第32話
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シャワーをさっと浴びて汗を流し、学校のジャージに着替えて俺たちは部屋へ戻った。合宿所はシャワー室があるだけ風呂はなかった。これは汗を流すだけならシャワーで十分ということと、風呂に湯を張ると時間もかかるということであえて風呂を作っていないようだった。俺たちが部屋に戻ると彼らは少し打ち解けたのか4人で話していた。
「ただいま〜」
正悟はそう言って中に入っていった。
「おかえり。ちょうど君たちのことを話していたんだ。」
一人の男子がそう俺たちに返してきた。男子と判断したが彼は、一見女子にも見えなくはない容姿をしていた。もしもジャージ姿で外であったら女子と判断していてもおかしくないだろう。
「俺たちのこと?」
正悟がそう返すと、今度は眼鏡をかけたいかにも真面目というような男子が、
「そうだ。あの部屋にいてもあの雰囲気では馴染めなかっただろう。だからこっちの部屋に呼んでくれたことを感謝している。」
と言ってきたので今度は俺が、
「感謝されることをしたつもりはない、たまたまだ。俺たちは早く休みたかっただけだ。」
といった。
「ふふっ、じゃあそう言うことにしておくよ。でも同じ部屋で一晩過ごすんだから自己紹介くらいしてもいいよね?」
と女子のような男子がそう言ってきたので、俺たちは寝る前に自己紹介をすることになった。
「それじゃあ僕から自己紹介するね。僕の名前は、朝霞 詩音。女の子っぽいってよく言われるけど僕だって男だからね!よろしくね。」
「俺は、植村 秀人だ。俺は大学に進学するために今から勉強をしている。あの部屋にいるよりはこちらの部屋の方がはかどると思った。今日だけになると思うがよろしく。」
「僕は大森 一。う〜ん、好きなことは、、、食べること?とりあえず僕は料理を作ることも食べることも好きなんだ。よろしく。」
「次は俺かな。俺は滝 響真だ。趣味でギターやってる。詩音とは中学からの付き合いがある。詩音ともどもよろしくな。」
彼らの自己紹介を聞いて正悟から俺たちも自己紹介した。
「俺は、早乙女 正悟だ。趣味はいろいろだが勉強は苦手だ。だからテスト前に色々聞くかもしれないとから、教えてくれ。」
笑いながら正悟はそう言った。俺も何か一言付け加えるべきだがこういうのは苦手だ。何を言うべきか迷ったが、
「新庄 蒼雪だ。趣味は読書とかだ。基本的に俺は俺のやりたいように行動していく。だから衝突することがあるかもしれないがその時はすまん。」
俺はそれだけを伝えた。すると、朝霞は、
「う〜ん、蒼雪君は自分勝手にそうするわけじゃないんだよね?」
と聞いてきたので、俺は自分という在り方について伝えた。
「ああ。意味なく衝突するつもりはない。俺は俺であるということを大切にしているだけだ。他人の意見に流されていてはいずれ自分が何者であるか見失うからな。だからこそ俺はこうするという意見を常に持つようにしている。そうすることで自分は誰でもない自分なのだと思っている。」
俺の考えを伝えただけだが、植村は「なるほど。」と小さくつぶやき、大森も同様の反応をしたが、朝霞は、
「か、かっこいいね!いいな〜、男らしいってこんな感じなのかな?」
と顔を赤らめながらそう小さくつぶやき、滝はそんな朝霞を見てやれやれという反応をした。
「悪い、新庄。詩音は男らしさってのが何なのか考えているみたいでよ?お前みたいに堂々としているやつとかスポーツができるやつを見るとあんな風になっちまう。質が悪いのは、あいつは姉が二人いてよ、末っ子だったせいか二人の姉を見て育っちまって仕草がほとんど女みたいなんだよ。本人はそんなつもりはないようだが、女より女っぽい時もある。だが、悪い奴じゃないことは保証する。」
そう言って滝は俺たちに軽く頭を下げて、
「だから、あいつのことを気持ち悪く思わないでくれ。それで昔色々あったからよ。」
そう言って何か悔しそうにしていた。
「俺から言うことは特にない。それも含めて朝霞の個性なのだろう?個性を否定してどうする?この世に同じ人は一人としていない。だからこそ、その違いを認めないと人はすべて平均化されたロボットのようになってしまう。差異がなければだれでも変わりはいくらでもいるからな。」
俺がそう言うと、正悟も同意するかのように、
「そうそう!詩音がどういう人だって悪い奴じゃなきゃ歓迎さ!友人は多いに越したことはないしな。詩音はいい奴だって俺の直感もそう言ってる。」
と言っていた。
「ありがとよ。」
滝もそう言って、照れ臭そうにしていた。
「にしても、蒼がこんなに饒舌になるとはな〜。ときどきだけどこういうことあるよな!」
正悟は話題をそらして、俺の先程の言葉について言ってきた。
「そうだな。自分でもそう長く語るつもりはなかったが、なぜか自分の考えを伝えたいときだけ言葉が多くなってしまうな。」
「それだけ自分のことを理解してもらいたいんじゃないかな?僕はそう言うのカッコよくていいと思うよ!」
顔を赤らめながらそう言ってくるので本当に男子か?と思わなくはないが押し倒さんばかりに身を乗り出してくるので驚いてしまった。
「あ、ああ、そうかもな。あ、ありがとう。顔が近い、落ち着いてくれ。」
俺がそう言うと自分の体勢に気が付いたのか慌てて戻り、
「ご、ごめん。その、つい、興奮しちゃって。」
「大丈夫だ、あまりに近かったから驚いただけだ。」
「それならいいけど、たまにこうなっちゃうんだ。だから今後もあるかもしれないけど許してもらえないか?」
上目遣いでそう言ってくるので狙ってやっているのでなければ大したものだと思った。ここまでくると滝から聞いた姉二人が朝霞に仕込んでいるのではないかと疑ってしまうほどだ。
「気にするな。それくらいなら問題ない。」
俺がそう言うと嬉しそうに、
「ありがとう!」
と笑顔でそう言ってきた。俺の隣では正悟と大森と滝が集まって小声で、
「おい、本当に彼は男子か?目覚めてはいけない何かを僕は感じているんだが。」
「俺だって昔からそうだ。あいつと一緒にいるとカップル扱いもされたぞ?」
「マジかよ、俺も一瞬惚れそうになったけど男なんだよな…?」
「…あぁ、一応男だ。多分…。」
「たぶんって…。一緒にシャワー浴びに行けば分かるんじゃないか?俺はもう行ったけどお前らなら確認できるだろ?」
「俺はパスだ。何か危ない気がしている。修学旅行とかでさえも基本的に男子は一緒に入っていないしな…。先生も俺たちの事情を理解してくれてそれを許可してくれた。まぁあいつはそのことに納得してないけどな…。一はどうだ?」
「いや、僕も無理だから!あの子と一緒に行ったら犯罪な気もする…。男なのに。」
「そうだな。それとあいつに間違っても告白なんてするなよ?そういうのも多くて迷惑していたからな。」
「男子も女子と思っちまうからな。それにあれだけ可愛いと男とか関係ない気もするしな…。」
「僕も危ないけど、そうならないようにするよ。付き合うなら女の子がいい。」
と朝霞についての話し合いをしていた。本人も気にしていることが含まれているから小声で話すという配慮はいいが、それなら彼のいないところでやってあげてほしい。朝霞も3人が集まっているから何を話しているのか気になってしまっている。
「ねぇ、何の話をしているの?コソコソしないといけないことなの?」
「いや、そういうわけじゃねーよ。ただ、ちょっと大声で話す内容じゃないと思ってな。」
「そうそう、夜だからそういう話もしてしまうけど、大声で話すのデリカシーがないと思ってさ。」
「うんうん。」
と三人は適当に誤魔化していた。
「ふ〜ん、そっか。じゃあ仕方ないね。それよりも蒼雪君、」
と彼らに興味を失ったのか俺に話しかけてきた。植村は俺たちのやり取りに興味がなくなってからは一人で読書をしていた。いや、読書をしていたと思っていたが参考書を読んでいたようだ。こんな時にも勉強をしているとは自己紹介で言った通り真剣に大学受験について考えているようだ。
「どうした?」
「僕のことも早乙女君みたいに名前で呼んでほしいな。響真意外だと名前で呼んでくれる人いないし、僕のことちゃん付けで呼んでくる人も多くて…。ダメ…かな?」
「いや、かまわないさ。詩音、よろしくな。」
「ありがとう、蒼雪君!」
詩音は嬉しそうにそう言った。この二日間であった人のほとんどに名前呼びをしてほしいと頼まれるがそこまで名前で呼んでほしいことなのだろうか?俺はそんなことを考えていると、
「俺も名前で構わないぜ、最も苗字のほうが短いからそっちで呼ぶ奴が多いけどな。」
「僕のことも好きに呼んでいいよ〜。特にこうは呼ばれたくないっていうのがあるわけじゃないしね。」
植村は参考書を読んでいたが、こちらの話も聞いていたようで顔を上げて、
「好きに呼んでくれて構わない。変な呼び方をすれば無視はするがな。」
とそれだけ言うと参考書を再び読み始めた。
「それならここにいる人たちでは名前か、あだ名付けてそれで呼ぼーぜ!その方が特別感もあるし、もっと親しくなれると思うんだ。」
正悟の提案でそれぞれの呼び方を考えることになった。
早く休むためにこちらの部屋に来たわけだが、もはやその意味が分からなくなってきたな。俺はそんなことを考えながらも他の人たちの呼び名をどうするか考えることにした。
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