第44話
次にエピローグをいれて、第一章が終わる予定です
俺たちは学務課の中に案内されそこで書類を受け取り、必要事項を記入した。
俺たちが書いている間は質問があったときに答えられるように担当の人が待っていてくれた。
「この住居の欄ですが、どうすればいいでしょうか?」
俺たちは一通り記入を終えてから、住居の欄についてどうすればいいのか質問した。
一応候補地は決めているものの、内覧もせずに決める度胸もないのでどうすればいいのか困ったのだ。
「それでしたら、申請後でも構いませんが、もしお決まりになっているのでしたらご記入をお願いします。それぞれの建物にはアルファベットと数字がランダムに与えられておりますのでそちらをご記入ください。まだ、建物は決めていないのか、決めているが番号がわからないのか、どちらでしょうか?」
「どちらかと言えば前者ですね。候補地は決めていますが内覧もしていないので決めかねている状態です。」
「その候補地はどちらでしょうか?学務課にお知らせいただければスペアキーを用意して内覧もできますが。」
俺たちはどうするか軽く相談した。
そして、一応中を見せてもらってから本当にそこでいいか決めることにした。
その旨を伝えると、
「わかりました。それでは、後程で構いませんので内覧を希望する旨を電話でお知らせください。鍵を用意してお待ちしますので。建物がわかっていれば鍵をお渡しできるのですが、わかっていない状態ではお渡ししかねますので申し訳ございません。」
「いえ、お手数おかけしてこちらこそすいません。」
「いえいえ、そういう学生さんも多いので大丈夫です。申請から家の引き渡しまでは3日ほどかかりますので、お早めの申請をお願いします。また、相棒になられてから3日以内に建物を申請していただかないと住居がない状態となってしまうのでご注意ください。」
「わかりました。」
「では、こちらの用紙はお預かりしますので住居に関しましては決まり次第お知らせください。」
「はい。ありがとうございました。」
俺たちは礼を言って、学務課から出ていった。
「それじゃあ、あの家を見に行くか。」
「そうね。ここからは少し距離もあるし急ぎましょうか。」
俺たちは学園から出て再び居住区へと向かった。
俺たちが候補として選んでいた建物は、学園と商業区の間ではあるが、居住区の中心ではなく外側に位置する建物だった。
方角で言うなら島の南東に位置するところだった。
そこまで交通の便もよくないが、多少歩くくらいは許容できるというところだった。
ポイントに余裕があれば自転車を購入してしまえば時間もかからないだろうという感じだ。
俺たちは歩いていると目当ての建物に着いた。
この建物を候補に入れた理由には周辺環境の静かさがある。
家の前は道路だが、ちょうど外側にあたるところに位置しているため、少し高台になっていることもあり、海がよく見えるのだ。
そして、周辺の建物の距離は離れている。
しかも、その建物もまだ誰も住んでいないということもあり本当に静かなのだ。
交通の便が良くないというデメリットから人の足が遠のいていて、あまりこの辺りの建物は高くない。
そう言ったバランスから考えて俺たちはこの家を選んだのだ。
「番号は、Pの34だな。」
「この番号に何か規則性はあるのかしら?」
「さぁな。他の建物は見てこなかったうえに、先ほどランダムと言っていたからそこまで規則性はないんじゃないか?記入をして学務課と確認をするときに近くに似た番号があっても間違ったまま購入しないようにするためには適当がいいだろう。」
「…そういうことにしておくわ。」
俺たちは番号を確認したので学務課に連絡をし、鍵を受け取りに再び学園に戻った。
何度も往復することになり、千春に悪いと思い、待っていてもいいと言ったが俺と離れるつもりが無いようで一緒に行くと言ってきかなかった。
学園で鍵を受け取ると、さすがに今度も歩いていくのでは時間がもったいないと思い学園の側でレンタル自転車を借りた。
自転車で行けば歩いているときよりも時間もかからず着いた。
家の駐輪できるスペースに自転車を停めて俺たちは家の鍵を開けて中に入っていった。
家は外から見た通り二階建てであった。
一階には風呂やリビング、キッチンがあり、思ったよりも広かった。
そして、何よりも驚かされたのは、この家には地下室があったのだ。
二階に上がろうとしたときに、たまたま階段の横に扉があることに気が付き、何となく開けてみると下に降りる階段があったのだ。
「千春、こっちに来れるか?」
俺は一度扉を閉めてからキッチン周りを見ていた千春を呼んだ。
後で自分で見てもらうのがいいかもしれないが、地下室がどうなっているか不明である以上保険をかけておきたかった。
「何かしら?」
「すまないな。だが、ここを見てくれ。」
俺が再び扉を開けると千春も驚いた様子だった。
「まさか、地下室があるなんて…。もう様子は見てきたのかしら?」
「さすがにどうなっているか予測できていなくてな。念のため呼んだわけだ。」
「そういうことね。でも、賢明な判断よ。もし何かあったとしてもここの存在に気づかなければどうにもできなかったもの。」
「どうする?先に確認してくるか?」
「…そうね。ここの存在を知った以上気になってしまうわ。」
「なら、俺が先に見てこよう。学生に貸し出す家だから危険があるとは思わないが一応な。降りてしばらくしてこなければ連絡を入れるか、だれか呼んできてくれ。」
「わかったわ。気を付けて。」
俺は端末のライトをつけて慎重に階段を下りて行った。
階段の近くに照明のスイッチがあったが、まだ正式に借りたわけではないので電気が通っていないのだ。
(思ったよりもこの階段は下に続いているな…。)
下に着くと、扉が二つあり、手前から確認してみたが特に何かあるわけではなく空き部屋となっていた。
続いて、奥の扉を開けてみたが、こちらの部屋は窓があり外の様子が見えた。
(なるほど、高台になっていたが、この空間はそのあたりにあたるのか。それにしても外の明かりが入る設計になっているなんて外からも気づけないよな。)
俺は危険がないことも判断できたので一階に戻り千春にその旨を告げた。
千春も自分の目で確認をしてくるということで階段を下りて確認に行った。
その間に自分がどこかに行ってしまうのは悪いと思いその付近で戻ってくるのを待った。
少しすると千春も確認できたのか戻ってきた。
「あなたの言った通り部屋が二つあるだけだったようね。」
「言ったとおりだったろ?窓は確認してきたか?」
「ええ。あそこにあっても外からは分からないと思ったわ。この家を建てた人の意図は分からなかったけれどね。」
「さすがにそこまでは俺もわからないな。だが、秘密の部屋として何かを隠しておいたり、倉庫として使ったりと用途は多いだろう。」
「そうね。」
俺たちは地下室の確認を終えると、1階と2階を再び見ていった。
2階には3部屋ほどあったのでそれぞれが生活をしていても1つ余る計算でもあったので問題もないだろう。
それからしばらくして、お互いに気になるところを見終わったので1階のリビングで合流した。
「どうだった?俺はこの家でいいと思うが。」
「私もこの家がいいと思うわ。地下室をどうするかはまだ考えているけれどね。」
千春は苦笑しながらそう言った。
俺たちはこの家を見た結果この家がいいと決まったので早速学園に申請をしに行くことにした。
電話でもいいんじゃないかと思ったが、自転車も有りどうせ返すことになるならということで、学園まで戻ることにした。
二人で自転車をこいでいると、学園に近づくにつれて生徒をちらほらと見かけるようになった。
夕方ということもあって、帰宅している人が多かった。
学園に着き、自転車をレンタルスペースに返すと再び学務課に向かった。
「すみません。」
俺が学務課に行き、声をかけると同じ人がまた出てきてくれた。
「はい、あっ、こんにちは。家はどうでしたか?」
「はい。見てきたところあの家を私たちは気に入りました。」
「そうですか。では、住居はあちらに?」
「はい、そうします。」
「わかりました。では、書類に記入しておきますね。」
「ありがとうございます。」
学務課の人は俺たちの申請書に住居を記入してくれて、印鑑を押したりと残りの手続きを終えてくれた。
「はい、これで申請を受理しました。念のため用紙は確認しておきますか?」
「はい、お願いします。」
俺たちは申請書のコピーを受け取り確認をした。
お互いに確認しながら読み進めて、不備がないことを確認できたのでその旨を告げた。
「わかりました。それでは遅くても3日ほどかかりますが、住居はそちらになりますのでこちらの手配が済み次第お二人に連絡をします。コピーはお二人が控えとして預かっておいてくさい。」
「わかりました。何から何までお世話になり、ありがとうございました。」
「いえ、お二人の生活が良いものになるように応援していますね。では、失礼します。」
学務課の人はそう言って書類を持って下がっていった。
時間も19時近いこともあって時刻が遅く、この時間に新しい仕事を増やしてしまったことに申し訳なくも思った。
「何をしているの?帰りましょう。」
千春に促されて俺たちはそれぞれの寮に向かって帰宅することにした。
帰りは校門を出てすぐに分かれることになったが、お互いに歩き回って疲れていたことと、翌日にはもう学園が始めるということで長々と話すことはせずにすぐに解散した。
帰り道中に夕飯用弁当と、翌朝のパンを適当に買って俺は帰った。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また、次話もお読みいただけると嬉しいです(*´ω`*)




