第41話
「それで、今日の買い物は俺たちもいたのに二人でデートしていたのか?」
正悟は今日の買い物のとき二人で行動していたと思っているのでそう聞いてきた。
「デートと言われると定義がわからないので何とも言えないが、二人で回っていたことは認めよう。」
「答えを保留にした割にはデートしてるんだな。」
「まぁまぁ、蒼もただ買い物しただけって思ってるんだしいいんじゃない?それとも正悟はそれも認められないの?」
詩音は蒼雪のフォローをしつつ、正悟が頑なにデートをしていると言い張ることについて言及した。
「ん〜、そういうわけじゃないけど…。」
正悟は詩音にそう言われると黙り込んだ。
「まぁ、詩音もそれくらいにしてやれ。正悟も買い物中に友人がデートしていたのがうらやましかっただけだろ?」
響真は二人を宥めて、場の空気を取り持とうとした。
「蒼、正悟は言って欲しかったのかもしれないぞ?」
秀人が不意にそう言ってきた。
「言って欲しかった?」
「ああ。こいつはお前の世話になっていることも多い。先に女ができたことに対して思うところがあるかもしれないが、こいつもそこまで狭量ではないはずだ。蒼のことを思って言ってくれれば二人で行かせようとか考えるんではないかと思ったんだ。」
秀人の発言を聞き正悟に尋ねると、
「まぁ、昨日の様子を見て白崎が蒼にそういう感情を持っているのは分かったし、揶揄っていることはあったが言ってくれれば確かにそう言うことはしたぜ。」
正悟は照れ臭そうにそう言った。確かにニヤニヤしてこちらを見たり揶揄ってきたりしてきたが、俺たちに対して特にそれ以上関与してこようとはしてこなかった。
「そうか、すまなかった。これからは善処しよう。」
俺はそれだけ言った。
「いや、俺が何も言わなかったんだし気付けっていうのは難しいよ。悪かったな、こんな態度取っちまって。」
正悟もそう言って、謝罪してきた。
俺はこの際だから白崎との間にあったことで伝えてもいいことについては話しておこうと思った。
「この際だから言っておくが、おそらく俺はこの部屋には長くいないだろう。」
「ん?どういうこと?引っ越すの?」
一は急に俺が何を言い出したのだろうかとそう聞いてきた。
「そういうことか。」
秀人は一と違って今までの会話の流れで理解したようだった。
「秀人は今の俺の発言だけで分かったようだが、今はポイントの都合で保留にしているが今回の試験結果次第では白崎と相棒申請をすることになっている。」
秀人以外は「何だって!」と驚いた様子でいた。
だがすぐに、俺たちがどういう関係でいるということを思い出し、「まぁそうか」というリアクションに変わった。
「ポイントの都合と言うのは生活費とかか?」
「そうだ。毎月いくら入ってくるかによっては生活のレベルが変わるからな。初期投資で既にそこそこ使っている。二人で生活をすることになったときにポイントがないというのでは不便だからな。BPも最初はゼロから始まるだろうからな。来月以降のポイントがわかり次第どうするか話し合うことになっている。」
「ということは早くても明日には申請をするということか。」
「評価がそれまでに終わっていればの話だな。ポイント如何によっては先送りにする可能性もある。スタンプについて経問題なく集まったがそのほかの判断基準がわからないからな。」
俺がそう言うと、さすがにこれについては他の人もどうなるかは判断できないということで黙り込んでしまった。
「まぁ、どうするかは今回の評価が出てからということだ。それまではここで生活をする。」
「でも、白崎さんは蒼のことを好きなら早く一緒に生活したいんだろうね。聞いている限りだとかなり積極的みたいだし。」
「詩音の言う通りだな。昨日は手も繋いでいたよな。」
「手を繋ぐぐらいならいいだろう、あんなことがあった後だ。少しは安心させてやろうと思うのが普通だろう?」
正悟はからかうつもりであったが、俺の切り返しによって、何も言い返せないでいた。さすがに不謹慎なことを言ったと思ったようだった。
「そんなことよりもお前らはどうなんだ?誰かと相棒を組むということは考えているのか?」
俺の問いかけにすぐに反応したのは一だった。
「僕としてはやっぱり組みたいな。女子と一緒に生活するなんて緊張するけど、僕は料理が好きだから、女の子の手料理を食べたい!もちろん一緒に作ったりできたらいいよね。」
「俺はどっちでもいいな。いてもいいかもしれねぇけど、俺はこんな感じだからあまり考えてないな。それに詩音の面倒も見てやらねぇと。」
響真は詩音を見ながらそう言った。
「もぅ!僕だって一人で生活ぐらいできるよ!」
「料理がダメ、朝も俺が起こして、洗濯物も俺がやってアイロンも俺がかけてやっただろ?お前は何ができるんだ?」
「そ、それは…。」
詩音は口ごもり、何も言い返せず色々と響真にやってもらっていることをばらされて顔を赤くしていた。
「ううぅ…。」
詩音は恥ずかしさでうなっていた。そして、正悟が追い打ちをかけるように、
「てか、響真が詩音の母ちゃんみたいと言うか相棒になってるんじゃないか?」
「その表現は的を射ているな。響真に言われて恥ずかしいと思うならできることを増やすことだ。」
「うん…。少しずつ頑張ってみる。」
秀人にまでそう言われ閉まったので詩音は恥ずかしそうに頑張ると言っていた。
「それで、秀人はどうなんだ?」
「俺か?ふむ…。相棒については今の段階では組みたいとは思っていない。自分の生活領域に踏み込んでもいいという女子はいないからだ。今回の試験でもまだ会話もしていないから判断もできない。」
「ということはスタンプを集めきっていないのか?」
正悟が秀人に対して意外そうにそう尋ねた。
「ずっと一人で挑んでいたからな、自分のクラスの女子が誰かさえもわからなくて諦めた。」
秀人はスタンプを集めきれなかったことを残念そうにそう言った。
「そこは運が悪かったというか、自分で事前に対策ができていなかったが故のことだな。今後はクラス内で知り合いを作っておいた方がいいだろう。試験では男女で組むことが強制もされるからな。」
俺がそう言うと、
「俺も相手がいるわけじゃないから何とも言えないけど、ランダムにされるくらいならせめて知り合いの方がいいな。その方が勝手もまだわかるし。」
正悟は女子と組むことはいいが知り合いがいいと思っているようだった。
「それなら早めに相手を見つけて相棒を組んだ方がいい。今後どうなるかわからないがポイントを考慮しても組んでいた方が試験後のメリットが多い。組んでいないとBPも増えないからな。」
正悟に対して言ったつもりだったが、やはり生活をしていくうえでのポイントについて触れると全員がそれについて考えた。ポイントがなければ何もできなくなってしまう、言い換えると、ポイントがあれば何でもできると言えるからだ。そして、BPは貴重で、その分価値も高い。得られる機会も多くないことから早めに貯められるようにした方がいいんじゃないかと考えるわけだ。
「蒼の言っていることを聞くと、次の試験までに相棒がいた方がよく思えるぜ。ただ知り合う機会も相手を知る機会もまだないからな、今後次第だ。」
「う〜ん、僕も女の子と話していないからまだわからないけど、やっぱり組んだ方がいいのかもね。」
響真も詩音もそう言い、他の人たちも俺の意見にはおおむね同意のようだった。ただ、組む相手がいないということが問題となっている状態だった。
このあとも相棒について話し合ったが、22時を過ぎたころに響真がそろそろ解散して早く寝ろというので俺たちは、この日の集まりを解散し、今後も何かこういった学園の制度について考え話し合っていこうと約束をしてそれぞれの部屋へ戻っていった。
部屋に関してはみんなが片付けていってくれたおかげで特に散らかっているわけではなかったので大して何かすることもなかった。ただ、あれだけ話し込んでいたから急に一人で静かな部屋にいると寂しさを感じた。その後、俺は風呂に入ってから寝ることにした。この日は特に連絡が来ることもなく翌朝まで眠り続けた。
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