第38.5話
今回は蒼雪たちが家でイチャついていた間の正悟たちの行動です。
―――――正悟side
俺たちは蒼の家から出てそれぞれの寮に行くことになったが、
「なぁ榊、どうする?」
「…何が?」
「いや、蒼のことを嗅ぎまわっているいる連中からしたら俺らも獲物の1人になるだろ?こんな時に俺たちが1人で歩いているなんて絶好のカモだろ?」
「…なるほど、一理ある。けど、寮には入れないから外で見つかる可能性もある。」
「うっ、その可能性もあったか…。なら別々に行くか。」
「その方が時間もかからない。」けど、買い物の時みたいなことはしないように。」
「ハハハ、わかってるよ。」
俺たちが買い物に行ったときはバスで見つかっても車内では特に絡まれることはなかった。
しかし、買い物中は何人かに声をかけられ蒼が今どこにいるのか聞かれ、
「俺は知らないけど、誰か知っていそうな人に聞くのはどうだ?俺たちよりももっと適任な人がいるだろ?」
「お前たち以上に親しくしているやつは知らない。いいから教えろ!」
「いやいやこんなところで怒鳴らないでくださいよ〜。俺は本当に知らないんだから。」
俺が知らないと言い時間を稼いでいるうちに、怒鳴り声を聞いた警備の人が来て彼らを連れて行ってもらうようにするなど、ヘイトを俺に集めるように立ち回ったりもした。
その場では完全に被害者で言いがかりをつけられて脅されていたと言い張り、周囲の人も味方につけて難を逃れたりもしていた。
「まぁ一応俺だって面倒ごとに自分から首を突っ込むつもりはないから慎重に行動するし、蒼に迷惑はかけないよ。」
「…そう。」
俺たちは一緒に行けるところまでは一緒に向かったが、途中で別れた。
「じゃあ荷物まとめたら連絡してくれ。荷物まとめてからなら迎えに行っても問題ないだろ?」
「別にそこまでしなくてもいい。」
「念のためだよ。」
「好きにすればいい。」
「じゃあ、荷物まとめたらそっちに行く。」
最後に俺は荷物をまとめたら迎えに行くということで俺たちはその場で別れた。
寮まで戻る道中は特にもなかったが寮に戻ってからは寮長に声をかけられた。
彼も蒼のうわさは聞いており、寮内がうるさくて注意をしたと言っていた。
だからここでは心配しなくていいと言っていた。
もし次に同じように騒いだらこの寮から寮長権限で追い出すと言ったらしい。
(お〜、怖っ!あまりここでは寮長に逆らっちゃいけないんだな。)
俺は内心でそう思いながらも感謝を告げて荷物を取りに行った。
部屋に戻る時に偶然だが詩音と一が外から帰ったようで扉の前で声をかけられた。
「あれ、正悟?」
「ん!おお、詩音と一か。どっか行ってたのか?」
「うん、コンビニで買い物に。それよりも、正悟は今帰ってきたの?」
「あ〜、その話はあとでな。いったん俺の部屋に入るか?事情も話しておきたいし。」
「一は先に戻ってて。僕が話を聞いておくから。」
「わかった。じゃあ後で教えてね。」
詩音は一に鍵と荷物を渡して俺と一緒に寮の部屋に入った。
「じゃあ、ちょっと待っててくれ。荷物の用意をするから。」
「用意?」
「おう。これからまた蒼のところに行くんだが、泊まる用意も何もしていなかったから、何も持ってなくてな。だから一度取りに来たんだ、明日の授業の用意も含めてな。」
「なるほどね。」
詩音には待っていろと言ったが俺の部屋に一緒に入り、机の上から授業の用意だけ手伝ってくれた。
俺は衣類を適当にカバンに詰め込み、詩音がまとめてくれた勉強道具を学校用のリュックに詰め込んで詩音に昨夜のことを話した。
さすがに派閥争いの話はここでして伝聞で他の人に聞かせることでもないと思ったので、省略したが、一先ず俺たちも騒ぎ立てないようにして蒼も積極的には絡んでくる奴らに対処をしないと言っていたことは伝えた。
「う〜ん、わかった。じゃあ僕もみんなに伝えておくね。」
「頼んだぜ。」
俺たちはそう言って別れて、寮から出た。
そして、榊に電話をかけた。
「もしもし?」
「…何?」
「今寮から出たが、そっちは準備終わっているか?」
「とっくに。遅い。女を待たせる男はモテない。」
「言い返す言葉もないが、ちゃんと理由はあるはあるんだよ。」
「言い返してる。」
「…悪い。」
「いい。待ってるから早く来て。帰るときは誰にも見つからなかったけど、出ていくときも誰にも見つからないとは限らない。一応寮長は騒がないように注意したみたいだけどどこまで意味があるか不明。」
「そっちもか。わかった直ぐに行くから。寮の近くに着いたらまた連絡する。」
俺は榊との電話を終えると、周囲で俺を見ている人物がいないかを確認してから女子寮の方へと向かった。
そして、女子寮に近づくまでは周囲から蒼について聞かれることはなかった。
(俺たちが警戒しすぎているのか…?いや、昨日の騒ぎからしてもそこまで大人しくなっているとは思わないんだが…。)
俺は一旦緩みかけた気を引き締め直した。
すると、それが功を奏したのか女子寮から歩いてくる女子の3人組に気が付くことができた。
彼女たちは同じクラスの女子でいくつかあるグループの1つを形成している女子で、俺と蒼が親しくしていることを知っており、ここで話しかけられたら今気づいていない人にも気が付かれてしまう。
(どうするかなぁ…。ここ一本道だし、ここで進路を変更したら怪しまれるし。女子寮方向に歩いている時点で怪しまれる可能性もある。まずいなぁ、顔を隠すしかないか。)
俺はとりあえず、端末を操作しているふりをしながら下を向いて彼女たちをやり過ごすことにした。
(気づかれるなよ…。)
俺の願いはむなしく散った。
「あれ、確か君は新庄君と仲良くしているよね?」
「クラスでも見かけたことあるよ。」
「今彼はどこにいるの?」
「ちっ…。よお。今はあいつと別れているからどこにいるかは知らないぞ?」
「そんなこと言って彼のことを隠しているんじゃないの?」
「そんなわけねえだろ?それにあいつに何の用だよ。」
「そんなの決まっているじゃない。彼の相棒になって彼に養ってもらうのよ。彼がいれば今みたいにポイントを節約しながら生活しなくても済んでしょ?」
「そんな理由で蒼に迷惑かけんなよ。そんな自己中な奴と組む可能性もないだろ?」
「そんなことわからないじゃない。だからまずは彼に会わせてよ!」
「だから知らないって言ってんだろ。」
話は平行線で知らないと言っても彼女たちは引き下がらない。
(どうする…ここで騒ぎになったらせっかく俺と榊が別々に行動していた意味がなくなる…。)
俺がそんなことを考えていると、
「いつまで待たせる。早くしろと私は言ったはず。」
彼女たちの後ろから榊が声をかけてきた。
「悪い悪い、こいつらが俺に絡んできてなかなか思うようにいかなくてな。」
俺はとりあえず彼女たちのせいにして責任を逃れようとした。
「なんなのよ、あんた。」
「これから彼と会うことになっていた。待ち合わせの時間になっても来ないし、連絡もつかない。そして外で癇癪を起こしている女がいて男が絡まれていると聞いて駆け付けた。」
「癇癪なんて起こしていないわよ!この男がさっさと新庄君の居場所を吐かないから!」
「だから知らないって言ってんだろ。」
「知らないことを教えろと言い続けているなんてクレーマーの才能がある。悪魔の照明をしろと言っているならもう話す必要はない。行くよ。」
榊はそう言って踵を返して歩いていった。
俺も慌てて彼女について行った。
「ま、待ちなさいよ。」
後ろから彼女たちがそう言ってきているが、榊は立ち止まることはなかった。
「いいのか?」
「何が?」
「待てと言っているぞ?」
「待てと言われて待つ人は滅多にいない。」
「そりゃそうだけど。」
「それよりも待たせすぎ。騒ぎを起こさないんじゃなかった?」
「それは本当に弁解の余地もない。すまないと思っている。」
「気を付けて。」
「ああ。」
俺たちは2人で蒼たちの家を目指すことにしたが、
「なぁ、榊少しだけ寄り道していいか?」
「…?」
「ちょっと相談したいことがあるんだ。」
俺はそう言って榊を連れてとある場所を目指した。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また次話もお読みいただけると嬉しいです。
感想・評価・ブックマークもしていただけると幸いです。




