってか。ブランコのこの鎖のサビ具合がたまりませんねってか。畜生め。ワビサビってか。
……昔、妹とあそこでよく遊んだ。公園以外でもアチコチの大自然相手に冒険を繰り広げた。(そして、決まって迷子になった。婆様が助けに来た。妹は婆様が来るまで泣いていた。来ると一層、泣いて、婆様は呆れる。婆様の差し出す手は冷たかった。カサカサしていた。妹の横顔が夕方の太陽に照らさているからではなくて赤かった。そういえば、なぜ、婆様は己たちが迷子になっていることがあれほど正確にわかったのか。迷子になった場所までああも特定できたのか。謎だ)
己は右手の人差し指、その第二関節を噛みながら過去を一息に回想して、それから疑問に思った。どうして帰って来てしまったのだろうか。来るつもりなどなかった。去ろうとしたはずなのに。取りに戻らねばならない私物などあったろうか。ないはずだ。あの箱だって置いてくると決めた。
重い気持ちで玄関の戸に鍵を差し込んだ。回す。戸を引く。東側の、あの崖のアチコチに雑草が茂っていて、それらの色が辛うじて緑なのが桜の木の合間から覗かれた。家に入った。上がり框を踏んだところで気が付いた。家中がまるで新築のように輝いていた。どういうことだ。清掃業者でも呼んだのだろうか。
耳を澄ませば拾えた音が二つ、庭の鹿威しと、居間で使われている水のそれだった。廊下を伝って居間へ向かう。庭では季節遅れの花がそれでも必死に咲いていた。そろそろ植え替えの時期かなと思った。思ってから気が付いた。なにを当然のように。お前は帰って来ないつもりだったんだろうに。
「おかえりなさい」居間の障子を開けるなり妹は言った。台所に向かっている。コチラを振り向きもしない。皿をキュッキュッと洗っている。
「もう洗い物だけですから。兄さん、お先にどうぞ」
己は慄いた。どうするべきなのかなと思った。結局、言い出すべき言葉を見つけられるわけでもなく、雰囲気に飲まれる形で己は何時もの座席に着いた。卓袱台には確かに食事の用意ができていた。現金なもので、ここのところまともな食事をしていなかった――できるはずもない――己の腹では虫が鳴いた。障子越しに朝日が己の半身を照らした。暖かかった。障子を見ると白く透けていた。向こうが見えそうで見えない。
「どうしました」二分後、何事もなかったかのように己の正面に座り込んだ妹は尋ねた。「仏頂面で」
「何時ものことだろ?」
「疑問形ですか?」
「違うとは思わない。で、己はここに飯を食いに来た訳でもなければ、お前と無駄話をしに来たわけでもない」
己は喧嘩腰になろうとした。難しかった。自分で思うほど突慳貪にはなれなかった。
「では何をしに?」妹は箸を手にした。会釈をする。マジで食事をし始めやがった。
「いやだから」己は俯いた。食卓には魚の焼いたのや味噌汁やホウレン草だの素焼きの卵だのが並んでいた。どれも己の好物だった。こういうところがムカつくのだ、と、己は改めて妹にどす黒い感情を抱いた。しかし、それもまた、何時もほど尾を引くことはなかった。一瞬、胸の奥でカッと熱くなったかと思えばサッと引いた。いままでにないことだった。もしかすると己の情念はあの夜のあの殴り合いでほぼ消化されてしまったのかもしれない。言いたいことは言った。それで満足したのか、己は?
だとすれば陳腐な野郎だ。一〇年、妹を苦しめたにしてはあまりに安い結末ではないか。どうする。土下座して許しでも乞うか。やってもいい。なんだかとても大儀だ。己はこんな展開を望んでいなかった。罵声、刃物、鈍器、血を見るような、そういうシナリオをこそ望んでいた。本当にそうか。最初から妹の善意をアテにしていなかったか。どうせ許してもらえるのだからせめて神妙な面持ちで出向こうとか考えていたのではないか。
否、善意? 善意だと? 畜生め。畜生め。畜生め。畜生め。畜生め。畜生め。畜生め。畜生め。己はどうしてこうなんだ。どうして変われない。どうして進歩しない。
「いも――」
辞めた。己は長年、愛用してきた可愛い柄のスプーンを握り締めた。それを手の中でクルクルと回転させながら歌うように呼んだ。「京子」
「……。……。……。」
妹は味噌汁の椀を唇にあてた状態のまま硬直した。微動だにしない。味噌汁に目線を注いでいる。味噌汁は椀に注がれている。
「はあ」妹は味噌汁を啜った。眼鏡が曇った。「何でしょうか」
「お前、己を殺さないか」
「兄さんがそうされたいなら」妹は眼鏡の位置を気にしている。
「そうされてもいい」己も眼鏡の位置を気にした。
「そうされても。そうですか。なら、別にいいです」
「別にいい? お前、己を恨んでるだろう」
「当然でしょう」妹は椀を卓袱台に置いた。眼鏡を外した。着ているダブダブのパーカーの裾でレンズを拭く。「当然でしょう、兄さん。兄さんさえ居なければ。あの言葉に嘘はありません。兄さんさえ居なければ私は幸せです。幸せでした。そのはずです。家のことはまだ許せる。兄さんにも事情があったでしょう。しかし、ウチの連隊のことはいまでも許せない」
「か。だろうな」己はスプーンで手の甲を叩いた。許せないと言われることがこれだけ心を癒やしてくれることがあるのか、と、そう思っている。
「わかるはずです。兄さんになら。私には居場所がなかった。あそこが初めての居場所だった。私を受け入れてくれた」
妹は己を見据えた。己も見据え返した。
「最初に部室を訪れた日の話をしましょう。私はこれで人見知りでね、兄さん。家を出たときから脳内でシミュレーションをしていた。どう挨拶しよう。こう質問をされたらこう返そう。バスの中、電車の中、ぶつぶつと一人で呟いていた。で、――見事に失敗しました。部室に入ると頭が真っ白になった。しどろもどろで何を話したのか、記憶にありませんが、彼らはそんな私に『いいよ』と言ってくれた。別に失敗しようが、何しようが、別にいいんだ、と。その他にもね、ミスをしてもですよ、笑って許してくれた。顔面蒼白で、ガタガタ震えて、許してくださいと、そう申し出る私の肩を誰もが叩いてくれた。ある人は私と同じでアル中でした。ある人は兄さんと同じでニコチン中毒でしたよ。またある人はアル中でニコチン中毒だった。私と同じかそれ以上に人殺しを好んでいた人もいる。そして、彼ら全員が私と同じように居場所に飢えていた。親が居なかった。理解者が居なかった。友達が居なかった。或いは亡くしていた。だからこそ身を寄せ合った。不器用でも。時に反発しあっても。お互いの向ける友情を同情と同一視してしまうことがあったとしても。貴方は彼らを捨て駒にした。私はそれについて貴方を許すつもりはない。何があっても許さない」
妹は手に持ったままだった眼鏡を掛け直した。瞳が潤んでいた。知っているよ。もう知っている。お前はそういう風に泣く。
「だからね、兄さん、本当なら貴方を殺したい。ゲームの中ではなく。ここで。いますぐに。全身全霊の、満腔の、渾身の、力を込めて殺したい。心臓を一突きなんて真似はしません。まず喉を締めたい。窒息させたい。死ぬ寸前で息をさせてあげたい。それを繰り返したい。赤くなった顔を見たい。その頬を張り倒したい。笑い飛ばしてやりたい。なんなら私が上から貴方を犯して、散々、辱めた上で殺したい。貴方の――を――して――したい。――して、――すると、――するはずなんです。それを――したい。私はもしかするとそのために純潔を保ってたんじゃないかと思うぐらいです。それぐらいには貴方のことを歪んで愛していますし、歪んで憎んでもいますし、純粋に愛してもいれば、純粋に憎んでもいる」
「そうしない理由は?」
「貴方が殺してくれと言ったならそうしました。嘘ではなく。そのための心構えもしていたつもりです。準備も」
「か。曖昧な態度を取るんじゃなかった」
「ですか。撤回しますか」
「したいような気がする。したくないような気もする」
「言っておきますが、兄さん、私は謝罪なんてして欲しくありませんよ」
「己だってしたくない。己だってお前を憎んでる。出来れば己だってお前を殺したい。出来れば己だって――」
「なんですか」
「やめとこう。兄妹でする話ではない。下品だ」
「なんでそうクールぶるんですかね。馬鹿の癖に」
妹はニタニタした。「馬鹿の癖に」
「馬鹿」己は妹の言葉を反芻した。すると妙な笑いが込み上げてきた。「馬鹿か」
「ええ、馬鹿でしょう。腐れ馬鹿です。脳味噌がないんだ、兄さんには。代わりに詰まってるのは馬糞か何かでしょう。ウチにね、兄さん、いま、麹入りの良い味噌があるんで、それを注射器かなにかで兄さんの頭蓋の中に足してあげたいと思うくらいです、私は。どうですか」
堪え切れない。己は口を抑えた。駄目だった。笑い出した。ついに笑い転げた。妹は気味の悪い声で――ヒヒヒ――笑った。己は妹を指差しながら腹を抱えて笑った。妹は卓袱台を叩きながら笑った。味噌汁が溢れた。ホウレン草が飛び上がった。卵は焼かれる前に戻り、黄身と白身に分離して殻を取り戻し、放置していればやがて雛が産まれてくるようにすら思われた。時間が過ぎた。
「なるほどな」己は目元に浮かんだ涙を指で払いながら納得した。「わかった。いいだろう。言ってやる。教えてやる。己だってお前をぶちのめしてやりたい。腫れ上がるほど殴りつけてやりたいよ。その上でなんならブチ犯してやりもしたい。お前に腰を打ち付けてやりたいね。屈服させてから殺してやりたい。何でも言うことをきかせてから殺してやりたい。昔みたいにお兄ちゃんって呼ばせてからとかな。散々、己のことを褒め称えさせて、感謝させてから、気紛れに殺したい。長い時間をかけて殺したいね。しばらくは優しくしてやる。それから唐突に冷たくする。最後に殺す。どうだ? 満足か」
「お上品ですね」妹はまだニタニタしていた。「私ぐらいお下劣なことを言ってもいいんですよ。こういうの、男性の方が得意では」
「馬鹿を言え」己は後ろ手を突いた。畳みは仄かに暖かかった。「お前ほど嗜みがないわけではない。品性もお前ほど劣悪ではない」
「言いますね」
「言うさ。己はお前の兄貴だ。何の問題がある?」
「それは私は兄さんの妹ですからね。問題だらけですよ。指摘する権利もあるはずです」
己たちは苦笑を交換した。名刺交換のように。実際、お互いがお互いらしい、素の態度で語らうのがコレが初めてかもしれなかった。妹は己の前にも関わらず、行儀悪く、胡座をかいていた。
「兄さん、それでね、私は、さっきも言ったように貴方に謝罪されたくなんてない。感謝もされたくありません。もう今となっては」
「か。なら何をされたい?」
「普通に」
「普通にか」
「ええ。普通に愛してください。普通に憎んでください。愛しているならばそう言ってください。憎いならそう言ってください。感情を隠さずにありのままで居てください」
「いいよ。愛してる。憎んでる。お前は」
「愛してるに決まってるでしょう。同じくらい憎んでいますが」
「そうか。それで、いま完璧に理解した。己は屑だ。結局、なんだかんだ言いながら己はお前の善意に甘えた。甘えている。屑だよ」
「兄さん、まさか今日までそんな基本的なことを理解してなかったんですか?」
「まさか。理解していたさ。とりあえず部分的には」
「屑でも好きですよ。屑だから憎んでいますけれども」
「ああ。己もお前が狂っていても好きだ。狂っているから憎んではいるが」
「どうやったところで」妹は肩を大きく上下させた。
「もう自分は変えられません。なら、仕方ないでしょう? 兄さんは何時までも悩むのでしょう。私は何時までも怒るのでしょう。私が何か言い出さなければ、今日、兄さんは何も言ってくれなかったでしょう。言ってくれたとしても形だけの謝罪、我々が心の奥で何を思ってるかを理解し合う事はできなかった」
「返す言葉もない」
「ま、理解できたところで我々はお互いを憎んでいる。しかし、そうでありながもお互いに求め合うのならば、その状態のまま求め合うしかない。お互いにお互いの急所に少しずつナイフを射し込みながら抱き合うしか無い。それがどれだけ苦痛だろうと。他にどんな手段があるというんですか。ありませんよ」
「お前……」
「諦めているのではありませんよ。ただ現実を現実としてありのまま受け入れようとしているだけです」
「現実を現実としてね」己は安心した。
「ええ。私達がずっとしてこなかったことです。自分の殻に閉じこもり、自分の都合の良いように何もかもを捻じ曲げて受け取って来たことの、これはツケだと私は思っています。私達はもうあの頃には戻れない」
つまりはね、と、妹は疲れ果てた表情で願望と要求とを要約した。
「これからはご面倒でも一緒に居てくださいませんか」
「わかった」己もドッと疲れた。「そうしよう。そうしたい。そうさせてくれ」
「私、兄さんに毎日、毒を吐きますよ。ともすると暴力を振るうかも」
「好きにしろ。己もそうする。毎日、喧嘩すればいいさ。それから仲直りしよう」
「ですか。ですね。ああ、それにしてもしまったな。いまのは割と真面目に愛の告白ですね。実の兄を相手に」
「なにをいまさら」
喉の渇きを覚えた己は味噌汁を啜った。五臓六腑に染み渡るとはこのことだ。まず舌が旨味に痺れた。舌の付け根の方に重い快感が伸し掛かってきた。それから熱い汁が胃へ落ちた。熱いから胃まで落ちていくその軌跡が認識できた。胃液と混ざるのもわかった。胃がぽっと暖かくなった。そうだ、――胃で向日葵が咲いた。心に闇を抱えている女のように。暖かさはやがて胃から波状に体の末端に至るまで拡散して行った。
「ところで京子」早速、己は忌憚のない意見を述べることにした。これだけは何があっても言わねばならない気がしていた。
「お前な、お前の味噌汁は今日も美味い」
「そうですか」妹は当然だとばかりに肩を竦めた。「そうでしょう?」
「ああ。そうだよ」
妹はそこでついに我慢できなくなったらしかった。いきなり鼻をぐすりとやると泣き始めた。びえんびえん泣いた。己は往生した。仕方ないから側へ行って頭を撫でてやった。妹は己の胸の中で暴れた。やはり妹はチビだった。
そうだな。己は自覚した。まさに。自分は変えられない。暴れるな馬鹿めと己は妹を胸中で罵った。これだから低学歴は嫌なんだ。第一、自分たちのエゴのために己たちは何人もの他者を犠牲にしてきた。その自分たちがこうして昼間からイチャコラしていていいのか。己たちのために死んだ連中がこの様子を見たらどう思うのか。浮かばれないのではないか。己たちみたいなのが幸せになっていいのか?
己はなんて情けないのか。最初は行かないつもりで、それがつい流されるようにやってきて、殺されるつもりでやってきて、せめて頭を下げるつもりでやってきて、全て妹任せになって、最後にはこのザマか。畜生め。己は許されたのだ。自分から何を努力する訳でもなく。
なぜ、考えられない?
優しい妹が許してくれたのだと。
どうして施しを受けた気分になっているのか。どうして嬉しい反面、こんなにまで妹のことを憎たらしいと思うのか。こんな己と居たところで妹は幸せになどなれないのではないか。妹は冷静な判断力を失っているのではないか。己はやはり消えた方がいいのではないか。そう考えたところでお前に自分を殺す勇気があるのか。救えない。屑だ。やはり屑だ。
だが、それでも、仕方ないさ。確かに仕方ない。言われてみれば仕方ない。
それでも己はこの自分と上手に付き合っていくしかない。そうだろう? 屑だろうとも己は己なのだから。好きになることはできないかもしれない。己は一生、このまま自己嫌悪を続けて、なにをどうしたところで何も出来ない、妹の一人として救えない屑かもしれない。妹相手に甲斐性を見せることすら二度と叶わないかもしれない。何も変わらないかもしれない。否、変わるはずがない。
しかし、だとしても――。
ふと勘付いた。視界が歪んだ。目がヒリヒリした。瞬きをすると涙が溢れた。うわあと思った。
兄貴だから、アイツ、色んなことに怯えてたから、妹の前では泣かないようにしようと決めてたんだがなあ。
泣いた。
これからは素直に生きる。妹のために生きよう。せめてその心がけだけはしようと、このとき決めた。