第9話
ゲームセンターは休日と言うこともあって、そこそこの人がいた。
ここでもポイントが使えるようで、わざわざメダルに交換するという必要がなかった。
もちろんいくつかのゲームはメダルが必須なものもあった。
「どれやろうか?」
「そうだな…、あれはどうだ?」
俺が指したのはよくある太鼓を叩くゲームだった。
「あれならわたしもやったことあるよ。」
「じゃあやるか。」
俺たちはそのリズムゲームからプレイをしていくことにした。
その後は、レースゲームをやったり、シューティングゲームをやったりと、いろいろと遊んで久しぶりに楽しく過ごせた。
次に何をやるかと2人で店内を歩いていると、
「あっ。」
「ん、どうした?何かやりたいものあったか?」
「ん〜、やりたいというか、取りたいというか…。」
「取りたい?ああ、あれか。」
黒宮が立ち止まって興味を持ったのはクレーンゲームだった。
景品は大きなカピバラのクッションで抱き心地がよさそうなものだった。
「それならやってみるか。」
「え!いいよ、クレーンゲームは難しいでしょ?」
「ふむ、まぁ見てろ。そこまで時間はかからないと思う。」
俺は500ポイント支払い6回プレイをすることにした。
1回目はアームの強さを見るために軽く持ち上げて移動させる感じに動かした。
「あ、おしい!」
うまく掴んだが、持ち上げたところで落としてしまった。
「なるほど、これなら…。」
俺はそう呟くと、2回目、3回目、4回目と徐々に落とすところへとうまく動かして、5回目には落ちるところの手前まで乗り上げさせることができた。
6回目にはアームの押す力だけで落とすことができたので、景品を取ることができた。
「取れたぞ、ほら。」
俺はそう言って取ったカピバラのクッションを黒宮へと渡した。
「わあ〜、ありがとう!」
そう言って黒宮は嬉しそうにカピバラのクッションを抱いていた。
景品を取ったので袋をもらい中にしまうと、
「新庄君、ありがとう、大切にするね。」
「どういたしまして。」
再び黒宮が俺に感謝を告げてきた。
「大体見るところは見て回ったが、どうする?」
「あ、それだったら、最後にやりたいことあるけどいいかな?」
「うん。ベタと言えばベタだけどやりたいなって。」
黒宮は恥ずかしそうに俺の手を握って移動をした。
「なるほど、そういうことか。」
「うん、やっぱりデートでゲームセンターと言えばこれだよね。」
俺が黒宮に手を引かれてきた場所はプリクラだった。
「ダメかな?」
「…まぁいいだろう。」
俺たちはプリクラの筐体の中に入っていった。
中に入ると持っているものを籠に入れ、黒宮がポイントを支払っていた。
「ドキドキするね。」
「そうか。」
「新庄君は緊張していないの?」
「緊張はしていないが写真はどういう表情を作ればいいかわからなくて苦手だ。」
「ははは。普通にしていればいいんだよ。それに写真を撮る時に色々言ってくるからその通りにしてみたら?」
「…そうさせてもらおう。」
黒宮が色々と操作しているのを眺めていると撮影が始まった。
〇〇のポーズだとか、笑ってとか言われたが恥ずかしくてやらなかったりもしたのがあった。
緊張はしなかったが精神的に疲れてしまった。
一通り撮影が終わると、筐体の外に出てフレームや落書きをすることになったが、全て任せた。
少しは書いたらどうか言われたが、よくわからないので遠慮をしたのだが、結局は押し切られて自分の名前を書かされた。
それでも、これはこれで悪くはないと思った。
「はい、これ新庄君の分。」
「ありがとう。」
俺は自分の分を受け取った。
プリクラを見ると、最初の数枚は自分の笑いがぎこちなかったりしたが、黒宮がぐいぐいと来るから後半のものはいくつか笑っているものもあった。
「ふふふ。久しぶりこんなに遊べたし、楽しかった。ありがとう。」
「いや、こちらも有意義な時間を過ごせた、感謝する。」
「どういたしまして。それと、1つだけお願い事言っていい?」
「何だ?」
「私のことも白崎さんみたいに名前で呼んでほしいなって。」
「名前で?」
「うん、これだけ一緒にいたんだし、相談事も聞いてくれた。これからも頼るかもしれないのにずっと苗字で他人行儀だとなんか寂しいなって。」
「そうか、わかった。瑞希、改めてよろしくな。」
「うん!蒼雪君もよろしく!それと、蒼雪君も私に頼っていいんだからね?さっきのこともあるし、私じゃなくても白崎さんがいるかもしれないけど、何か困ったことがあったら言ってね?」
「善処しよう。」
俺たちはそんなことを話しながら、ゲームセンターをあとにした。
ゲームセンターを出てからはそのままバス停を目指すことにした。
千春にこれからバスで帰ると連絡し、夕飯はまだ食べてないことを伝えたが、どうやら千春も外出をしていて夕飯を外で食べて来るらしい。
俺はその連絡を受けて、時間を見てどうするか考えた。
「どうしたの?端末をずっと見ているけど。」
「ん?あ、ああ。どうやら千春も外出をしていて夕飯をどうするか考えていてな。」
「ん〜、それならどっかで食べてくる?」
「この時間だしそうするか。」
時刻は18:30でこれから帰ると19:00を過ぎることは確実で、これから買い物をして作り始めるくらいならば外で食べてきた方がいいと考えたのだ。
俺はその旨を千春にも連絡したが「わかった」と返事はそれだけだった。
俺たちはバス停へと向かっていたが、夕飯を食べるためのお店を探すために再びショッピングモール内を歩いた。
時間もちょうどいい頃合いなだけに飲食店へ入っている人は多かった。
「何か食べたいものはあるか?」
「う〜ん、特に希望はない、かな?」
「そうか。さて、どうするかな。」
俺たちは互いに食べたいというものがなかったため、どのお店に入るか悩んでいた。
歩き回っていると、案内板がありそこで再びどこかいいところがないか探すことにした。
「ここはどうかな?」
瑞希が示したのはフードコートだった。
「なるほど、ここなら何かあるかもしれないな。」
俺たちはショッピングモールのほぼ中央に位置するところにあるフードコートへ向かった。
フードコートは食事の人だけでなく一休みをしている人もいたが、うまく人が飲食店に分散してくれていたのか席は空いていた。
「それじゃあ先に選んでくるね。」
席を確保してからどちらから注文してくるか話したが、お互いに譲り合ってしまったのでじゃんけんで買った方が先に注文をしに行くことにしたのだ。
そして俺はグーで瑞希はパーだったので、彼女から注文をしに行った。
数分待っていると、
「注文してきたから、行ってきて大丈夫だよ〜。」
そう言いながら片手にタイマーを持って瑞希が戻ってきた。
「わかった。ここから何がいいか探していたからすぐに戻る。」
俺はそう言い残して目当ての店に向かった。
「早かったね。」
「まぁな。それにすぐそこの店だったからな。」
俺が行ったのはラーメン屋だった。
席が近いということと、昼はナポリタンだったがまた麺類を食べたいと考えたので何かないか探して目についたのがそこだったといわけだった。
ピピピピッ
「あ、私のできたみたいだから取ってくるね。」
そう言って瑞希は受け取りに行った。
待っている間に俺のもできてしまったので、タイミングが悪いと思いながらも席もそこまで離れていないし問題ないだろうと判断して俺も注文を受け取りに行った。
一応念のため、席の方を何度も振り返ったりして警戒もしていたが、俺が受け取っている間に瑞希が戻ってきていた。
「そっちもちょうどできちゃったんだね。」
「ああ。間の悪いことにな。さすがに麺類だから放置できなくて受け取りに行ってしまった。」
「大丈夫だよ、私の方からも荷物は見えていたしね。」
「俺も移動しながら見ていたよ。」
「そっか、じゃあ食べよっか。いただきます。」
「いただきます。」
俺たちは互いにそれぞれ注文したものを食べた。
俺は醤油ラーメンとシンプルなものを頼み、瑞希はカレーうどんを食べていた。
互いに麺類だったので話すこともなく、割とすぐに食べ終わった。
「お昼に比べるとやっぱり微妙に思えちゃった。」
「さすがにあそこと比べるのは失礼だろう。」
「そうだね。けど、やっぱりあそこのメニューはおいしかったから、満足感が違うよ〜。」
「それなら今度あそこにもう一度行くのがいいだろうな。」
「じゃあ今度も一緒に行こ?」
「時間が合えばな。この先の中間試験がどういうものかわかれば対策もできるから、それ次第でもある。」
「そうだね…。中間試験か〜、普通に試験やるだけじゃないんだろうね。」
「そうだろうという予測しかできないな。」
俺たちは食べ終えてからこの先に待ち受ける中間試験について話し合ったが、今は確認テストが何らかの形で関わっているということしか情報もなくわからなかった。
先輩たちからも話を聞けるかと思ったが、聞いてみたところ、情報は与えて良いことと悪いことがあり、話したことがバレると評価が下がるということで聞くことができなかった。
しばらく中間試験についてのことを話していたが、結論としてもう少し情報が出てから考えようと締めくくり、それからは互いの学園生活について話していた。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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