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俺たちの共同学園生活  作者: 雪風 セツナ
1学期編 ~中間試験~
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第44話

「じゃあな、蒼。また明日!」

「…バイバイ。」

「ああ、また明日。」

「また。」


俺たちは近くに住んでいるということもあり、一緒に帰宅をした。

試験についてはどうするか多少話したが、協力はしたとしても俺たちは競い合う以上は互いの手の内を晒すわけにいかないのでどちらかの家に行く、ということはせずにまっすぐ帰ることにしたのだ。



家に入り、互いに適当な私服に着替えると俺たちはリビングで試験についてどうするか話し合った。



「さて、どうしましょうかしら。」

「そうだな…。いくつか思いついた方法はあるが対策をされている可能性がある。」

「例えばどのようなものがあるかしら?」

「1つ目は前半と後半に分けてしまうことだ。」

「一番単純でわかり易いと思うけれど?」

「だからこそだ。例えば国語で考えてみる。前半は穴埋めしかなく、後半に記述のみ。加えて記述の合計点が65点としたときに、現代文は穴埋め、古文はすべて記述だとしたらどうなる?15点という問題がなければ50点という配分に割り振ることができないだろう?

しかも分野で担当分けをすることもできない。

数学でも同じことが言える。(1)(2)(3)とあるときに、(1)と(2)で50点が終わってしまえば、(3)だけではなく、もう一方は前提式である(1)(2)をどちらにせよ解かなければならない。」

「そういうことね。あなたの言いたいことは分かったわ。けれど、前半の50点分、後半で50点分ということも不可能ではないということね?」

「俺たちならできるだろうな。力業ともいえる解決法でスマートなやり方ではないと思うが。」


俺と千春は確認テストでは互いに満点を出しており、この休みの間も予習・復習をしていたので大抵の問題ならば解けないわけではない。

ましてやこの方法をとると先に決めておくならば、互いの苦手な分野というのさえなくしてしまえば死角はないと言えるだろう。


「他にどんな対策を考えたのかしら?」

「これはあってほしくないという願望も含んでいるのだが、1問1答で100問出されてしまった場合だ。」

「それは、厄介かもしれないわね。」

「そうだろう?単純に前半後半と分けてもいいかもしれないが、わからない問題に対しては一切アプローチできずに互いにどれを記憶しているかわかりあっていればいいが、欲を出して自分さえ50点取れれば…ということになったときに減点がいくつ出てしまうかわからない。」

「私は決められた範囲しか見てはいけないと分かっているならそうすると思うけれどね。」

「俺も同意見だ。あくまで可能性の話だ。」

「そう。他にあるとすれば1問おきに解いていくとか、かしら?」

「そうなるだろうな。あるとすればやはり先にどの問題をどちらが解くか決めてしまうパターンがシンプルな対処法となるだろう。」


俺たちは思いつく対処法を言い合っていたが、力業で前半と後半に分けて担当した方がいいだろうということになった。

そして、相手が空白になってしまうだろうという問題だと分かったときはその問題を解いて同じ点数の問題を相手に解かせるという運が絡んだ方法だった。

互いを信頼して託すことができれば困難ではないはずだ。


俺たちは夕飯を終えてからも一緒に勉強をすることで試験の穴を作らないようにしていた。



翌日は天候も回復して久しぶりにランニングをすることができた。

俺は久しぶりに走れるということもあってペースが上がってしまったが、走っていた。


「ふむ、久しぶりだな、新庄。」


俺が走っていると、後ろから声をかけられ並走してくる男がいた。


「おはようございます。諸伏生徒会長。あなたのおかげで久しぶりにこうしてランニングをすることができます。」

「俺の想定していた以上に面倒ごとを引き寄せてしまったようだな。それについては謝罪しよう。」

「いえ、あなたのせいではないと分かっていますので。それでもこうした騒ぎになることを少なからず事前に教えていただきたかったとは思いますけど。」

「お前にも情報がいっている通りのことだ。この事情を知らない学生も大勢いる。学内では政治活動を禁じられているうえにこの島の裏の事情を明るみ出しては裏にならないだろう?」

「そうですね。表に出ればそれが表です。」

「お前もこうなった以上は避けられ続けるとは思わないことだ。こちらが不利になるようなことでなければ協力はする。今回のことは貸しにするから何かあれば言ってくれ。この騒ぎは俺の落ち度と言える。」

「わかりました。何かあればあなたの力を使わせてもらいます。それでまた、騒ぎに巻き込まれるようなら使うことはないでしょうけど。」

「下手な使い方をして俺がバックについていることを知らしめるならばまた騒ぎに巻き込まれるはずだ。」


会長はそう言うとペースを落として立ち止まったので、俺もつられて立ち止まった。


「お前は俺に近い特殊な環境で育ったのだろう。どこか似ているようで違いがある。俺たちは力あるものだ。その力をどう使うべきか、その力に振り回されないことだ。己の心はどこにあるのかそれを定めることだ。」


会長はそう言うと俺とは違うコースを走っていった。

俺はその場で何を言いたかったのか理解できずに、経ち尽くしたままだったがこんなところで立ち止まっていてはどうしたのかと思われるうえに、帰るのが遅くなり千春にも心配をかけてしまうと思い家を目指してランニングを再開した。



帰宅後はいつも通りふるまったこともあって千春には特に言及されることもなく、学校に向かうことができた。


正悟と舞依は事前に連絡をしてくれたが、この日は俺たちとは別々に学校に向かった。

彼らもできる対処法を考えているが如何せん正悟は勉強をしないということもあり、苦手な分野と得意な分野で分けることしかできず、そこから50点分をどう分けるか難航しているようだった。


教室に入ると、いつもはこの時間に見ない人も来ていて、試験のためにペアの人に呼ばれて早く来ている人もいるようだった。


教室では俺と千春は試験に出そうなところを2人でピックアップしていた。

「おはよう!」

「おはよう。試験は大丈夫そうか?」

「いや〜、まいったね。榊に呆れられながら勉強させられている。」


正悟は苦笑しながらそう言ってきた。

舞依と一緒に登校してきたようだが、舞依は自分の机で荷物を整理していてこちらに来る様子はなかった


「やることが多いなら俺と話すよりも舞依と話して対策をした方がいいんじゃないか?」

「そうしないといけないのはやまやまだけど、朝ぐらいはゆっくりさせてくれ。昨日は帰ってから休むまで大変だったんだぞ?」

「それはお前がやるべきことをやっていないからだ。復習ぐらいしておいたらどうだ?」

「よお、秀人、おはよう。そうは言うけど、机に向って何かするのって苦手なんだよ。どうすればいいんだ?」

「机でダメなら、それ以外の場所でやればいい。外でベンチに座りながらでもやっていろ。」


秀人はそう言うと、自分のペアの人が来ていないか確認していたが、まだ来ていないようだったのでカバンから何かプリントを取り出していた。


秀人は今来たが、一は既に来ていてペアの女子と試験対策をしていた。

そこのペアは比較的うまくいっていると言えそうな雰囲気でしっかりと会話をできていた。

一部のペアに見受けられるのがお互いに緊張をしているのか会話をするところから困難であったり、一方があまりに不真面目すぎてペアで集まることができていないところまである始末だ。


響真と詩音はまだ来ていないようだが、おそらくどちらかの家で対策をしているはずだ。

彼らは以前からの付き合いもあるから他のペアよりも優位にあるだろう。


俺たちは試験まで1週間と少しということもあって、教室の雰囲気は今までとは違って初めての試験に対してピリついた空気となっていた。


ここまでお読みいただきありがとうございました。


また次話もお読みいただけると嬉しいです

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