第29話
「んっんん。話を戻そうと思うがいいか?」
何とも言い難い空気になっていたので俺は、咳払いをして話をもとに戻すことにした。
「あ、ああ。それで、室内スポーツをするってことでいいんだよな?」
「うん。それじゃあ、さっきのところの一個下のフロアで遊んでからボーリングとかそっちに行く?」
「僕もそれでいいと思うよ。」
詩音の提案にボーリングをしたいと言っていた一も承諾した。
秀人たちも特に異論はないようで、話はそのまま進めていった。
「そういえば、ここを出た後の予定はどうなっている?」
「出た後?」
「ああ。夕飯をどうするかとかそう言ったことだ。」
「そう言えばあまり考えていなかったな。」
「う〜ん、どうしたいとかはあるの?」
「僕はみんなで夜も遊びたいな。こんな機会滅多にないと思うし、遊べるときに遊びたい!」
「そう言うが、お前や他のやつらがいいが、蒼は厳しくないか?帰りを待っているのがいるだろ?」
詩音は夜も遊びたいというが、響真は俺のことを考えてくれていたようだ。
「どうなるかはわからないと言ってある。可能性の1つとして泊まる可能性があることも言ってあるが早めに決めて連絡しておきたい。」
「そういうことか。」
響真は俺にも問題ないことが分かったようでそれ以上俺については触れてこなかった。
その後はどうするか話し合った結果、閉館までいると帰ってから遊ぶのも疲れて難しいだろうという話になり、19時頃まで遊びここらで夕飯を食べてから男子寮の方で遊ぶことになった。
俺はこのことが決まると千春にメッセージを送り、千春も連絡を見てくれて返事をくれたので再度施設に戻ることにした。
室内スポーツは卓球や、サッカー版のストラックアウト、バスケのフリースローといったもの等があった。
俺たちが午後最初にやることにしたのは卓球だった。
卓球に関しては経験者がいなかったが、テニスと似た感じだろうと正悟が言っていたが、それに関して俺が否定した。
「卓球は球やコートが小さくなったりして、あれだろ?テニスの縮小版だろ?」
「それは違うな。テニスと似たようなものと思っていいかもしれないが、体の動かし方はまるで違う。経験者ではないが、見たところ同じ感覚でやってもミスにつながることは明白だ。」
「見たところってどういうことだ?」
正悟がそう言うって来たので、俺は指をさした。
俺が指をさした先には俺の数少ない知り合いである生徒会長がいた。
まさかこんなところで会うとは俺も思いもしなかった。
他の面々は誰だか知らない人もいたが、秀人と正悟は分かったようだ。
正悟は一度俺と会っているからわかって当然だが、秀人も生徒会長のことは知っていたようだ。
「わぁ!あの人たち上手いね!」
「そうだな、あれをテニスと同じというのは確かに違うぜ。」
詩音と響真は生徒会長たちのプレイを見てそう言っていた。
俺たちは外から様子を見ていたが、空いている代はないか探すと件の生徒会長の隣の台とその隣が空いているだけで他のところは埋まっていた。
俺は生徒会長のことを知っているが苦手意識があるわけではなかったので、俺と正悟が隣に、その隣の台に詩音と響真が入った。秀人は俺たちの台に、一は詩音たちの台に入って交代で回っていくことになった。
会長たちはダブルスで、会長のペアは以前会った女子生徒のようだった。対戦相手はだれだかわからないが、相手も男女のペアだった。
俺たちが1周ほどローテーションをまわすと、隣の台の試合は決着がついたようだった。
そして、一通り何かを話し終えると、会長が俺たちに気が付いたようだった。
「ほう、こんなところでお前と会うとは思っていなかった。」
ローテーションの都合上俺が台に入っていなかったので、会長は俺に声をかけてきた。
「こんにちは。私も会うとは思っていませんでした。こちらから見つけることはできましたが、試合に集中していたようなので声はかけませんでした。」
「それは賢明な判断だ。君たちは…。ほう。」
諸伏会長は俺たちが一緒に来たメンバーを見て、
「友人同士で来ているのか。」
「いけませんか?」
「いや、特に問題はない。」
「そうですか。会長は生徒会の方と一緒にですか?」
俺は会長といたメンバーを見て、少なくとも会長とペアを組んでいた女子生徒は生徒会関係者だと分かっていたのでそう聞いた。
「そうか、まだ、生徒総会も行っていないから構成員を1年は把握していないのだな。」
会長はそう言うと、彼らの1人1人を紹介してくれた。
会長は彼らを呼ぼうとしたが、こちらから出向くのが筋だと思い会長が呼ぶことを止めて
俺は正悟たちに一声かけると、彼らの元へ移動した。
そして、まずは近くにいた小柄で俺を睨んでいるお団子髪の女子生徒を紹介してくれた。
「彼女は、3年の生徒会書記の王 美鈴だ。」
「…よろしく、です。。私は認めないです。」
「新庄 蒼雪です。よろしくお願いします。いきなり認めないとはご挨拶ですが、何の事か身に覚えがないのですが?」
「あなたは会長に認められているです。あなたのような1年生が会長と対等に話すことは許されないです。」
「そうですか。」
彼女は俺を敵視しているが会長に絡んだことでなければ害はないと判断して放置した。
「悪いな。彼女は俺の相棒だ。俺のことになるとどうにも話を聞かない。」
「そのようですね。気にしていませんので今回も前回のことも。」
「そうか。」
会長はそう言うと続いて、身長が高めのどこか冷めた雰囲気のある男子生徒を紹介した。
「彼は2年の生徒会副会長の影山 陽介だ。」
「影山です。どうぞ、よろしくお願いします。」
「新庄 蒼雪です。お願いします。」
「僕の名前は矛盾しているでしょう?僕は影であり陽でもある。だから僕はどちらの役割も果たそうとしているのですよ。ですので、裏から表のことまで幅広くやっているので何かあれば相談してください。会長が気にかけている生徒がどんな人なのか僕も楽しもなので。」
「わかりました。何か機会があればよろしくお願いします。」
俺は影山先輩と話をしたが、彼は俺を見ているようで俺自身を見ていないと錯覚させるような感じがした。
生徒会の人には普通の人はいないのだろうか?
そんなことを思いながらも顔に出さないようにした。
「最後に彼女が会計の深海 涼香だ。」
会長が最後に紹介したのは女子としては比較的身長が高めな眼鏡をかけた長髪の女生徒だった。
「会長から紹介にありました深海です。会長が興味を抱いているので私としてもあなたがどのようなことをしていくか興味がありますが、こちらの手を煩わせることはしないでください。こちらに益となる間はサポートをしてもいいと思っていますのでよろしくお願いします。」
「はい、よろしくお願いします。」
彼女は表情も考えず淡々と言ってくるので舞依と似た印象を受けたが、彼女は舞依と違って思っていることをただ情報として伝えて来るかのようでどう返事をすればいいかわからず、取りあえず返答をするといった感じになってしまった。
「彼女は会話をして感じたように冷たいという雰囲気を感じさせるが親しくなればもっと心を開いてくれる。まぁ今は俺たちに負けて機嫌が少し悪いというのも重なっている。」
「会長、私は負けたからといって機嫌が悪いわけではありません。」
「そうか。そういうことにしておく。」
個性的な生徒会のメンバーの紹介を終えて、俺は一度タ級をやっているはずの正悟たちの方を見たが、彼らはこちらの様子が気になっているという様子で、チラチラとこちらを確認しているのが見受けられた。
「会長すみませんが…。」
「時間まだあるか?」
「…はい?」
「時間はあるかと聞いている。」
「友人と来ているので時間があるか、といわれると内容によります。時間を割くだけの価値があることなのか。」
「そうか、内容によるか。俺はお前に試合を申し込む。ちょうどいい場所にいる。新庄、お前に話をするだけの価値があるのか見定めさせてもらう。」
会長の発言の意図はよくわからなかったが、ようは今ここで試合をしようということは分かった。
「わかりました。ですが、少し待ってください。彼らに断りをいれてくるので。」
「いいんじゃないか、やっても?」
「正悟?」
俺が会長と話をしていたのが気になっていたのか、正悟が俺の後ろにいつの間にか来ていた。
そして正悟だけではなく、他のメンバーもこちらに来ていて、俺たちの話を聞いていたようだ。
「蒼、生徒会長は文武両道で優れた人物だと聞いている。ここで試合をするのはいい経験になるんじゃないか?」
「へぇ〜、会長さんってそんなにすごいんだ!蒼雪君、頑張って!」
秀人と詩音は俺たちが試合をするのを勧めて、一と響真も頑張れと言ってくれていた。
「はぁ、わかりました。試合をお受けしたいと思います。」
「よし、それでは始めよう。」
俺は会長とともに台に着いた。
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