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俺たちの共同学園生活  作者: 雪風 セツナ
1学期編 ~中間試験~
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第18話

「………落ち着いた、聞いてくれてありがとう。」


しばらく彼女が落ち着くまで俺たちも待っていると、彼女はそう言った。


「いいえ、話してもらえて嬉しかったわ。ごめんなさいね、無理に聞き出そうとする空気を作り出してしまって。」

「…いいの、それでも話したのは私だから。顔洗ってきてもいい…?」

「ええ。こっちよ。」


千春は舞依が顔を洗いたいというので洗面所に案内しに行った。


「正悟。」

「どうした?」

「お前はどこまで知っていた?」

「何のことだ?」

「惚けなくてもいい。お前はどこかでその話を聞いていたんじゃないか?この中ではお前が一番一緒にいる時間も長く、なによりも事情を知っている様子を見せていただろう?」

「まぁ、隠すほどのことじゃないか…。話は単純だよ、俺はその噂を知っていた。それだけだよ。個人を特定するのは難しかったけど、難しいだけで不可能じゃない。」

「お前には知り得る術があったということか?」

「そういうことだ。」

「それは…」


俺がさらに問いかけようとしたところで2人はリビングへと戻ってきた。


「あら、何を話していたのかしら?」

「ああ、ちょうど明後日に行くところの話だよ。なぁ、蒼?」

「あ、ああ。本来は明日の予定だったが、明後日に延期してもらってな。まだ伝えてなかったのはいつにするかまだ確定していなかったからだ。」

「ふ〜ん、そう。わかったわ、明後日に蒼雪君は出かけるということでいいのね?」

「ああ。」

「それなら、舞依、明後日私たちも出かけようかしら?」

「…いいよ。」


正悟としても彼女たちに知られたくないのか、話を誤魔化していた。

俺もわざわざ正悟が隠そうとしているならそれを明らかにするつもりもなかったので誤魔化すと同時に、明後日に出掛ける旨を伝えた。



「さて、話の流れからすると、俺も話すべきかもしれないが…。俺はお前らと違ってそこまで壮絶な過去は持ってないぜ?」

「無理に話さなくてもいいのよ?私たちには話したくなさそうな感じだったじゃない?」

「話せるところまででいいなら構わないぜ?」

「………好きにすれば?無理に聞き出さない。けど、隠していることはいつか聞き出す。」

「いつかな〜。まぁ、少しだけ話すとするか。」


そう前置きをすると自身のことを少しだけ話してくれた。



「先に言っておくが、お前らと比べれば本当に大したことはないぜ?


まず、俺はいたって普通の家庭に生まれたが、今は親父しかいない。


別に母さんは死んだわけじゃないぜ?


別なところに男を作って親父を捨てていっただけさ。けど、親父も別に女を作ったりもしているから似たもの夫婦にしか俺には見えなかったな。


俺の親父の仕事はちょっと特別な仕事をしていて、俺はその影響を少しずつ受けていたが、それが母さんは嫌だったみたいだ。


親父の真似をするなって何度も怒られたけど、俺は止められなくて母さんは離婚した後に俺を引き取らなかったみたいだ。


俺は俺のやりたいようにやっていたからいいけど、ミスったときにヤバい時もあって多少慎重にはなったかな。


親父もそんな俺を見て、『才能があるかないか知らないが真似をするならもっとうまくやれ』って言って多少その手ほどきを受けた。


といっても仕事上親父が帰ってくることは少なかったから、本当に少しなんだけどな。


このぐらいかな〜、話せることは。」


正悟はそう言って締めくくったが、重要なところはぼかしていたので伝わってきた情報は少なかった。


「本当に話せるところまでなのね。」

「おう!まぁそこは仕方ないと諦めてくれ。」


正悟はこれ以上情報を出すつもりが無いらしく、それからは何を聞いてもはぐらかされた。



「そろそろ飯食わないか?話も一段落したし、腹減っちまったよ。」



正悟がそう言うので俺たちは買ってきたものをそれぞれ取り出して食べ始めた。


食べているものがものなのですぐに食べ終わった。


ゴミは適当にまとめて捨てると、またそれぞれの飲み物を用意してゆっくりとした時間を過ごした。



「これからどうする?帰るの面倒だから泊まってもいいか?」


正悟はそう言いだした。


「俺は構わないが、着替えはどうする?」

「何か適当に貸してくれ。」

「はぁ、わかった。千春もいいか?」

「まぁ、仕方ないわね。いいわ、許可してあげる。舞依もどうかしら?」

「………私もいい…?」

「ええ、もちろん。服は私のを貸すわ。」


舞依も泊まっていくことにしたようだった。


「白崎の服で榊は着れる…」

「何かしら?」

「のか…、いや、何も言ってないぞ。」


正悟は地雷を踏みぬくのが好きなのか、余計な一言を言ってしまい千春が目は笑っていない笑顔で正悟に聞き返していた。


正悟もその圧に負けて何も言い返さなかった。


身長だけを見るならば舞依の方が低いのだが、ある部分では舞依の方があるので下着は貸すことができないだろう。


「それじゃあ俺は風呂の用意をしてくる。」

「あ、ついでにトイレの場所教えてくれ。」


俺がその空間から出ていこうとすると、便乗するかのように正悟がついてきた。


「ありがとう、私たちは部屋に行かせてもらうわ。何かあれば連絡してちょうだい。リビングにいくわ。」

「わかった。」


俺たちはリビングから解散した。


そして、俺は正悟をトイレに案内してから風呂へ、千春と舞依は千春が使っている部屋へと移動した。


「ここがトイレだ。」

「サンキュー!」

「待っててやるから勝手にうろつくなよ?間違って千春の部屋に入ったら大変なことになる。」

「確かにそりゃおっかないね。」


俺は風呂の用意を終えると正悟がトイレを終えるのを待っていた。


「おまたせ〜。」

「おう。」


トイレを終えた正悟を洗面所に連れて行った後に、俺の部屋へと連れて行こうとすると、


「なぁ、ここの扉は何だ?」

「ああ、そこか。行ってみるか?」


正悟は階段の近くにあった扉が気になったようだった。


「頼む。だが、トイレはあっちだしここは何があるんだ?」

「そこはお楽しみということでいいだろう。言ってしまったら面白くないだろう?」

「そりゃあそうかもな。」



俺は正悟を連れて地下への階段につながる部屋の扉を開けた。

この家を借りてから電気が通るようになったおかげで地下に降りる階段のところも明るくできるようになっている。


しかし、俺はなんとなく電気をつけない方が面白くなるだろうと思い、電気のスイッチを見えないように位置取りをして端末のライトをつけて階段を降りようとした。



「あれ、ここの電気は点かないのか?」

「ああ、なぜかそうらしい。」

「そうか。こんなに暗いと雰囲気が出るな…。」

「暗いから足元に気を付けてくれよ。」


俺は先に階段を下りていった。

正悟も自分の端末のライトをつけてついてきた。



「この家にはこんなスペースがあるのか…。」


一番下まで降りると正悟はそう言ってきた。


地下に連れてきたはいいが実際にこの空間については、俺たちは特に利用していない。

物置にと思ったがそもそもそんなに物がないうえに、ここまで降りてくるのも面倒だということで降りてくること自体滅多になかった。


「この部屋は何があるんだ?」


正悟はそう言って手前の部屋に入っていった。

俺はついて行くことはせずに扉を閉めて、外で待ってみた。


地下への階段の電気は点くが、地下室のブレーカーは下ろしたままなので電気が付くことはないので端末のライトをつけなければ部屋は真っ暗だろう。


階段を降り切ったところで電気を消していたことに気づいていたので軽い悪ふざけをしてみたのだ。


扉を閉めてからは、中の声が聞こえず、扉を軽く押さえていたら何度か開けようと試みているのが分かった。


少し揶揄ったのちに押さえるのをやめると、端末に連絡が来た。


正悟:「開かなくなったんだけど。」

蒼雪:「そうなのか?」

正悟:「閉じ込められた、助けて。」

蒼雪:「仕方ない、開けてやる。」


俺は扉を開けると、正悟は端末のライトをつけてこちらをムスッとした顔で見ていた。


「扉、押さえていただろう?全然開かないしこの部屋電気点かないし、真っ暗闇に閉じ込められるの意外と怖いぞ?呼びかけても返事くれないし。」

「呼びかけていたのか?全然聞こえなかったぞ?」

「じゃあ防音になっているんだろうな。」

「この部屋に来ないからそれは気づかなかったな。」


そう言ってからもう一つの部屋へと今度は移動した。


「こっちの部屋には窓があるから外が見えるぞ。」


俺は中に入ってそう言った。

今回も閉じ込められるのではないかと思っていた正悟は俺が入ったのを確認してから室内に来た。


「へぇ〜、窓があるのか。…ここってこうなっているんだな。」


正悟も外の様子を見て興味深そうにしていた。


「案内はしたがこれだけだ。この2つの部屋は特に使い道がなかったからな。」


そう言って俺たちは地下から一階に戻り、一度風呂場の様子を見て問題はなさそうだったので千春に声をかけてから、俺の部屋へと正悟を案内した


ここまでお読みいただきありがとうございました。


また次話もお読みいただけると嬉しいです。


感想・評価・ブックマークもしていただけると嬉しいです。

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