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俺たちの共同学園生活  作者: 雪風 セツナ
入学編 ~特別試験~
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第33話

呼び方に関しては少し話したが基本的に名前呼びということになった。短時間であだ名をつけられるほどそれぞれの特徴をつかめなかったというのもある。一応それぞれの名前をもじった呼び方も考えては見たが、俺がそう呼ぶかはわからない。


新庄 蒼雪  → そう、蒼雪

早乙女 正悟 → さおしょう、正悟

朝霞 詩音  → かしお、詩音

植村 秀人  → しゅう、秀人

大森 一   → わん、一

滝 響真   → きょう、響真


大森に関してはもじることも思いつかず、正悟が、

「思いつかないし、いっそのこと(はじめ)を“いち”と読んでそのままだとダサいし、英語にして“わん”でよくね?」

と言い出した。大森も最初は、

「そんな犬の鳴き声みたいなのは嫌だ!」

と抵抗したが他にいいアイデアも出なかったので暫定的にこれに決まってしまった。他の人も名前から一音取っただけであったりしたが正悟の時に、

「早乙女正悟だから、しょう?でももうちょっと捻って、…おとしょう…、おしょう…、おしょう?うん、おしょうでよくない?」

と大森が言ったが、

「こいつが和尚なんてありえないだろ。生臭坊主にしか思えないぞ?」

と滝が否定したので詩音は、

「じゃあ、それに一文字追加して“さおしょう”っていうのはどうかな?しょうだけじゃ捻りが少ないなら二文字増やせばいいんだよ。」

と笑顔で提案してきたが正悟よりも文字数が増えてしまっていた。しかし、他に案が出なかったためそう決まった。誰かがそれで呼ぶことはあるのか不明だがそんな経緯を経てそれぞれの呼び方が決まった。



それから、少し時間が経ち彼らもシャワーを浴びに行ってしまった。俺と正悟はそれぞれが敷いた布団で横になり休む準備をしていた。準備と言っても寝る前にやることがそんなにあるわけではなかった。端末でこれからの予定の確認をして、日記をつけるといったルーチンワークのようなことぐらいだ。

「なぁ、蒼、もう寝たか?」

不意に正悟が声をかけてきた。

「いや、まだ起きているが。」

俺は起きていたから返事はしておいた。

「そうか。いや、特に何かあるわけじゃねーけど、この二日間ありがとうな。俺一人だったら大変だったかもしれねぇからよ。」

いきなり正悟が感謝を伝えてきたので驚いた。このタイミングで言うことかと思ったが、改まって言う方が恥ずかしいのだろうなと思い、

「こちらこそありがとう。思ったより楽しかったぞ、お前らといるのは。始めは鬱陶しいだけだったが正悟のおかげでただ効率的にやるよりは有意義だった。」

「鬱陶しかったのかよ!?ショックだわ〜。」

苦笑しながらで、本気でショックという反応ではなくどこか楽しげにそう言った。

「あれだけしつこく話しかけられて鬱陶しく思わない奴がいるか?」

と俺はあえて挑発的に笑いながら言った。

「いないわけねぇな。」

正悟は笑っていた。この二日間で俺たちの距離はだいぶ縮まっていたのだろう。軽口をこうも言える間柄になれたのはよかったのかもしれない。俺たちがこれまでを振り返りながら話し、笑い合っていると、

「ただいま〜、楽しそうだね!何の話をしていたの?」

詩音たちもシャワーから帰ってきた。

「ただいま、随分と楽しそうだな。」

響真も詩音に続いて部屋に入りそう聞いてきた。

「おかえり。」

「おかえり〜、俺たちはこの二日間のことを振り返ってたのさ、な?」

「ん?ああ。正悟とは船で会ったが、クラスも同じになり、ここまで共に行動するとは思ってなかったからな、いろいろ思うところもあったがよかったって話をしてたところだ。」

「へぇ〜、蒼君と正悟君は響真君たちみたいに中学からってわけじゃないんだ、てっきり、中がいいからそれくらいの付き合いかって思ってたよ。」

一は俺たちが話していた内容を聞き軽く驚いていた。

「確かにな。正悟はともかくとして蒼雪の性格から判断して長い付き合いではないとあまり話もしなさそうだが。」

秀人もこれまでの俺の言動から短い付き合いだとは思っていなかったようだ。

「確かに俺は人と距離はとる方だが、時間で変わるわけではないぞ?ある程度どういう人かを知って付き合っていけるかを判断して距離感を考えているだけだ。ただ、こいつはぐいぐい来るから遠慮の必要を考えなくなったところもあるがな。」

「やっぱり正悟君のせいなんだね。」

「せいってなんだよ〜。別に悪いことはしてないだろ?」

一が言ったことに対して正悟は言い返していたが、一が何かを言う前に秀人が引き継いで、

「していないにしても人にはパーソナルスペースと言うものがある。聞いたことぐらいあるだろう?あまり親しくないうちに踏み込むと相手は距離を取っていくぞ。」

と正悟に対して注意をしていた。あまり周囲の人に対して関心がないようにも見えるが、この部屋にいる人のことは意識しているのかちゃんと相手のことを考えているようだった。

「そこはちゃんと俺も考えているさ、これでも人を見る目はあるつもりだぜ。」

正悟は大丈夫だと言い張るので秀人は、

「だといいがな。」

と、それだけ言うと再び参考書を取り出し勉強を始めた。


「さて、帰ってきたところ申し訳ないが俺は休ませてもらってもいいか?」

俺はそう彼らに対して問いかけた。話が一区切りしたということもありこのタイミングだと思ったのだ。

「そうだね。蒼雪君たちはもともと疲れていて早く休むためにこっちに来たんだよね。僕もそろそろ休みたいかも。」

「う〜ん、ちょっと早いけど消灯する?僕も疲れてはいるし休んでもいいかなって。」

詩音と一は俺と同意見で休んでもいいと言っていた。正悟も同様に、

「俺たち昨日は寝てないし、さすがにきつくなってきたな。」

と眠たげに言っていた。それを聞いた響真はまるでオカンのように、

「寝てなかったのかよ、お前らは。ちゃんと夜は寝ないとダメだろ。早く寝とけ。俺は音楽を聞いてから寝るつもりだったが、お前らが寝るっていうなら俺も寝るよ。秀人、消灯しちまうがいいか?こいつらを早く寝かせてやりてぇ。」

「…まぁ今日の読むつもりだったところまでは読んでいるからいいだろう。」

と秀人は読んでいた参考書を閉じてそう言った。


俺たちの部屋は22時頃と、男子高校生が寝るには早いと思われる時間に消灯した。しかし、この部屋にいるほとんどの者は疲れ切っていたということもあり早々に眠りについた。

蒼雪たちの部屋は寝ているため静まり返っているが、他の部屋はまだ明かりもついており賑やかだった。しかしそんな彼らも試験であちこち歩きまわり疲れがたまっていたので日付けが変わる前には寝たため0時ごろには合宿所内は静かになっていた。



そんな中、蒼雪が目を覚ましたのは偶然だった。時間はまだ2時を過ぎたころで外は暗く、星が瞬いている時間だった。

「ん、んん…。」

目を覚ます原因となったのは隣で寝ていた詩音だった。てっきり正悟に蹴られたのかと思ったがそんなベタなきっかけではなく詩音が俺の布団に入ってきて俺の腰辺りに抱き着いていたからだ。さすがにこのことには驚いたが引き離すのはどうかと思ったが寝にくかったため、時間をかけてなんとか引きはがした。

引きはがすことに少し手間取ったことで目も覚めてしまい、すぐには寝ることができそうになかったため、少し合宿所の外を歩くことにした。少なくとも今は外出制限があるわけではないので、合宿所から外に出るのは他の人を起こさないように気を付けること以外には難しいことはなかった。夜風にあたりながら散歩をしていると、端末にメッセージが来た。


ここまでお読みいただきありがとうございました。


また次話もお読みいただけると嬉しいです。

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