第36話
あれから数時間ほど寝ていたら、七時頃に起こされた。起こしてくれたのは響真だった。
彼曰く、休みだからと言って遅く起床するのは生活リズムを崩すことになるとのことだった。彼は根っからのオカン気質なのかもしれない。
朝ごはんはみんなで話し合ったがコンビニに行って簡単なものを買って食べることにした。部屋から出るので布団や荷物を整理してから鍵を閉めて出ていった。
近くのコンビニでおにぎりやサンドイッチをそれぞれ買って近くのベンチで話しながら食べていた。その後はみんなで雑談に興じていると八時になり、一斉に端末に連絡が来た。
『部屋の手配ができました。貴方の部屋は1413です。鍵は学生寮の寮長から受け取ってください。』
とのことだった。
「みんな部屋どこだった?俺は1414だったぜ。」
正悟が受信したメッセージから部屋がどこになったのか聞いてきた。ここにいる全員が同時に受信して確認していたから同一の内容だったのだろう。
「1413」
「1408」
「僕は14110だったよ!」
「俺は1411だ。」
「僕は1405だったよ。」
順に、俺、秀人、詩音、響真、一が答えた。どうやら3組の人たちは全員が4階のようだった。
「全員同じ階層か。意図的だろうな。」
秀人も同じ考察をしていた。
「部屋の番号はどういう順番なんだろうね?」
詩音がそう聞いてきたので推測として、
「おそらくだが申請した順番じゃないか?合宿所にいた時の人数から考えると俺が男子で13人目というのは妥当な数字だと考えられる。」
「なるほど~。じゃあ僕と響真が10番目と11番目ってことだね。部屋に入った順番から考えてもそうかもしれないね。」
「じゃあ僕が5番目なのはあのグループにいたからだね。みんなで行動していたから置いて行かれないように聞きながら書いていたんだ。だから話が終わったらすぐ出しにいったんだ。」
一がそう言っていたので、思い出してみると、確かに三組の集団は終わったらすぐに移動していたなって思いだせた。思い出したところで何かあるわけではないが、俺たちは行動に移すまでに他より時間がかかっていたんだなと思った。
「どうする?もう荷物を回収して学生寮に行くか?」
正悟がそう提案したので、
「そうだな、一度部屋に荷物を置いておきたいな。」
「う~ん、僕はどっちでもいいかな?あっ、でも部屋に必要なものは買いに行きたいかな。一人暮らしだし料理に時間をかけたいからね。高校を卒業して専門学校に行く前に色々と身に着けたいし。」
一がそう言ったのだが響真は、
「ん、それなら何で高校から行かなかったんだ?確か高校からそっち方面の学校ぐらいあっただろ?」
と一の発言に疑問を持ったみたいだった。
「ああ~…。」
とそう言うとバツが悪そうにして、
「僕もそうしたかったんだけど母さんが許可してくれなかったんだよ。うちは母子家庭で生活もそんなに良かったわけじゃなくて僕にはちゃんとした学校に行ってほしいって言われて。だから仕方なくこの学園を選んだんだよ。」
「悪いこと聞いたな。」
響真は軽々しく聞いてよかったことじゃないと思い謝罪していた。
「ううん、大丈夫だよ。とりあえず部屋に行かない?みんなも部屋に行くなら買うものもあるんじゃないかな?」
一は気にしてないと言い、これ以上この話をすると響真にも申し訳なく思い、話題を変えた。
「そうだね。何があるか確認したいかも!そして足りないものがあったら買いに行きたいな。みんなで買いに行かない?」
詩音はそう提案したが、
「悪い、先約がある。いや、正しくはあるかもしれないってところかな。昨日一緒に行動していた人たちと共同するかは明日、つまり今日決めることにしているんだ。」
俺がそう言うと、正悟は「あっ、やべ。連絡してなかった。」と小声で言っていたが聞かなかったことにした。
「そっか~、それなら仕方ないね。じゃあまず合宿所に行こうよ。」
と詩音に促されて俺たちはコンビニ近くから合宿所へ戻ることにした。道中で正悟が俺たちのグループでどうするか聞いていたところ、朝起きてから千春も提出していたが、すぐに申請が通っていたので、全員がひとまず寮で生活することになっていた。まだ個人評価の結果は出ていないので千春との相棒申請の話も保留だった。俺は特に必要もないと思い会話に参加はしていなかったが、正悟が部屋に必要になりそうなものを買いに行くが一緒に行くか聞いていた。舞依は行くと言い、千春は俺が行くならば行く、と言っていたので正悟が、答えてやれというので俺も行くと送ると、彼女も行くことにしたようだった。時刻はひとまずそれぞれが部屋に行って荷物の整理を終えてから決めることになった。
俺たちが男子合宿所の近く着くと、既にほとんどの生徒は荷物をまとめて移動を開始しているようだった。入口は荷物を持った生徒が何人か集まっていたりして少し混んでいた。
「みんな行動早くないか?それとも俺たちが遅いのか?」
今の時刻は九時頃で連絡を受け取ってから一時間が経過したってところだった。
「いや、俺たちが遅いというわけではないはずだ。単に多くの生徒はこの合宿所にいただけだということだろう。」
秀人はそう推測を立てたようだった。
「その考えには一理あるな。まぁ混み合う中を移動することになるよりはましじゃねぇか?荷物もそれなりにあるし、ゆっくりいこーぜ。」
響真はそう言って合宿所の中に入っていこうとするので、慌てて詩音はついていった。俺たちも響真が無理矢理通って行った道を追いかけて中に入った。
起きてから荷物の整理は終えていたので部屋はすぐに出ることができそうだったが、入り口が混んでいたのでこの混み具合が解消されるのを俺たちは待った。その間に他の部屋を確認したが、既にほかの三組の人たちは移動をしていたようだった。三十分ほど雑談をしてから正悟が下の様子を確認してくれたが、もう混んでいないようだったので荷物を持って俺たちも移動を始めた。
男子学生寮に着くまではゆっくりと話しながら移動をした。急いだところでこの人数が一斉に向かったのだから学生寮も混んでいるという予想をしていたからだ。時間をかけて移動をしたせいもあって着いたのは十一時近かった。さすがにこの時間にまでなるともうほとんどの生徒は移動を終えていたので入口にも人がいなかった。
「ゆっくりきすぎたか?」
「いいんじゃない?そのおかげで僕たちはスムーズにいくんだからさ。」
「詩音がそう言うならいいか。お前らも大丈夫だったか?」
響真がそう聞いてきたので全員大丈夫だと答えた。
「じゃあいこーぜ。」
正悟を先頭に俺たちは学生寮に入った。
「また、来たか。これだけ来ると管理人の仕事と言っても面倒だよ。」
「苦労かけてすみません。」
「はぁ、まあ君たちで終わりだろう。部屋はどこかね?」
と吉良さんに聞かれたのでそれぞれが部屋を伝えた。すると彼は、分かったと言って鍵を持ってきた。
「これが君たちの鍵…、ああ、なんだ君たちか。」
どうやら俺たちの顔を覚えていてくれたようだが、今初めて顔を合わせたので俺たちだと気づいてくれたようだった。
「今朝はありがとうございました。」
と俺が伝えると、
「いやいや、あれが私の役割だからね。ちなみにあの女の子以外に入ってこようとする女子はいなかったぞ。」
と笑いながら彼は教えてくれた。俺は乾いた笑いで返すしかできなかったが、
「ハハハ…。まぁ、彼女にも入らないようには伝えてありますので…。」
とそう伝えた。
「ぜひそうしてくれ。さすがにそれは余計な仕事になるからね。」
と言いながら改めて鍵を渡してくれた。
「一応、君たちが忘れてるかもしれないから、もう一度自己紹介をしようか。私はこの男子学生寮の管理をしている吉良 孝造だ。よろしく頼むよ。」
「「「「「「よろしくお願いします。」」」」」」
俺たちもそう答えた。
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