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俺たちの共同学園生活  作者: 雪風 セツナ
1学期編 ~中間試験~
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第35話

俺たちは残り時間が少ない中で声を出さないようにしながら話し合った。

話し合った結果、面倒に思うが一度寮まで向かい、そのまま中には入らず歩いて家に戻ることにした。


この策が迷惑を他の人にはかける可能性が少ない案として俺が押し通したのだ。

響真や詩音は友人なのだから迷惑をかけてもいいと言ってくれたが、今後のことも考えるとこれ以上に迷惑をかけることがあると言って今日のところは引いてもらったのだ。


しかし、彼らも1人で帰すのでは変な人物に絡まれたときに対処も難しくなるかもしれないということで俺の家を知っている正悟を一緒に行かせることが条件とされた。


これについては舞依と千春にも問題がないか確認をしたところ、事態が事態だから肉盾として存分に使ってから帰ってくるように言われた。


これには正悟もげんなりした様子が見受けられたが、一応承諾は得られたので俺は正悟と歩いて寮まで帰宅することが決まった。




それから数10分の後、バスは寮に近いバス停まで着いた。


俺が降りるのは最後になったが、乗客には顔を見られることなくバスを降りることができた。



「いや~、長かったな。いつ見つかるかとヒヤヒヤしていたぜ。」

「でも結局見つからなかったよね。」

「うん、多分大丈夫だったと思うよ?」

「そんなことより俺たちも早く帰るぞ。どうせ、俺たちが一緒にいたことも知られていれば事情を聞かれたり蒼と話をさせてくれって連中が来るかもしれねえ。」

「すまんな。」

「いいってことよ。とりあえず正悟はしっかり送れよ?そして俺たちはとりあえず詩音の部屋で集まって他のやつらを対処するぞ。」


響真はこれからの行動方針について簡単に話してから寮に向かって帰っていった。


秀人と俺は、寮の付近に人がいないことを確認して裏手に回りそこで来ていた服を素早く交換した。

着替えるための場所を探していては時間がもったいないということで緊急の措置だった。

幸いにしても辺りは日が沈んでいて、人が少なかったので寮の裏までくる人もおらずそこまで警戒しなくてよかったかもしれないが。



秀人と互いの服をもとに戻すとそれから二言三言話して彼とも別れた。


正悟と合流すると、響真から帽子を預かっておりこれを被って帰るように言われたようだ。

俺は彼の気遣いに感謝して彼の帽子を受け取り、足早に家へと帰ることにした。



道中は何度も人とすれ違うことがあったが、夜間で顔を隠していたこともありすれ違う人に顔を見られることはなかった。

また、念のため、途中からはいつもと違う道を使うなどして、そんな連中はいないとは思うが待ち伏せなどを躱すようにして帰った。


寮からは時間がかかってしまったが、特に何事もなく家が目視できるところまで帰ることができた


幸いにして俺たちが住んでいるところは他の人たちがあまり住んでいない区域にあるので家がバレていて多くの人が詰めかけてきて面倒なことになっている、という状態にはなっていなかった。


「とりあえず無事に帰ることができたな。」

「ああ。悪いな、こんなことに付き合わせて。」

「何度も言ってるが気にするなよ。蒼が悪いことをしたって言うなら別だけど、今回は何もしていないだろ?だからそこまで気に病む必要はないよ。」

「わかった。」



俺は家の近くに怪しい人物がいないことを確認すると、鍵を取り出して玄関を開けた。


「ただいま。」

「おじゃましまーす。」


俺たちが家に入り声を上げると、リビングの方から足音が2人分聴こえてきた。


「おかえりなさい。」

「…おかえり、おじゃましてる」


千春と舞依は玄関まで来てくれた。2人の様子は俺を心配している様子だった。

やはり噂が回ることも早く、それなりの騒動が起こっていたことから俺の安否を直接確認できるまでは不安で仕方がなかったようだ。


「悪いな、心配をかけた。だが、こうやって帰ってくることもできたし、休みが明けるまでは大人しくしているからそれまでは大丈夫なはずだ。」


俺は気休めにしかならないがそう声をかけた。

おそらく俺の姿を見つけられることがなければ学園が始まるまではそこまで騒動にならないはずで、見つかったとしても家バレせずに逃げられれば少なくともこの家では静かに過ごせると予想したからだ。


「そうね、いろいろ話したいことはあると思うけれどリビングに移りましょうか。この時間だから夕飯もまだよね?」


千春にそう聞かれた俺たちは頷き、荷物を持ってリビングへと移動をした。




リビングでは食事の用意がほとんどできている状態だった。


「これは?」

「あなたたちが帰ってくる時間は予測できていたからそれに合わせて料理を2人でしていたのよ。誤算だったのは早乙女君も一緒だったことかしらね。1人分が少し減るくらいだから問題ないとは思うけれど。」

「悪いな。さすがに今の状態で蒼を1人で帰らせて何かあったら大変だと俺らも心配してたからな。できる限りの譲歩として俺が付き添いになったんだ。」

「わかっているわ。私としても蒼雪君1人で対処はできると思うけれど、何かあったときは1人だと情報が共有しにくいわ。その点では助かったわ。彼は話してくれなさそうだもの。」


そう言うと千春は俺に対して、目線を向けると「そうでしょう?」と言いたげな様子だった。

俺は否定をできるとは限らないので肩をすくめた。



「…私たちには何があったか教えて?出回っているのが噂で又聞きだから自体が正しく把握できない。」


千春と舞依が完成手前まで調理を進めていた料理を仕上げ、いくつかの料理を温め終えて食事を始めると、舞依がそう話を切り出した。


食事をしながら話すようなことではないのかもしれないが、ある程度のことは話さないといけないと思い、今日あったことを正悟と2人で説明した。



・午前中は普通に体を動かしていたこと

・食事を終えて室内スポーツをしようとしたら生徒会の面々と遭遇したこと

・会長と蒼雪が2人で何か話していたこと

・2人が卓球で試合を始めたこと

・試合がすごい展開になり、周囲の注目を集め、最後に蒼雪が勝利したこと

・大きな騒動に発展すると危惧したメンバーによってカラオケで隠れていたこと

・それから帰宅してきたこと



大まかに分けただけでもかなり長い説明になった。

これだけのことを話していたからか、夕飯もすっかり食べ終えてしまい、途中で片づけを挟みリビングでそれぞれの飲み物を用意してから話を再開した。


「………というのが今日あったことの大まかなことだ。」

「…はぁ。」


千春はため息をつくとどこか呆れた様子で話し始めた。


「どうしてただ試合をしていただけでこれだけのことになったのかしら。確かに蒼雪君に負けず嫌いな一面があることは分かっていたけれど、そんな異次元な試合を見せられて剰え(あまつさえ)入学したての1年生が勝利したともなれば納得はできるわ。その生徒会長は彼に負けるまでは常に名実ともにこの学園のトップだったのでしょう?」

「ああ。俺ができる限りあの後集めた情報だとそうなっているな。」


正悟はそう言って端末を操作し始めた。


「聞いたところで集まった情報だと、思ったよりも蒼が勝ったことの意味が大きいみたいなんだ。詳しいことはまだわからないがこの学園では政治的な絡みも含めて3つの派閥があるらしい。」

「…3つの派閥?」


正悟が何か説明を始めようとしたが、いきなり大きな話が展開したので、俺たちは黙って木興ことにした。



「おう。1つ目が、革新派だな。この制度を利用して積極的に子供を増やせって考え方でいるやつらで婚姻を推奨している連中だ。好きな者同士なら結婚して子供を増やしてそれらをうまくコントロールして自分たちの地位を確立しようとか黒いうわさが多い派閥だな。これはおそらくで、言いにくいこともあるが蒼にも関係している可能性があるところだな。


 2つ目は保守派だな。今までの日本の在り方を変えることを反対して重婚なんてもってのほかだ。こっちは大人しくしているように思えて過激派の連中は結構ヤバいことに手を出しているって噂もある。けど、変化を嫌う人が多いから規模だけなら3つの中で一番大きい。


んで、3つ目が中立派で現状どうにか手を打たないといけないのは分かるが他にも何か手段はあるはずだって考えている連中だ。これは規模が一番小さいけど、大きな声を上げることができる連中の多くがいるから質で見るならどこにも負けていないところだな。強硬策を選ぶ気もないが静観し続けるつもりもないって考えで表にあまり出ないが何か対応策を練っていると思われている。そして(くだん)の生徒会長もここに属している。


この学園は俺たちに色々やらせていて、いわば政治の権力争いの縮小版だな。俺の見解だと、学生のどの派閥のトップが上に行っても国の息がかかった自分の派閥のところにつかまりそうな気がしている俺の直感だけどな。」


正悟はどこで手に入れた情報なのか俺たちが普通に今生活している限りで走り得ない情報を開示してきた。


「何処でどうやって手に入れてきた情報なのかわからないけれど、それが今回のこととどう関係があるのかしら?」


千春は今聞いたことに現実味を感じていないのか、または理解が追い付いていないのか一度その話は置いておくことにして先を促した。


「まだちゃんと続きはある。」


正悟はそう前置きをして話を再開した。


ここまでお読みいただきありがとうございました。


また次話もお読みいただけると嬉しいです。


感想・評価・ブックマークもしていただけると嬉しいです。

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