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俺たちの共同学園生活  作者: 雪風 セツナ
1学期編 ~中間試験~
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第19話

俺が自室に案内したところ、正悟は中の様子を興味深そうに見ていた。


「蒼の部屋は予想通りだな。」


正悟は観察したのちにそう感想を言った。


俺の部屋は最低限の物しかないと言ってもいいのかもしれなかった。


正悟は俺の机に荷物を置いて椅子に座り、俺はベッドに腰を下ろした。


「にしても、蒼が悪ふざけするとは思わなかったぜ。」

「悪ふざけか…。あれは俺の中で意味のある行為のつもりだ。」

「俺を閉じ込めることにか?」

「ああ。俺と敵対するのか否か、それについて答えてくれなければあそこに入れておけばいいと思ってな。」

「お〜、怖い怖い。脅迫のつもりか?」

「残念なことに本気だ。」


俺たちはにらみ合うようにお互いを見て、しばらく沈黙した。


根負けしたのは正悟の方で、


「大丈夫だって、敵対する相手は選ぶつもりだよ。少なくともここにいる人たちとは敵対はしない。俺だってそれなりに居心地の良さを感じているんだ。わざわざそれを壊すつもりはない。」

「…わかった。今はそれで十分だ。」

「悪いな、俺のやっていることは人に知られていない方がいいんだ。知っている人物が増えると碌なことにならないんだ。」


俺たちはそれからくだらない話をしたり、明後日出かける施設について調べたことを話したりした。



コンコンッ


「お風呂先に入らせてもらったわ。私と舞依はもう入ったから次どうぞ。」

「わかった。」


千春と舞依は先に風呂に入ったようだったので、俺たちに声をかけに来てくれたようだった。


「先にあいつらが入ったのか。女子の入った後の風呂か…。」

「くだらない妄想をしていると千春たちに何を言われるかお前ならもうわかるだろ?」

「そうだけど、お前は何時も白崎の残り湯に入っているから何も思わないのかもしれないが、こちとら健全な男子高校生だぞ?想像するに決まってるだろ。」

「そうか。なら、俺が先に入ろう。友人を変質者だと思いたくないからな。」

「え〜…。まぁいいや。待ってるからゆっくり入って来いよ。」

「…お前が何をしでかすかわからないから早めに上がるよ。」

「そんなに俺が信じられないのか?」

「ああ、もちろん。」


俺は着替えの用意をしながらそう言った。

そして、着替えを持って部屋を出るときに、


「行ってくるから、余計なことだけはしないでくれよ?」


そう言って風呂に向かった。


風呂はゆっくり入るつもりはなかったが、浸からないと疲れも取れないということでいつもよりは短い程度の時間入っていた。



「おかえり〜、早かったな。」


俺は髪を乾かさずにそのまま部屋へと戻ると正悟は、部屋を出た時と変わらずに俺のいすに座り端末を弄っていた。


「ただいま。次入っていいぞ。」

「その前に髪ぐらい乾かして来いよ。」

「ん?ああそうだな。後でドライヤーをこっちに持ってくる。」


俺はそう言って正悟に貸す服を適当に探し渡した。

下着に関しては一度くらいなら使いまわすと言って受け取らなかった。


正悟を洗面所に連れて行き、ドライヤーだけ回収すると、俺は部屋に戻った。


部屋に俺だけで戻ると、やることも特になかったので正悟と同じように端末を弄って待っていた。

待っている間に一度千春から連絡が来たが、先に休むからまた明日という連絡だった。

俺はそれに返事を返して、正悟を待っていた。



「今戻ったぜ〜、いや〜、寮のやつより広いから思ったより長くはいっちまったよ。」


正悟はそう言いながら部屋に入ってきた。


「おかえり、ゆっくり入れたならよかったな。序に言うと、隣ではもう千春たちは休むらしいから静かにしてくれ。」

「おっ、そうか。わかった。後、ドライヤー貸してくれ。洗面所でしてくるから。」

「悪い、ここですることなんてないからすっかり忘れていた。」


俺がドライヤーを渡すと正悟は再び1階に戻っていった。


数分後、正悟は再び俺の部屋に戻ってきた。

俺は正悟が戻ってくるまでの間に、予備の布団を出しておいて広げていた。


「戻ったぜ。布団サンキュー。」

「ああ。それで、どうする?もう休むか?」

「そうだな…。まぁ、俺からは話すこともないしな〜。」

「そうか。ならもう休んで何かあれば明日の朝にでも聞くことにさせてもらう。」


俺たちもそれから寝ることにして、続きは明日ということにした。


「「おやすみ。」」



俺たちは互いにそう言って休むことにしたのだが、どれくらい目を瞑ったままでいたのだろうか。

寝ようと思っていたのだが、なかなか寝付けないでいた。


(寝れないな…。)


俺は正悟を起こさないようにして1階に降りていった。


1階に降りた俺はさすがにここでコーヒーを淹れたら余計に眠れなくなると思いホットミルクを淹れた。


端末を持ってきていたが、特に何か調べるということもせずに、カーテンを少し開けて月を眺めていた。


「何をしているのかしら?」


どれくらいそうしていたかわからないが、ソファに座っていた俺の背後から声が聞こえた。

振り返ってみると、眠たそうにした千春がそこにいた。


「千春か。どうした?寝たんじゃなかったのか?」

「ええ。寝たつもりだったのだけれど、なぜか目が覚めてしまったのよ。」


俺はそう言われて時刻を確認してみると、まだ午前2時だった。


「まだこんな時間だ、寝直すこともできるだろう?」

「そうね。けど、少し話しをしてもていいかしら?」

「かまわないが、懐かしいな、つい1月前も似たような時間に話をしていたな。」

「ふふふっ、そうだったわね。」


千春は自分の分の飲み物としてココアを持ってきて俺の隣に座った。


「舞依の話を聞いて、私は彼女に何をしてあげられるのかしらって考えたわ。」

「何か思いついたのか?」


俺がそう聞くと彼女は首を振った。


「特に思いつかなかったわ。そんなことはないというのは簡単でも、それを彼女が信じるかはまた別のことだもの。」

「そうだろうな。俺たちにできることはないのかもしれない。何かをしてやりたいという気持ちは素晴らしい物でもそれが行き過ぎるとお節介になる。俺たちにできる簡単なことは側にいてあげることだ。何があっても裏切らないとそう思わせることしかできないだろうな。」

「それしかないのかしら…。」

「さぁな。俺は思いつかないだけで他に何かいい方法もあるかもしれない。」


俺がそう言うと千春は考え込んでいた。


しばらく考え込んでいたので俺はホットミルクの追加を淹れ直して戻ってきた。


「やっぱりわからないわ。」

「まだ時間はある。ゆっくり考えていこう。まだ出会って1月だ。お互いに知らないところばかりだろう?まずは互いを知るところから始めていけばいいだろう。」

「そうね、まだ1月も経たないものね、そうするわ。」

そう言うと千春は俺に寄りかかってきた。

「どうした?」

「少しあなたに甘えさせてもらってもいいかしら…?」

「ああ、いいぞ。」


俺がそう言うと千春は寄りかかっていたのから、俺に抱き着いてきた。

俺はいきなりのことで驚いたが、背中に手をまわし、もう一方の手で頭を撫でていた。


「あなたがいてくれたからそこまで取り乱さなかったけれど、兄さんのことを考えると、過去の自分のことを想うとどうしてもやるせなくなるの…。」

「そうか。」

「ええ。こうしてしまうのも私の弱さなのかもしれないけれど、それに甘えたいの。」

「強さとはいろいろある。」


俺は一度そこで手をとめると、千春が顔を上げてこちらを見上げてきた。


「…っ」


千春の顔が思ったよりも近くにあったことに驚いたが、俺は話を続けた。


「も、もちろん肉体的な強さもある。そして、心の強さ。これは人によって意味合いも変わるだろう。諦めない心、折れない心、心のあり方は人によって違うからな。千春の望む強さは何だ?」

「私の…。」


千春は俺の目を見てそう呟き、目を伏せ考えていた。


「私は、私は…。」

「考え続ければ答えは見つかるはずだ。少なくとも人に頼ることは弱さではない。俺に甘えることを弱さと思うなら俺は違うと思う。人は誰かを支えて誰かに支えられて生きている。俺が言うのはおかしいと思うが、今は千春が俺に支えられているってだけだ。」

「それならいつか私もあなたを支えられるようにならないといけないわね。」


千春はそう言って俺の胸に体を預けたままにしていたので、頭を撫でることを再開した。



ここまでお読みいただきありがとうございました。


また次話もお読みいただけると嬉しいです。


感想・評価・ブックマークもしていただけると嬉しいです。

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