第15話
昼時も過ぎ、フードコートにいた人が少なくなってきたころ、さすがにずっとここにとどまっているのもいかがなものかと思い、俺たちはショッピングモール内を歩くことにした。
しばらくは午前中同様にただ見ているだけだったが、
「こうして歩いているだけじゃ面白くないしゲーセンでも行かないか?」
正悟が提案をしてきたので俺たちはそれに乗っかる形でゲームセンターへと向かった。
一昨日も来ていたので何があるかわかっていたが、来るメンバーと人数が変わればやるゲームも変わってきたりした。
最初こそはリズムゲームを正悟と競ったりもしたが、千春と舞依も俺たちがプレイしているのを見ていると自分たちもやってみると言い出した。
2人とも初心者だと言っていたが彼女らがプレイをしているのを見るのは面白かった。
千春は俺たちが難易度を上げていたものを簡単にクリアしているものだから自分でもできると思って無理をしてやっていた。
そもそも音楽を俺よりも知らなかったためにリズムさえも分からずやっているので、叩くのが反射神経でなんとなくやっている感じがした。
何とかクリアしているものの、一曲目でだいぶ疲れている様子が見受けられた。
舞依は千春と違って難易度は普通でプレイしていたが、リズム感がそこまでなかったのか叩き方もぎこちなくミスを連発していた。
何とか1曲目はクリアしたという感じではあったが、2曲目は2人とも無理だと感じたのか俺たちと変わって再び見る側に回っていた。
そのあとはスーパーホッケーをペアに分かれて何度かやったが、俺と千春、正悟と舞依の組合わせでやったときの勝負は拮抗した。
最初にこの組み合わせでやっていたが、最初こそリードしたものの、後から2人は俺たちが打ってくるのがどこに来るのかわかっているかのように動き、正悟は舞依のサポートに回っていた。
勝ちはしたものの、打っているのが舞依で速度が速くないことに助けられたという感じだった。
千春も善戦していたが、意表を突かれていることが多かった。
俺と正悟の時はあっさりと差が開き、俺と舞依の時は、正悟は頑張って千春に合わせようとしていたが、そもそも息の合わない2人だったので俺たちは苦戦することなく勝った。
その後はレースゲームやクレーンゲームをやったりとこのメンバーでもゲームセンターを楽しんでいた。
「いや〜、久しぶりに思いっきり遊んだぜ。」
「そうね、こういうところは初めてだったけれど、なかなか興味深かったわ。」
「………疲れた。」
「思いのほか楽しんでいたな。」
「そうだ!このメンバーでプリクラ撮らねーか?記念ってことで。」
「プリクラ?それは何かしら?」
「白崎は知らないのか。」
正悟は簡潔にだが、千春にどういったものか説明した。
舞依は知っていたので正悟が説明しているのを聞かずにぼ〜っとしていた。
「なるほど。早乙女君が一緒というのは甚だ遺憾なことではあるけれども、記念にということなら仕方ないわね。」
「おい、俺がいるのはそんなに嫌なのかよ。」
「あら、冗談よ。それぐらいなら構わないわ。」
「へいへい、撮ってもらえるならいいよ。」
「舞依はいいのか?」
「………うん。」」
「そうか。それなら、移動するか。」
正悟と千春は何か言い争っていそうな状態であったが無視してそう声をかけた。
俺が声をかけると舞依に続いて2人もついてきた。
「これがプリクラというものね…。こんな狭いところに4人で入るのね…。変なところは触らないように先に言っておくわ。」
「触らねぇから安心しろ、冤罪でも捕まりたくはないからな。」
「そう、ならいいわ。」
プリクラの筐体の前でも2人は多少言い合いがあったが、今回は長引かずに千春が先に中に入っていった。
その後に舞依が入り、俺、正悟と続いて中に入った。
撮影の準備はすべて正悟にやってもらった。
指示通りにやればいいと分かっていてもやったことがなかったので任せたのだ。
「それじゃあ、適当に枠に収まるように並んでくれ。」
正悟は一通りの操作を終えると俺たちにそう言ってきた。
並びは前後2列で前に千春と舞依、後ろに俺、正悟の順で並んだ。
撮影に関しては、正悟はピースを作ったり俺と肩を組んできたりしたが、他は特にポーズをとることもなく撮った。
「何かしらのポーズくらいしてもよくないか?」
「必要性を感じなかったからな。」
「私も。」
「………同じく?」
「はぁ…。そろいもそろってこんな奴らだったか。まぁ記念になるからいいけどよ。」
一通り取り終わると自分の分のフレームを選んだり、各自で落書きを入れたりした。
といっても、俺はそれを見ているだけで3人に任せていた。
最初は、正悟がやっていたが、千春と舞依が正悟に任せるのは嫌だということで2人も参加したというわけだ。
それぞれの分がプリントアウトされると、自分の分を受け取り荷物の中にいれた。
「それじゃあこの後はどうするか?夕飯どこかで食っていくか?まだ早いとは思うけど。」
「そうね…。」
「1つ提案良いか?」
「おう、どうした?」
「俺たちの家に来ないか?」
「うん?いきなりだな。理由を聞いてもいいか?」
「ああ。これは千春と昨日話していたんだが、ここで早い時間に解散しそうになったときは夕飯を誘ってみないかってな。ここで話すようなことじゃないが、さっきも少しだけ俺の過去を話したが、それを含めて腹を割って話したいこともあるからな。」
「なるほど。」
「………。」
「舞依は、その、嫌、かしら?」
「………私からは話すことはないよ…?」
「それでもかまわないわ。」
「無理に話す必要はない。ただ、舞依に関しては俺たちと必要以上に関わらないようにしている理由を知りたいと思ってな。」
「………。」
「俺はまだ話せることは少ないけど、少しくらいなら構わないぜ。けど、それは蒼にだけでいいか?俺を信用しているかわからない2人に話せないからな。」
「構わないわ。1つ言うならある程度は信用しているけれど、あなたには胡散臭さがあるの。それのせいで私たちは十分に信頼できていないのよ。」
「う〜む、まだまだだねぇ〜、俺も。胡散臭いか…。」
「誰からも否定的な意見が出てこないならこのまま向かおうか。」
「夕飯はどうするんだ?これから作るのか?それなら買っていった方が話す時間も増えると思うぜ?」
「どうなるかわかっていなかったから作ってあるわけではないわ。ここは買って帰りましょう。」
俺たちはショッピングモールで適当に夕飯に食べられそうなものを買って帰ることにした。
探してみると、近くにハンバーガーショップがあったので俺たちはそこで適当に購入をした。
その間は買うものについては話したりしたが、盛り上がるということはなかった。
俺たちの家に向かうバスの車内でも特に俺たちの中に会話はなかった。
さすがに先程のような空気になってしまった手前話しにくいということもあるのだろう。
正悟もいつもの様子ではなく、時折見せていた真面目モードのままでいた。
千春はどこか緊張した面持ちでいて、舞依は何を考えているのかわからないが心ここにあらずという様子が見受けられた。
しばらくしてバスは到着した。
俺たちは歩いて家に向かった。
「ここだ、今鍵を開ける。」
俺はそう言うとか鍵を取り出して開けて、中に入った。
「中に入っていいぞ。」
俺がそう声をかけると、
「おう、おじゃまします。」
「…おじゃまします。」
2人は千春に続いて中に入ってきた。
2人は外からはいろんな家を見たことはあってもそれぞれの家の中の様子がどうなっているのか知らなかったので、あちこち確認するように見ていた。
「リビングはこっちよ。」
俺は先にリビングに入って飲み物の用意を始めていたので、千春が案内をした。
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